モービウス

本作「モービウス」は、同じくソニーズ・スパイダーマン・ユニバースに含まれる作品「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」よりも先に公開されるはずだった。そして、公開順位が逆になっただけでなく、本作も「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」もコロナの影響で何度も公開日程が変更されてしまった。さらに、本作はウクライナ侵攻の影響でロシアでの上映が中止されてしまった。

米国では初週興収3900億ドルで興収ランキング初登場1位となり体裁を保つことはできたものの、予想値を下回る結果となり、さらには作品自体も酷評されているのは、そうした要素が重なり、ユニバース内でのストーリー進行に無理が出てしまったことが背景にあるように思う。

もっと、深刻なのが日本だ。
本作は観客動員数ランキングで初登場4位というアメコミ映画としては大コケと言ってもいいスタートになってしまった。2週目には一気に8位までランクダウンしたので、自分が見に行きたい時間帯に上映している劇場を探すのに苦労してしまった。

「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」は観客動員数ランキングで首位を獲得し興収も19億円とヒットしたし、ソニーズ・スパイダーマン・ユニバースには含まれないものの、そのユニバースの前提となっている「スパイダーマン」シリーズの最新作「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は勿論、観客動員数ランキングでは1位になっているし、興収はコロナ禍になってから公開された洋画では最高の41億円を記録している。

そう考えると、本作が日本で受け入れられない理由って、やっぱり、コロナ禍になって、シリアスなアメコミ映画が受け入れられなくなっているんじゃないかなという気もするんだよね。
本作は「スパイダーマン」シリーズや「ヴェノム」シリーズと比べるとダークだしね。

マーベルものではなくDC原作ものではあるが、米国では今年公開作品で最大のヒット作となっている（興収3.6億ドル超）「THE BATMAN－ザ・バットマン－」が日本では観客動員数ランキング初登場3位で、現時点の累計興収も11億円とかろうじて10億円を突破している程度であることを考えると、日本の映画観客、特に若い世代がダークな洋画を求めなくなっているという可能性は高いような気がする。

というわけで、やっと本作を見ることができた。

一言で言えば、モービウスって、リアル・バットマンって感じかな。
バットマンは、コウモリっぽいコスプレをした精神異常のオッサンだけれど、本作はコウモリのDNAを持ったリアルなコウモリ男だからね。

ダークな作風なので、てっきり、単に悪役を主人公にしただけの作品かと思っていたが、結局、「ヴェノム」シリーズと同じく、ダーク・ヒーローものだったのか。
途中から明確な悪役が出てきて、クライマックスではそいつを倒すためにモービウスは戦うわけだしね。
ソニーズ・スパイダーマン・ユニバースというのは、スパイダーマンに登場する悪役をダーク・ヒーローとして描くというコンセプトなのかな？
だとすると、ヴェノムやモービウスを映画「スパイダーマン」シリーズに登場させるのは難しいような気がするかな。
別の作品ではダーク・ヒーローだったキャラが突然、悪役になってしまうわけだしね。まぁ、エンド・クレジット中のオマケ映像だと、モービウスはスパイダーマンを倒す気らしいが…。

そして思った。米国で酷評されたらしいが、そこまでクソ映画ではなかったなと。

どうせ、批評家連中がポリコレ的視点で気に食わない所があるから文句を言っているだけでは？

障害者（難病患者）がヴィランにされているとか、ヒスパニック系のヒロインが単なる昔ながらの献身的な女性みたいに描かれているとか、黒人キャラの活躍がないとか、同性愛的な描写に問題があるとか、どうせ、そんな理由で叩いているだけでしょ！

まぁ、傑作でもなかったけれどね。というか凡作だった。

それから、モービウスが“アイ・アム・ヴェノム”と言っていたのは、めちゃくちゃすべっていたと思う。

というか、この映画ってBLだろ！
しかも、元難病患者の人外同士の…。
腐女子が好きそうな設定だよね。
そういえば、女子1人とかカップルで来ている観客いたな…。

《追記》
久しぶりに丸の内ピカデリーのドルビーシネマで映画を見た。いくら購入者特典の配布があるからとはいえ、手渡しでチケットをもぎっておきながら、アルコール消毒しろというのは何か違うような気もした。
ところで、丸ピカのドルビーシネマで映画を見たのは今回が3回目だが、毎回ガラガラだよね…。経営的に大丈夫なのか？
それから、上映前に流れるドルビーシネマの説明映像が長すぎる！