見出し画像

国民民主党代表選における「政権交代」が持つ意味

あまり書くことではないかもしれないが、国民民主党代表選、両候補の演説の熱量がどんどん上がっている。演説において、政策や路線のどこを強調するかを訪れる地域地域で変えていることも勉強になる。

だがそもそも前原誠司さんの主張は決定的に不利なことがある。それは「政権交代」というワード。この「政権交代」と国民民主党の党勢拡大は、大きな自己矛盾をはらむ。国民民主党内での有権者の多くは、地方議員とサポーターである。自身の体験も含め野党第3党の地方議員で「政権交代」を意識している人は誤解を恐れずに言えば皆無に等しいだろう。

小選挙区制における野党一本化という候補者調整も、(比例代表並立制や参議院議員選挙における小選挙区制以外の制度を置いといても)、中選挙区制、大選挙区制で議席を獲得している地方議員にとっては、全く関係ないどころか、むしろそれは不利になる。一つは党の存続。もし党が他の野党に吸収されれば、地方選挙でも吸収元の政党内の複数の議員との争いになり議席獲得可能性は下がる恐れがある。また一本化のための候補者調整は、特に第3野党では、その選挙区内での党勢拡大のための総支部長、人員や資金などを失うことに繋がり、地方議員の当事者にとっては不利になる。

こう考えると、小選挙区における政権交代路線を進める候補を推すメリットは、その候補のご当地の議員以外はほぼない。

また衆院選で比例復活している議員や参議院議員はどうか。これも基本的に小選挙区における一本化に応じると候補を下ろす側に回る可能性が上がり、比例復活する可能性は下がる。参議院議員は、まず連合の組織内議員はメリットなし。中選挙区制で議席獲得している議員も特段なし。先の理由でデメリットあり。

残った小選挙区で勝っている参議院議員、衆議院議員だけは野党一本化を進めるメリットはあるが、そもそも現職がいる選挙区に、支持団体である連合の意向もあり立憲民主党は立てず、維新が立てても勝てるだろうし、れいわ共産とも支持層がかぶらないのでそう考えると「政権交代」という大義をしっかり持っている人だけからの支持となる。

サポーターも民進党、希望の党より後に加入し、第3野党として国民民主党に愛着を感じている人が多いと考えられ、基本スタンスは政権交代より、党の存続がまず第一義、次に党勢拡大ではなかろうか。

地方議員はそもそも二元代表制。大選挙区制。選挙システムが異なる。議院内閣制の小選挙区制をベースにして考えている人、そして現在、候補の2人が語っている国政における政策や憲法観、国家観に一致している人、そうしたマクロ政策や国家観を政治の原点としている人は、代表選の有権者にはおそらく少ないのではないだろうか。

18年前。早稲田大学の大隈塾の講義。毎週田原総一朗氏が政治家や経営者をゲストに呼び講義とトークをする。15号館の地下の101号室。毎週月曜日の3限。大隈塾だけは一度も休まず一番前に座り受けた。眠くならないように昼食は抜いた。前原誠司と枝野幸男。どちらが先か忘れたがどちらかが私が生まれて初めて話を聴いた政治家である。

高野はやと