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サブトラック観戦チケットとは何か

私が日本陸上競技連盟のマーケティングアドバイザーをしている事は前に書いた。前回の投稿は5月に横浜で行われる「セイコーゴールデングランプリ」の話だったが、今回は6月に大阪・長居で行われる「日本選手権」の話だ。どちらも私のマーケティングアドバイザーとしてのミッションに含まれている。

ちなみに前回の投稿はこちらです。(たくさんの「好き」ありがとうございます!)

そもそもサブトラックとは何か?

陸上を良く知っている人にとってはなんてことない話だが、陸上の大きな大会では「メイントラック」と「サブトラック」が必要とされている。そう、なんとトラックが2ついるのだ。メイントラックは大会(試合)が行われるところ、サブトラックは主に選手がウォーミングアップをするところで、サブトラックはメイントラックの近くにあることが選手のコンディション維持のためにも望ましいとされている。

東京2020の陸上サブトラックはどこにあった?

記憶にまだ新しい東京2020 オリンピックの陸上競技は、新しく建設された国立競技場で行われた。ではサブトラックがどこにあったか知っている人はいるだろうか?知っているという人は相当な陸上通かオリンピック通だろう。

国立競技場の周りの地理に詳しい人ならわかると思うが、あの近くにサブトラックになるようなフルサイズの陸上競技場はない。強いて言えば東京体育館に併設されているフットサルコートのまわりに陸上トラックがあるが、流石にオリンピックのサブトラックとしては小さすぎるだろう。

東京体育館の陸上トラックは1周200M

では「東京2020の時に陸上競技のサブトラックはどこにあったのか?」
答えは「国立競技場の近くに新しくサブトラックを作った」だ。
神宮球場と盛徳記念館の間にあるただっ広い場所に、なんとわざわざサブトラックを新しく作って対応したのだ。コストも相当かかったに違いない。それくらい大きな陸上競技の大会を開くにあたって重要とされているのが、この「サブトラック」というものなのだ。

日本選手権が行われるヤンマースタジアム長居の特徴

さて今回、6月1日から4日まで4日間の日程で日本選手権が行われるのだが、会場は大阪にある「ヤンマースタジアム長居」である。昨年も同じ会場だったので長居での開催はこれで2年連続となる。

昨年訪れたヤンマースタジアム長居

長居には「サブトラックがメイントラックの隣にある」という特徴がある。メインとなる試合会場が「ヤンマースタジアム長居」。サブトラックが「ヤンマーフィールド長居」。2つのトラックの距離感はこんなかんじだ。

メイントラックとサブトラックが近い!

私は昨年の日本選手権に1日だけお邪魔した。たしか最終日の日曜日だったと思う。この時が私にとってはじめての陸上競技の大きな大会だった。会場を歩いていると何点かマーケティング視点からみて気づいたことがあったのだが、そのいくつかの事項の中の一つがサブトラックでふと感じたことだった。

この時、ご一緒した友人が主催者パスを持っていたこともあり、ご好意で実際にサブトラックの中に入らせていただいたのだが、そこで私はなんだかすごく特別な体験をしているような感覚になったのだ。そこには普段TVで見るような日本トップクラスの選手たちがたくさんいて(日本選手権なのだから当たり前だ)、そのコーチやトレーナー、それから「関係者」と呼ばれるような選手以外のスタッフもたくさんいて、談笑したり、ウォーミングアップしたり、ストレッチしたり、マッサージを受けたり、ありとあらゆる試合前後のさまざまなことが行われていた。試合会場とは明らかに違う雰囲気、でもこれも試合の一部なんじゃないかな。私はそう感じた。

私の知る限り、このように観客が(この時は特別だったのだが)選手の比較的間近で試合前後の表情をゆっくり見ることができるという競技は、実は他にあまりない。例えばサッカーや野球や卓球Tリーグなどで、試合前に公式練習を見ることができる場合はある。しかしそれは、試合開始時間のかなり前から、それ目当てに会場入りしなければ見れないことがほとんどだ。しかし、陸上競技は種目数が多いので、選手が試合に登場する時間帯がまちまちなのである。なのでサブトラック入りの時間もまちまちとなる。必ずしも早く会場入りしなければお目当ての選手が見れないというわけではない。これは陸上競技ならではの特徴といえるだろう。

これも陸上のひとつの魅力といえないか?

試合前後の選手の表情を割と近くで見ることができ、必ずしも早く会場入りする必要がない。これをチケット化してオフィシャルに売り出したらどうなるだろうか?
「サブトラックに(堂々と)入って、試合前後の選手の様子を見る権利」
陸上の熱心なファンならひょっとして見たい人がいるのではないか?
もしかしたら陸上のコーチや学校の指導者も見たいのではないか?
やっとことないけど新しいことをやってみよう!

というわけで、これを「サブトラック観戦チケット」として売り出すことになった。価格は平日800円、土日1000円とお手頃にした。これをチケット化する際には陸連のメンバーと色々とディスカッションしたのだが、もともとはこれまで書いてきたような私の実体験に基づいている(陸連のメンバーも面白いと賛同してくれた)。

お目当ての選手がいたとして、もしこのチケットを買えば、その選手の出場予定時間が夕方だったらきっと昼過ぎに行っても試合前の表情を見れるだろう。(保証の限りではありません…)

例えば男子100M決勝の前、サブトラックにいるサニブラウン選手や桐生選手が試合前にどんな表情をしているか、あなたは見たくないだろうか?

人も寄せ付けないピリピリした雰囲気なのか、実は結構リラックスしてるのか。それぞれ選手によって試合前のルーティーンもあるだろう。サブトラックの選手たちを取り巻く空気はスタート時間が近づくにつれてどんな風に変わっていくのだろう…試合前からドキドキする。私はちょっと見てみたいと思う。

「サブトラック観戦チケット」を販売開始しました!

いよいよ日本選手権まであと1ヶ月を切った。サブトラック観戦チケットを含むチケットの一般販売を、下記のサイトにて5月1日の11:00より開始した。ぜひ一度、どんなものかご覧いただきたい。
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17850/
(チケットには限りがあります。先着順です)

5月1日より販売開始!

一点だけ、このサブトラック観戦チケットだけではメイントラックには入れないのでご注意を。(試合も見たいという方は別途チケットをご購入ください)

もしも今回このサブトラック観戦チケットが売り切れれば、きっと「大成功!」ということで、来年はこのサブトラック観戦チケットとメイントラックでの観戦がセットになった「陸上を1日楽しめる最強チケット」が売り出されるはずだ。(本当か??)

乞うご期待!である。


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