映画『バック・ビート』で知るビートルズ前夜。写真家アストリッド・キルヒャーを偲んで
写真家のアストリッド・キルヒャーが、5月12日に亡くなった。
ザ・ビートルズに対して並々ならぬ思いを抱いている人で、アストリッドの名前を知らない人はおそらくいないだろう。ビートルズがデビュー前、ドイツはハンブルグでドサ回りのような過酷なツアーを行なっていた頃、バンドにとって最初の公式カメラマンとして数多くの有名なショットを撮影していたのが、他ならぬ彼女だからだ。
当時リーゼントに革ジャンというファッションでロックンロールを奏でていたビートルズに、マッシュルーム・カットと襟なしジャケットを提案し、マッチョなイメージからフェミニンな姿にアップデートしたのはアストリッドだと言われているし、陰影を強調した「ハーフ・シャドウ」と呼ばれる彼女のモノクロ写真は、のちにビートルズがリリースしたセカンド・アルバム『With The Beatles』(1963年)のアートワークにも、少なからず影響を与えている。
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