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なんでなん? その8、なんでこの広告なん?

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今日電車で見かけたこちらの広告。なんでこの表現なんだろう?と思い、それについて書いてみることにしました。

なんでこの広告なん?

NTT docomoのシニア世代向けスマホ乗り換えの広告だと思います。ぱっと見た瞬間にいろいろな違和感を感じたので、それについて整理していきたいと思います。

違和感を感じた要素としては以下の通りです。

・なぜシニア世代にスマホをオススメするのか
・なぜコピーの主語があなたなのか
・なぜスマホデビューにサポートが必要なのか

それぞれについて考えていきます。

なぜシニア世代にスマホをオススメするのか

スマートフォンは便利なアイテムです。電話機というより小型のパソコンのようなもので、インターネットもできるし、通話もできるし、メッセージ交換もできる。本当に色々なことができます。人によっては必要不可欠な存在と言えるでしょう。

ではシニア世代にとって、スマートフォンの有用性とはなんでしょうか。子どもや孫はスマホを使っているでしょうから、同じアプリケーションで連絡を取り合えることや、気軽にテレビ電話ができることなどでしょうか。個人的には、強い理由が思い当たりません。

別の視点で考えてみましょう。

シニア世代以外の世代では、スマホユーザーはどれくらいいるでしょうか。おそらくほとんど全てスマホユーザーといっていいほどに、普及しているでしょう。この世代での、新規ユーザーの取り込みは難しいでしょう。
また、各社のデバイスの大きな機能・性能の変化がなくなったこと、3大キャリア以外の格安キャリアの出現などにより、機種変更や乗り換え需要も少なくなっていると思います。

活路を見出す先として、シニア世代の新規獲得を目指すことは必然と言えます。

なぜコピーの主語があなたなのか

このコピーの対話相手は、シニア世代の親御さんをもつ世代の人たちです。

先に述べたように、シニア世代の新規獲得を目指したとして、なぜシニア世代に対してではなく、その子どもの世代に対して語りかけるのでしょうか。

その理由も先に述べたように、シニア世代に対するスマホの有用性を定義しにくかったのではないでしょうか。もしくは、定義できたとしても、スマホをよく知らないシニア世代には伝わらないと判断したのでしょう。

だからこそ語りかける相手を、よりスマホの有用性を実感している、子ども世代にしたのだと思います。子どもが親へ働きかけることを狙ったのでしょう。

なぜスマホデビューにサポートが必要なのか

人間は年を重ねるごとに、新しいことを覚えるのが苦手になってきます。つまり、シニア世代に使ったことのないスマホの使い方を覚えさせるのは、大変な努力が必要であると考えたのでしょう。そして、そこまで面倒を見るので、子ども世代の手間は取らせませんよ、と言いたい。

この広告の好きな部分とそうでない部分

この広告について、個人的に好きな部分と嫌いな部分にまとめてみます。

好きな部分
作者の意図がはっきり見えることがいいなと思いました。情報が整理されていて、受け手にどうしてほしいのかが明確です。いろいろなことを詰め込まず、装飾もシンプル。作ったのはきっと論理的思考が得意な方だと思います。

そうでない部分
表現や情報整理のもっと前の部分、価値の定義が好きではありません。この広告が打ち出す価値は、受け手側ではなく、発信側の価値です。シェア分析などの数字をみて、ここを取りたい!という方針だけで作ったもののように感じました。
価値の定義をもう少し詰めれば、シニア世代の親がスマホにすることで子どもや孫とのコミュニケーション(使い方を教えることとか)が増えるとか、イケてるシニアになって若い子にモテるとか、いろいろ定義できると思います。(考えた上で切ったのかもしれませんが。)

まとめ

自分でない人間の気持ちって想像するの難しいし、本人に聞いたって答えが返ってくるとは限らないですよね。でも想像し続けて、いろんな場面や人を観察しないと、刺さる表現ってできないんだろうなって思います。

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