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読書感想文:奇想の図譜/辻惟雄

というか、表紙の「からくり・若冲・かざり」という煽りはいかがなものか。若冲は人名(というかペンネーム)であって、別にからくりとかざりと同列ではないと思うのだが。まあいい。

同じ著者の奇想の系譜という本の姉妹本なのだが、でもって、こっちの方が妹なのだが、姉をその辺に置き忘れたので(こら)、こっちを先に読み終わる。
なかなか面白かったのだが、系譜も読むべきなんだろうな。

正直、私はきらきらピカピカしたものが大好きだ。侘びとか寂とか実は時々ついていけない(理解できないわけじゃないのだが)、そんな私には日本人が実は派手好き!という論旨は案外掴みやすい。

本は、北斎、波、洛中洛外図、若冲、白隠、写楽と来て、さいごに「かざり」の論旨にはいる。
正直これが個人的には一番面白かった。
山の「見立て」の話、ばさらの話し、風流(ふりゅう)の話、結構成る程なと思いながら読むところも多く、民俗学的な興味から読むところもあり、「過差」の話は相当に興味深い。

ただやっぱり文庫なので、図版が白黒なのは寂しい、まあ無理もないのだが。>文庫だし廉価版だし。学芸本はいつでも高いんですよ(癇癪)!

ポイント的には、「作っては壊す」の論理が楽しかったかな。
祭りの飾りとか。

その辺は、いい感じで面白いと思った。

(2008 楽しげに読んでいるのが分かる。この数年後、辻先生が某放送でこの「奇想の図譜」について「二匹目のどじょうを狙いました、そうはうまくはいきませんでしたが。」とおっしゃっておられて飾らない人柄を感じた。しかし、こういった学術書(奇想の系譜、図譜)がベストセラーになること自体、非常に稀なことなので、その凄さを先生はもっと誇ってもいいのではないだろうか、誇らないところが持ち味でもあるが)


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