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なぜ能登半島にボランティアが集まらないのか

先月末に能登半島に行って感じた私の意見を書き残しておきます。私は東京から金沢に行き、そこでホテルを取り、2泊しました。場所は明かしませんが、フロントでのチェックインがたまたま同じだったのが有名な新聞記者でした。私は映画もドラマもドキュメンタリーも講演会も見ているので声だけでわかりました。

そのビジネスホテルは、非常に簡素なホテルでしたが、金沢駅周辺はその日もその次の日もどこのホテルも一杯で、ADR(平均宿泊単価)の3倍ほどの料金。OCC(客室稼働率)は9割越え。繁華街ある片町も同様でした。金沢の街に震災の雰囲気はいっさいなく、街には人が溢れていることに驚きました。訪日観光客だけでなく、若者や会社員多い。とにかく若いと感じました。

能登半島は地形の通り、必ず金沢や富山を経由しなければ行けません。もっというと半島の喉元であるこのあたりをベースにしなければ、ボランティアも能登半島に宿泊施設がない以上活動できません。このベースからもっとも遠い地域が、震災のダメージは大きいのに、ボランティアをバスで送るにしても多くのボランティアセンターは、金沢や富山からバスで輸送しています。つまりどちらにしろ、復興に必要な長期のボランティアは、金沢や富山に来て滞在する必要が出てきます。ボランティアだけではありません。さまざまな業者もそうです。宿泊費もコストですから、コストが上がれば業者も遠ざかります。

この喉元にあたる金沢や富山が3月以降、特に北陸復興割から爆発的に観光客が増えてしまい、ボランティアを遠ざけています。私は宿泊業界にいたので、宿泊施設の単価と稼働率の推移を見るだけで一瞬でわかります。タクシーの運転手に聞くまでもなく、1月2月とは一転、3月より右肩上がりに増えているのがわかります。東京並に宿泊代が高くなった場所に学生や若い人が休日を使って行くでしょうか。

もちろん現在急ピッチで能登空港近くはじめ、さまざまな場所にボランティアや業者用の施設を建てており視察しましたが、まったく間に合っておりません。というより、宿泊施設だけ作っても効果は低い。道路インフラがまだ脆弱なため、輸送量がボトルネックになっていることももちろんあります。それを考慮しても、喉元にあたる金沢や富山などの都市でまずボランティアを受け入れられるようにすべきです。または、国や自治体がある程度投資して人を集めるか。また、街にお金を落とすべきというなら、消費喚起ではなく、企業や事業主に直接給付すべきです。

毎晩政治活動でヘトヘトになって帰ってきても夢に出るほど、輪島市、珠洲市、穴水町などで見た惨状は片時も忘れることができません。経済より復興を。復興なくして経済なし。その気持ちで取り組まなければなりません。復興した町に帰れることを待ち望んでおられる人も多い。政治の決断。国政の問題。それは江東区=東京15区としての問題でもあります。

高野はやと@江東区