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【詩】 月夜に吠えろ

繰り返し


繰り返し

いつも覚えているわけではなく
いつも忘れているわけでもなく

繰り返し
繰り返し

牙持つ人々のことを考える
爪持つ人々のことを考える

やさしい
やわらかい

ゆるい
ぬるい

磨り減らされるような耐え難い何かの中で

虚空に向かって吼える獣のように
己の殺しきれない焦燥と渇望に
駆り立てられるような激情と絶望に
吼えて
吠えて
哮えて

前へ進もうとしたその足跡が
綺麗に整った木目の床に無惨な疵痕をつけることを目の当たりにして

どうして
何もない荒野を
ただ独りいつまでも駆けていくような
月と闇が懐かしいような
そんな気分をいつも味わいながら

それでもどうしようもなく

繰り返す
繰り返す


月夜に吠えろ
誰のためでもない

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