第104回全国高等学校野球選手権大会 決勝戦振り返り

皆さん、素晴らしい決勝戦でしたね~!
今日の104回目の決勝戦、振り返ります。

決勝 仙台育英(宮城)8-1下関国際(山口)


第1回大会、延長13回で秋田中がサヨナラ負けで優勝を逃してから、107年。深紅の大優勝旗が白河の関を超える、歴史的な1ページを我々は目撃することとなった。今まで何人もの東北の高校球児が挑んだ戦い。ようやく、終止符が打たれることとなった。

試合は、戦前の予想を覆す投手戦の様相を呈した。仙台育英のエース斎藤蓉は、2度目の先発マウンドだったが、いつも通りの四隅を丁寧に突いた見事な投球で、下関国際打線に付け入るスキを与えない。一方、37年ぶりに山口の高校として決勝の舞台に立った下関国際のエース古賀も、一歩も譲らない。準決勝の立ち上がりの不安定さを払拭する攻めのピッチング。毎回初回に出塁していた1番橋本も、今日は最初の2打席凡退。しかし、仙台育英にとって不安が漂うムードを一掃したのは、4番の齋藤陽だった。二塁打で出た打者を確実に犠打で三塁に進めて、4番が低く鋭い当たりで打ち返す。まさに理想的な先制攻撃。5回には、橋本にも当たりが出て2点を追加。

しかし、下関国際はここで、背番号6の仲井がマウンドへ。準々決勝、準決勝と好リリーフを見せて、決勝へと導いた今大会最強リリーバーが立ちはだかる。仲井が後続を打ち取ると、流れは下関国際へ。6回には、1番赤瀬の三塁打からチャンスを作り、すぐに1点を返し、下関国際が描いていた中盤まで食らいつくゲームプランが出来上がっていく。

焦りも出始めるかと思われたが、仙台育英は7回表、下関国際の5番水安の痛烈な当たりを二塁手秋元が見事にさばき、ここまで2打席連続でヒットを放っていた好調な森の当たりも、右翼手齋藤陽が素晴らしいポジショニング。今までの戦いでも見せてきた堅守からリズムを作る戦いぶりがここでも発揮。その裏、1番橋本のタイムリー三塁打、そして5番岩崎の満塁本塁打。これで勝負はあった。最後は2年生右腕髙橋が締めて、仙台育英が念願の春夏通じて初めての甲子園制覇。東北の地に初めて深紅の大優勝旗が渡った瞬間だ。

下関国際も、エース古賀から仲井への継投が確立され、きびきびとした守備に粘り強く食らいつく打撃で、強豪を次々と撃破する戦いぶりは見事であった。1年生から主力を張り続けた世代。素晴らしい集大成となったことだろう。

そして仙台育英は、充実した投手力と、例年とは一味違った機動力と小技を生かした戦いぶり。今までの大型チームにはなかった緻密な野球こそが、優勝旗を東北へもたらした一つの要因ではないだろうか。今日リリーフした髙橋をはじめ、仁田、湯田といった投手陣と橋本、山田の1番、2番、さらには4番の齋藤陽や正捕手の尾形も秋以降の新チームに残ることになる。来年以降も甲子園制覇を十分に狙えるチームだろう。

3年ぶりに観客、吹奏楽が戻り、いつもの甲子園の風景を取り戻した第104大会は、東北へ初の優勝旗がもたらされる形で幕を閉じた。


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