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【詩】 聖者の行進

捨てられる


我が身を躙れ
残されるのはいつでも己
去りゆくのはいつでも誰か

去りゆく誰かになりたいと願ったことがあるか

誰しもが同じ歩幅で歩いていれば
踏む大地が異なっても気付くまい
隣にいる誰かの顔が同じならば

聖者の行進
愚者の行列
さして違いはなく

聖人の像が面に彫られた硬貨ひとつを大事に手に握りしめて

彼は今日も硬い石畳に座る
夢と幻は追うものであって
掴んだ瞬間に日常と消える

日々は生
生は日々
いつか終わる日まで似た日々を繰り返しながら連綿と続き

やがて誰しもがあの塚に埋まる

刻まれた墓標もやがて風に消えるだろう

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