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読書感想文:硝子戸の中/夏目漱石


表紙のあるものが、新潮とこれしか見当たらなかった、確かに私が読んだものはこちらの岩波であったように思う。(小学生のじぶんから何度か再読)

私はこの作家の書くものがなべて好きだ。
胃弱で、おそらく留学の心痛を端緒として意を痛めたと推察される彼は、おそらくあの時代を集約した「近代人」のはしりであり、それを文筆と言う形で表に現した数少ない人物のうちの一人だった。
或いは、江戸を引きずり、或いは日本を否定し、或いは困惑のうちに影響を整理しきれず、西洋と日本を周知した上で、自己分析までをなして見せ、東洋を失わなかった彼の、その視線の鋭さと優しさに時折感嘆する。

私は彼の著作が好きだ。

彼の書くものは、ひかりもやみも含めて、とてもやさしい。

(2006/9 夏目漱石は勿論これ以外も読んでいるが、当然の如く初読は「吾輩は猫である」だった。随筆集が存外好きで、硝子戸の中は気に入りである。)


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