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2020年 俺的ベスト・アルバム20(その2)

前回の続き。2020年のベスト・アルバムを20のうち、残り10作品を紹介します。Tennisの『Swimmer』も、Purrの『Like New』もPet Shimmersの『Face Down in Meta』もそうだし他にも色々あったんだけど、今年はビーチ・ハウス(あるいはビーチ・ボーイズ / コクトー・ツインズのビーチ・ハウス的解釈)が、思っていた以上に多くのインディーバンドに影響を与えていることを再認識した1年でした。きっとあと数年したら、ビーチ・ハウスの凄さをもっと多くの人が気づくと思います。


「Patience」Sondre Lerche

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もし誰かに「好きなコード進行は?」と聞かれたら、黙ってこのアルバムを差し出すでしょう。ノルウェーはベルゲン出身のシンガー・ソングライターによる通算9枚目は、これまでどおりプリファブ・スプラウト愛がぎっしり詰まった最高にドリーミーな内容。「Put The Camera Down」にはなんとヴァン・ダイク・パークスも参加しています(らしさ爆発!)。フランシス・ベーコンみたいなジャケも好き。

「Like New」Purr

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ニューヨーク出身の男女デュオ、Jack And Elizaのセカンド・プロジェクトとしてスタートしたPurrが、フォクシジェンの鬼才ジョナサン・ラドーをプロデューサーに迎えて制作したデビュー作。ビーチ・ハウスやエンニオ・モリコーネ、セルジュ・ゲンスブールなどを彷彿とさせつつ、ビートルズ仕込みのポップセンスでまとめ上げた快作。ベースラインが特に好き。

「Fake It Flower」beabadoobee

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みんな大好きビーバドゥービー、待ちに待ったファースト・アルバム。彼女がベッドルームで宅録していたアコースティックな楽曲が大好きだったので、バンドメンバーを率いての本作は「どんなもんかなあ」と期待半分不安半分で聴いたのですが、聴けば聴くほど味が出てくる感じ。個人的には10月の九州旅行でひたすらリピートしたのでその時のことを思い出します。ラブリーサマーちゃんと対バンして欲しい。

「The Passing Scene」Leah Senior

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メルボルンを拠点にするシンガー・ソングライターの、前作『Pretty Faces』から3年ぶりとなる通算3枚目。ジュディ・シルやジョニ・ミッチェルら、70年代のフォークロック、バロックポップを思わせるようなサウンド、メロディ、声。女性ヴォーカルのダブル・トラックって何故こんなにドキドキするのだろう。

「Face Down in Meta」Pet Shimmers

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英国ブリストル出身の7人組によるデビュー作。ローファイ、サイケ、ヴェイパーウェイヴをぐつぐつと煮詰めたようなサウンド。Goat Girlをフィーチャーした「Feels Hz」を聞いてぶっ飛んだ。コクトー・ツインズ的ギターサウンドとジャンクでローファイなリズムをレイヤーするとこんな世界が広がるんだ! 聴けば聴くほど病みつきになる。

「Floatr」 Happyness

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このアルバムがどれだけ好きか?は以前にもnoteに書いたのでここでは割愛しますが、エリオット・スミスやイールズ、ダイナソー・Jr.、ティーンエイジ・ファンクラブなど、俺が好きなもの全部のせみたいなアルバム。ライブ見たいっす。

「Punisher」 Phoebe Bridgers

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前作『Stranger in the Alps』から3年ぶりとなるセカンド。ルーシー・ダーカス&ジュリアン・ベイカー(ボーイ・ジニアス)、イーサン・グルスカ、コナー・オバースト(ベター・オブリヴィオン・コミュニティ・センター)、クリスチャン・リー・ハットソンなど豪華ゲストが参加。ASMR動画からの影響を公言したインタビューも面白かった。

「Fetch The Bolt Cutters」 Fiona Apple

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フィオナが「神」と崇めるジョン・レノンの『ジョンの魂』を思わせるような、プリミティヴで剥き出しなアンサンブルは奇しくもコロナ禍の世界と深くシンクロし、Pichforkで驚きの10点満点を叩き出した。このアルバムについては、Charaさんにこちらの記事でたっぷり語ってもらいました。

「color theory」 Soccer Mommy

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地元ナッシュヴィルの「Alex The Great」にてレコーディングされたセカンド。プロデューサーは前作『Clean』(2018年)に引き続きゲイブ・ワックスで、ミックスはラーズ・スタルフォース。オーガニックなバンド・アンサンブルをサクッとシンプルに録ったように見せかけ、実は凝りに凝った音響的アプローチも聴くたびに発見があって楽しい。

「Beginners」 Christian Lee Hutson

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ボーイ・ジニアスのアルバムにも参加していた、カリフォルニア州ロサンゼルス出身のシンガー・ソングライターによるサード・アルバム。ボーイ・ジニアスのルーシー・ダーカス、フィービー・ブリッジャーズら豪華ゲストが参加していますが、作品自体はアコースティックで静謐な手触り。フィービーやスフィアン・スティーヴンス、メロディラインはジョン・ブライオンあたりを彷彿とさせる。

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