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【短歌】晴れ渡る青い空まで立ち上る茶毘の煙を見るも叶わず2005/04/24(日)

昔の短歌でも更新しようかと思って見ていたら、こんな歌があった。

この時、友人の訃報を聞いた。

まだ、三十代だった。

仕事の同期だったが、交差点に突っ込んでの交通事故だったと聞いた。

他の同期から、当時の職場の上司との関係性がうまく行かず、悩んでいたと後から聞いた。

非常に厳しく当たられていたとも聞いたが、その当時の上司の名を聞くと、その前の前くらいの転勤で俺が非常に世話になった人だった。俺の知っているその人は非常に穏やかな人で物腰柔らかく、誰かに理不尽に当たっているのを見たことがないような人だったので耳を疑ったが、人と人との相性は決めつけて分かるものではない。

しかも、流れてくるのは無責任なまた聞きばかりで、所詮人の噂に過ぎない。

ただ、まだ若いのに、とお決まりのことだけは思ったことを思い出す。

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2005/04/30(土) 
焼き尽くせ焦がれ焦がれて秘めゆきてその身ひとつの炎ならでは

2005/04/29(金) 
良く晴れた日付は休みに今日も仕事ではや数時間

2005/04/28(木) 
償えることなど世にはなにひとつ晴れる蒼空人いさかえる

2005/04/27(水) 
日々の暮れ言い出しかねて既に数年いっそこのまま墓までひそめ

2005/04/26(火) 
追い縋るそれはおのれがそれとも時が踏み越え行き着くついの果て

2005/04/25(月) 
週初めこの気の重さは誰しも同じ踏み出す一歩がやけに重くて

2005/04/24(日) 
晴れ渡る青い空まで立ち上る茶毘の煙を見るも叶わず

2005/04/23(土) 
告げられた訃報に慄き咄嗟には何も言えぬでただ嘆息する

2005/04/22(金) 
酔いどれて醒める寝覚めの悪さなら朝の光が強く目を射る

2005/04/21(木) 
振り返る道の後に何もなくただ前を見て足を踏み出せ

2005/04/20(水) 
口惜しくただ口惜しく思えども人士それこそ仕えるの語か

2005/04/19(火) 
前を向き先陣切って駆け抜ける後顧は知らずただ進むのみ

2005/04/19(火) 
振り返る我が名はいっとうその意味を果て行くまでにきっと掴めよ

2005/04/17(日) 
生い茂るひしめく命溢れゆく喰らい合うのも世の理と

2005/04/16(土) 
横様にたなびくけむり陽の光生まれる雲の遠い源

2005/04/15(金) 
大振りに肩で風切る後ろ姿虎の威を借るそんな人かは

2005/04/14(木) 
目の前の命綱ひとつ掴めずに沈み行く人を如何に遇せん

2005/04/13(水) 
くるくると回る目の前酔いの果て義務の酒ゆえ悔恨募り

2005/04/13(水) 
疲れ果てはっと気付けば真夜中の丑三つ時すら既に時過ぎ

2005/04/11(月) 
刮がれる我が哀しみを捨てていけ後生大事に持つべきもがな

2005/04/10(日) 
荒れ狂うこの心持ち道に舞いすさぶ桜の姿にもにて

2005/04/09(土) 
咲き誇る桜並木のそのかげに顔を覗かす新緑のいろ

2005/04/08(金) 
さくらはな咲きゆくさまをまぶたに残しいずれあえかに散るを惜しまん

2005/04/07(木) 
白い空白い煙のあがるさまもくりもくりと形を変える

2005/04/07(木) 
床に落とすは我が身かこれかさては昨日もままならぬ

2005/04/05(火) 
過ぎゆきる足りぬ足りぬでつづら折り時の流れも蛇腹折りかな

2005/04/04(月) 
あちこちが年月という名の狼に喰われ裂かれて壊れ行くまま

2005/04/03(日) 
入れたはずそうは思えど携帯の電波届かず日付はとびる

2005/04/03(日) 
さまがわりひとはかわらずしかしかわれりめにはさやかにみえねども

2005/04/01(金) 
道辿り走るばかりの我が身ならついの果てこそ知るべきなれど


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