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2021年2月の読書振り返り

コタツに入ってコタツ記事を書いています。


感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか

やはり一冊くらいはこの手のテーマの本を読んでおいた方がいいかなと購入。医学的な観点で難しい内容の本だとわからなそうなので、経済史の学者さんが書いたこの本を選んでみた。

ペスト、コレラ、天然痘、インフルエンザとこれまでに起こった世界的パンデミックの事例をざっと書かれていて、さらに深く知るためのブックガイドがそれぞれ書かれているという初心者向けの内容。各伝染病の発症の地は「そうだったんだー」とちょっと驚いた。

意外と最近まで、伝染病は「瘴気」が原因と考えられていたなんて信じられないけど、結構現代でもこれに準ずる考えを持ってる人って少なくないのかもなと。人間は流されやすいし、パニックになりやすい。

MORE from LESS

「資本主義は脱物質化する」という副題がついたこの本。有史以来、特に18世紀の産業革命以降、飛躍的に人類の進歩は進んだ。と、同時に圧倒的に地球を痛めつけた。化石燃料をどんどん使い、有害な副産物を地球に撒き散らし、進化した技術で多くの動物を根絶やしにした。

20世紀後半になり、ようやくこの問題に目を向け、対応する国々が出現してきた。その流れは現在にも続く。資源を効率よく使う技術が発達し、それによって公害は減った。特に先進国でその取り組みは進んでいる。

著者は「資本主義とテクノロジーの進歩によって、地球の負担を小さくしながら、豊かに暮らせるようになる」と説いている。環境保全において資本主義は「悪」とされがちだが、著者はそれを否定する。僕もその点においては著者に同意する(全ての主張に同意するわけではない)。

僕は、子供の頃、公害地域の近くに住んでいた。川の水は緑やオレンジで泡立っていた。しかし今は魚の泳ぐ川に復活した。僕も正しいと信じている資本主義と環境問題の共存について本書はいろいろと示唆を与えてくれた。

起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男

本編450ページの大作。非常にボリューミーではあるが、驚くほどサクサク読めた。エキサイティングで次の展開が知りたくなる内容と、著者の文章力によるものだろう。とにかく面白かった。

昭和から平成になるタイミングで起きた「リクルート事件」。僕は小学校6年から中学1年の時である。連日ニュースでリクルート事件が報じられていて「なんか大きな事件なんだな」という印象を持ったが、内容まではあまり知らなかった。

本書の1部2部は江副さんが誕生し、リクルートを創業し、大躍進を遂げていく様が書かれている。3部でリクルート事件が扱われている。※ちなみに1部の前に書かれているプロローグ部分だけで相当興奮した。

江副さんは何といおうと希代の起業家であることは間違いない。そして多くの偉大な起業家(だけじゃなく偉大な君主も)と同じく、成功とともに慢心し、足元をすくわれていった。プライベートなことや倫理観の欠如を示す出来事まで詳細に載っている。

起業家としては抜群だし、リクルートが時代を先駆けて取り入れた仕組みは数多く、今でも多くの会社で模倣されている。本書を読んで改めてリクルートの凄さを実感したし、一方で江副さんへの多少の失望もあった。

事件については、本書に書かれていることを信じれば、メディアの行き過ぎのように感じる。もちろん最終的には逮捕者も出てるのでメディアとしては「正義」だったのかもしれない。ただ「正義の暴走」のような気もする。この構図は現在も何も変わっていない。昨今の不倫記事に近い感覚を覚えた。

と、いろいろ思うところもあるが、総じてテンション上がる内容だし、参考になる部分、参考にしなきゃいけない部分もたくさん紹介されているので、スタートアップの人にはおすすめしたい一冊。



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