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カタールW杯をざっくり振り返る~後編~

 ざっくりと言いつつ、ただ書きたいことをガンガン書きまくったため、前編と後編に。今回は後編です。よろしくおねがいします!

↓前編はこちら

 決勝のカードは”メッシ”のアルゼンチンvs”ムバッペ”のフランスでした。それが意味するものこそ、”個が戦術に勝った”ということです。クリスティアーノ・ロナウドとメッシがバロンドールを独占していた時代ですら、彼ら2人W杯を優勝いや、決勝に行くことも1度しかなかったわけです(2014のブラジル大会のアルゼンチン)。しかし、2018年大会はムバッペという個を要したフランスが20年ぶりにW杯を優勝しました。もちろんフランスの場合はチームとしての成熟度はとても高かったのですが、最終的に相手を破壊したのは個の力でした。
「え、こんなとこからあれが入るの?」
「え、こんなラフな形からカウンターできるの?」
みたいな状現象を生み出しまくったのがロシアのフランスでした。それが今回のフランスでも同じことが言えましたし、アルゼンチンの”メッシ依存”と言われていた時代と比較すると、メッシを最大限活かすために10人が動き回るということによって”最大限に個を活かして”決勝そして優勝を果たしました。

 そして指導者目線として言った
「自分のスタイルの大まかな点では間違いではなかった」
という点について記していきたいと思います。大前提として僕は指導者として4年目でなにか特筆すべき成果を出しているわけではありません。まあそれなりに試合に勝てる方ではあると思いますが、それでも力負けするときは力負けもしますし、自分の指導力不足を常に痛感しています。ただ、大まかな点に関しては間違いではないということがはっきりと言えます。

 まず今回のW杯で日本がドイツやスペインに勝てた理由は明確に2つあると思います。

・ピッチ内で行われた相手の対策

・劣勢時に耐えるだけの粘り強さ

にあると思います。近年のサッカー界はよりアナリストの需要が高まっています。それによって、15分で相手を解剖してその対策をし合うというのが近代サッカーにおけるトレンドの一種です。それによって求められる能力こそ、
「いかにピッチレベルで選手が問題、対策の解決ができるか」
ということが、よりキーになります。そしてその能力が今後のサッカー界でより重要になると思います。相手のシステム、特徴、ストロングやウィークはもちろん、相手の狙いに対策することも必要不可欠なのです。

 このように相手の思考を読んで対策するということが出来なければ、スペインやドイツと言ったような格上相手に立て続けに勝利を挙げるということは、不可能だったと言えます。しかし、それをするだけでは勝つのは難しかったかもしれません。そういう意味で挙げた

・劣勢時に耐えられるだけの粘り強さ

がなければ、間違いなく勝点を挙げることは非常に困難だったと言えます。むしろこれがあってこその対策能力なのかなとも言えます。ドイツ、スペインという格上相手と戦うときは極論80分以上は劣勢であると予想されます。ボールと主導権を握られ、自陣で我慢の時間が続くというのが格上対戦では当たり前です。むしろ格上相手にボールを持とうと考えるのはよほどの戦術家でなければ難しいと思いますし、それで結果も両立するというのは至難の業と言えます。最低でも現在の日本では。
 となると、考えなければいけないのは劣勢状況下での立ち振舞い。ただ、実は劣勢状況下の立ち振舞いは日本人は経験済なケースが多いはずです。それはなぜか?
ジュニア年代、ジュニアユース年代、ユース年代の育成年代の全カテゴリーでトーナメント制で日本一を目指す大会を行っているからです。チームとして勝利至上主義でも、スタイル重視でもほとんどどこかで必ず、”格上”と呼ばれるチームと対戦する運命にあります。そうなった時に必ず”相手に勝つためにどうすべきか”を考えるものです。そこで、相手の攻撃に耐えるだけの粘り強さを身につけるはずなのです。

 そして僕自身が前から大事にしていることは、まさに上に書いたようなことです。まあ仮にレジスタやLAVIDAの指導者だとしたら、試合に関してこのようなことを考えなくても良いんでしょうが、そうでないチームであると基本的に格上相手にどう戦うかを考えます。僕が4年間居たチームはお世辞にも強いとは一切言えるようなクラブチームではありませんでした。まあどの目線に立つかによるとは思いますが。そこにいる子どもに他所がやっているようなことを淡々とこなすだけでは普通にボコされて終わりです。実際に自チームより地力が劣るチームと戦うときに、粘り強さが無いチームは悪いですけど簡単に勝てます。だからこそ、粘り強く球際激しく行ったり、シュートブロックを怖れずにするとか、最後の最後まで走って止めるとかいうプレーが必要不可欠なのです。そしてそれああったから、格上相手との対戦でそれなりに勝てたり、粘り強く対応できるようなチームになってくれたと思います。まあ1点目取られたらズタズタ行ってしまうので、そこに関してはもっと詰めて行くべきだったなと反省ですが。

 ピッチ面でもどれくらい選手主体でやれるかが結局大事なわけです。指導者主体になると、指導者のいうことを聞くまで動けない子になってしまいます(特に都内の子はそれを顕著に感じました)。僕の子どもたちの場合練習では結構サッカー的なことを落とし込みましたが、試合に関してのコーチングはモチベーション的なことを伝え、サッカー的なことは基本的に発問形式もしくは彼らのディスカッションに任せていた部分が多かったです。まあ個人のパーソナリティ等によって接し方やアドバイスを変えたことは多かったですが。答えを教えないで、選手に問題解決能力を求めるのか?
結局ピッチ外の指導者が見えていることと選手がピッチ内で感じることは違う時もあります。それを外で見ている指導者の話を答えにすることは、危険なのかなと思いますし、それを解決するのはピッチ内の選手です。だからこそ、選手の問題解決能力の質を上げることが大事と考えていたわけです。

 それが今回のW杯で少しその要素が出ました。アルゼンチンのスカローニ監督は時代を動かすような戦術で震撼させて勝ったわけではありません。彼の能力ももちろん凄いものがありますが、それ以上に選手のブラッシュアップ能力や粘り強さが産んだ結果です。前述の日本代表も森保監督の5バック変更という奇襲はありましたが、それに対応できる選手の能力がなければできなかったわけで。そういう意味ではピッチレベルでより問題解決能力の高い選手を排出できるかが今後のサッカー界に必要であると感じた今大会でした。

 最後に、生意気ながら今回のW杯をファン目線と指導者目線で振り返りました。おそらくW杯関係の投稿は今回が最後です(年内に終わったぁ笑)。まだまだ日本サッカー界には課題もありますし、新しい景色を見るためにはまだまだ前途多難な道であると感じました。その課題を1つずつでも解決して今後日本代表が今回のモロッコ代表やクロアチア代表のような躍進を遂げられるようにしていきたいですね!そして僕自身もあらゆる角度から日本サッカー界のさらなる発展に貢献できるようにどんどん動いていこうと思います。2023もよろしくお願いいたします。

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