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好きな言葉も、この家で変化した。シェアハウスを退去するときの気持ち。

4年間住んだシェアハウスを、あと3時間後に退去する。藤井風くんの『さよならべいべ』を流しながら今の気持ちを記録しておこうと思う。

「このシェアハウスに住んでいる期間は、人生のギャップイヤーみたいなものだね」と、あるシェアメイトと話をした。この家に住む人たちはみんな、どこかへ向かう途中。横断歩道の真ん中で出会う人たちのようなイメージ。

この家で生きた日々は、愛おしく、混乱に満ちていて、どの思い出の断片を拾ってもニコニコしてしまう。あんな奴いたな、こんな会話があったな、でもどれも笑い飛ばしたな、と思う。もちろん自分が精神的におちたり、シェアメイト間での誤解や価値観のずれによる”グレーな気持ち”期間はそれなりにあった。でも、その気持ちはあんまり覚えていない。

思い出すのは、リビングに集まるメンバーたち。おはようの挨拶や、映画を見ている人の姿や、料理を大量に振る舞ってみんなでがっつく姿や、キャンドルの光だけが灯る中話し込む姿。

四年間も住んでいると、本当にいろんな人がいた。それぞれとの親密度や相手への理解度の程度は異なってくるものの、みんなどこか欠けていて、そこが愛おしいポイントだった。どんなに完璧そうな人間でも、その人の一日が見える距離にいると、必ず欠けが見えてくる。私はそんなところがチャーミングだなと思って、割と好きだった。

大学を卒業して、思っていたように現実が進まなくて、自分一人では人生に立ち向かえないとき、いつもシェアメイトがいてくれた。今日の気分を聞くことから始まり、無言でお菓子を差し出してくれる人もいた。それぞれなりの優しさを持ち寄って暮らしていた日々はとても貴重で、温かかった。その恩返しをできたかな〜〜、怪しい笑

シェアハウスでの生活は「相手の靴を履いて考える」ことのトライアンドエラー。いくら考えても、育ってきた環境が違うので分かり合えないことの方が多い。だから、対話をしまくって相手の立場を想像するしか、互いの暮らしの折衷案は導き出せない。自分が暮らしやすい環境を作るために、相手のことを理解する努力をすること。それはとてもエネルギーがいることだが、相手との価値観の違いがわかった時、「だからあんな行動を取るのか!」と全てが繋がる楽しさがある。価値観の違いを面白がって暮らすことがシェアハウスを楽しむコツかな。

実際、本当に価値観が全く違う人ばかりだった。その分、「価値観バラエティ」が増えた気がするので、社会において割といろんな人との会話に対応できるようになったと思う。対話筋トレめちゃくちゃしてたな。20代の自己理解の定まらない時期に、多様な価値観とぶつかりあえたことは、自分の芯を発見することにも繋がった。特に「自分は料理が苦手である」と、自分の苦手を受け入れることができたのは大きくて、欠けている自分を自然体として愛することができるようになった気がする。

手先は器用で割とできることが多い自分にも苦手(誰かよりは劣っていること)があると気づき、自分の輪郭線をよりはっきり認識することができるようになった。これをシェアメイトとは「自分の身の丈を知る」と言ってた。身の丈を知ると、自分に合っている範囲がわかるので頑張りすぎなくて済む。こんな感じでどんどん生きやすさを獲得していった。

また、「自分勝手」と「自分らしさ」は違うよね、と言う話もした。共同生活において、この違いを認識してたまに自分に当てはめてみるのは重要。今のは「自分勝手」だったか?「自分らしく」振る舞っただけか?シェアの生活は、関係が構築されていくにつれて段々と気を遣うことが緩んでくるんだけど、ふと立ち止まって「今のは自分優位すぎたかも=自分勝手」と反省してみるの、めちゃ重要。一人暮らしではないので、そこの手綱は握り続けないとメンバーの不満を買うことになる。

この家で出会ったメンバーと、諦めずに対話をするのは楽しかった。私よりも私の人生のことを真剣に考えてくれる人たちと出会った。時には過去の深淵をのぞく苦しい対話もあったけど、ただそばにいて見てくれているシェアメイトの存在が"浮き"となって、立ち向かうことができた。あまりにも真剣だったので、リビングで何度泣いたか、泣かせたかわからない笑

随分と自己理解が深まったものの、まだまだ私はこれからも変わり続けると思う。シェアメイトを見送る時にいつも言うのは、「私たち変化した先でまた、その違いを面白がろうね」ということ。環境も年齢も関わるひとも変われば私たちは変わる。その先でまた交わることができる日を楽しみにしてる。

好きな言葉も、推しの価値観もこの家で変化した。

精神的な孤独はこれからも抱えて生きると思う。でも、そんな私に多様な家族の形を教えてくれた家でした。どうも、ありがとう。

DeepLが翻訳してくれたのでそのまま載せる。
You are all worthy of being loved.


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