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押上〜曳舟、鐘ヶ淵、隅田川東岸を歩いてみた(隅田川「防災団地と夕暮れの浅草」編)

鐘ヶ淵で行ったみたかった場所がある。「防災団地」「防壁団地」「長城」などいろな言われ方をしている『白髭東アパート』だ。団地マニアならば一度は耳にしたことがあるかもしれない。長さ1キロに渡って累々と築かれた長城。それが白髭東アパート(団地)。

白髭防災団地

1キロに渡って壁のように建っているこの団地。Wikipediaにも「災害時に巨大な防火壁となる変形構造を持つ都営白鬚東アパート(防災団地)」と書かれている通り、建物のところどころに仕掛けがあり、いざという時にはその仕掛けが防火壁になる。団地の隙間を塞ぎ、団地自体で鐘ヶ淵方面から燃え上がる炎を食い止めるという感じ。団地裏手には隅田川が流れており、団地と隅田川の間のスペースが住民の避難エリアになっているらしい。

場所的に「火災よりも水害用なんじゃないの?」と思ったが、まぁそれもあるんだろうけど、それよりも防火色が強い構造になってる。関東大震災の教訓らしい。

団地を貫通する道は、墨東通りの鐘ヶ淵陸橋から隅田川に架かる水神大橋に向かう道路のみ。徹底してる。(この記事一番上の写真が水神大橋)

隅田川東岸

団地を抜けると隅田川が広がる。高速を頭上に、遠目に白髭防災団地の全容を眺めながら隅田川沿いを歩いた。海鳥がやけに寄ってくるな、好かれてるのかな?と思ったけど、橋の上からおっちゃんがパンを投げてただけだった。間近で見る海鳥はけっこう大きくて、ちょっと怖かった。

気がつけば太陽もだいぶ西に傾いている。そろそろ帰路につかないと寒くなるぞ。とはいえ曳舟や押上に戻るのもアレなので、気合いで浅草まで行き、そこから銀座線で渋谷に戻ることにした。少しだけ早足で歩いた。

隅田川岸は整備されてて、気持ちの良い遊歩道になっている。人はあまりいないので、夜に一人で歩く気分にはなれないけども…。ブルーテントもちらほらあるが、思ったほどは無い。舗装されていて、スロープ状の場所も多いので、スケボーの練習をしているひとがちらほらいた。

対岸に見える汐入公園や都立産業技術高等専門学校荒川キャンパスあたりはわりと治安も良さそうに見えた。遠目だけど。その後ろには南千住の車庫があるはずだけど、当然こちら岸からは見えません。

だいぶ日が暮れてきた...。ぐいぐい歩いていると白髭橋が見えてきた。この日は工事中で橋全体にネットがかかっていて、一瞬「渡れるのかな?」と思ったけど渡れた。白髭橋を渡れば、そこはもう台東区。浅草までもう一息。

山谷、吉原、浅草

白髭橋を渡り、そのまま進んでいくと、いわゆる「山谷」と呼ばれる地域に入る。正直少しビビりながら進んだ。空気も若干ピリっとしてきたような気もする。たぶん気のせいだけど。そんな心持ちで進んでいったものの、当初のイメージとはだいぶ異なり、普通の下町の住宅街という感じだった。もっとディープなエリアはあるのかもしれないけど、歩いた限りでは普通だった。意外だったのが、子供たちが多いこと。公園にはたくさんの子供たちが遊んでいた。しかも元気。ゲーム機やスマホで遊んでるような子供はいなくて、みんな走り回り、おしゃべりして楽しそうだった。活気があった。

山谷の住宅街を抜けると大きな道路「土手通り」にぶつかった。この土手通りの向こう側にあるのが日本有数のソープ街「吉原」だ。そう言われてみれば道路の向こうの路地に艶やかなネオンが見えるような気がする(幻かもしれない)。そわそわとしながら浅草を目指した。

(情報量の多い風景)

さすがに歩きすぎた。疲れた。でもせっかく浅草まで来たんだからと、彼の地に住む旧知の友人を呼び出し、串カツ屋さんでちょっとだけ呑んで帰った。ただでさえ混雑してる浅草だが、訪日観光客が大挙して押し寄せているため、一層にごったがいしている。しかし、お江戸の中心地としてはこれくらい賑やかな方が良いのかもしれない。(おわり)

【次回予告:小平に下水の臭いを体験しに行った話】

街歩きで生計をたてて生きていきたい...