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note10周年、高野寛のnoteも10周年

note10周年おめでとうございます。
そう、いつしか10年経っていた。

10年前を振り返ってみる。
あの頃のnoteはまだ、インディペンデントでオルタナティブなコミュニティだった。これからどうなっていくのかわからない、でも、何か新しいことが始まりそうな雰囲気に満ちていた。インターネット黎明期のフロンティアスピリットに似た意志を感じた。

僕はちょうど、25周年記念アルバム「TRIO」のブラジル録音から帰ってきたばかりの頃。これが、一番最初の投稿。

音楽家を生業としているけれど、ずっと、音楽だけでは物足りない表現の欲求を燻らせていた。当初からnoteには音声配信の機能が実装されていたのも魅力だったし、ここならテキスト・音声・写真を集約した表現ができそうだと感じていた。作品をnoteで買ってくれる人がいるなら新しい仕事の場になりそうだ、という期待もあった。

やがてnoteからはいくつものヒットが生まれ、コミュニティは日に日に拡大していった。ただしヒット作は主に漫画とテキストの作品で、音声配信機能は「商品」としては大きな話題にはならなかった。

日本でオリジナルの音楽を作っている人たちは、テキストやイラスト・漫画を書く人口に比べればそれほど多くないと思う。音楽配信プラットフォームとしては先行していたSoundCloudがあり、やがてSpotifyやApple musicも上陸した。

僕はnote限定でかなりの数の楽曲を発表し続けた。note発表曲の中から選曲して、「Everything is Good」というアルバムを2017年にリリースした。


2019年、30周年の時には「ずっと、音だけを追いかけてきた」というエッセイを書いた。写真や動画などを織り交ぜて、noteというプラットフォームならではの記録が残せたと思っている。noteは、レイアウトの機能が限定されている分、書く時の使い勝手がとても良くて、長文を書くときにも楽だった。


コロナ禍には日記を書いていた。不安の中、有り余る時間を活かして、いくつかのルーティンを決めた。ラジオ体操、散歩しながら写真を撮ること、日記を書くこと、そして音楽。

行動制限が解かれて、失われた日々を取り戻すように、イベントやライブが急増した。圧倒的に時間が足りなくなった。いや、コロナ禍に時間がありすぎただけなのか?とにかく目先のことをこなすので精一杯の日々が続いた。


そして今、35周年を迎えているところ。
コロナ禍で一度時が止まったのは、仕事の仕方を見直す機会になった。坂道を転がるように慣性で働き続けてきた感覚から解放されて、今は自分の心に問いかけて、やりたいことをやろうと思っている。

35周年のアルバムは、5年以上かけて作りためてきた曲に最近の書き下ろしを加えて、じっくりと製作中。周年に相応しい新しいイメージが出来つつある。乞うご期待。

2万人弱もフォロワーがいるのは、ありがたいこと。
これからもよろしくです。


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