【短歌】 あとわずか数える心に鞭を打つそれが終わりで無いと知るなら2005/03/29(火)
これは仕事の句だ。
重荷を背負うが如く、気が重かった案件だろうが、当然なんだったかは既に覚えていない。
この時期の句は、前月に引き続き、ほぼ重く暗い。
仕事は忙しく体調は今ひとつ、酒杯を傾けるのが楽しみというのがいまだに伝わってくる。
表題には、今、選んだ一句と思ったが、「揺れ揺れて電話ひとつが繋がらず人の安否を如何に知るかと」と迷った。
だがまあ、そちらの句は、ああこの日地震があったんだなあという種類の心の動きだったので、こちらにしておいた。
最近、あまり句を捻っていない。
やはりどこかで貯めておきたい気もするのだが。
2005/03/31(木)
知らぬ間に日付が変わる忙しなさ幕無き窓辺に赤い月こそ
2005/03/30(水)
まだここで咳が止まらぬその日でもやることばかりは積み上がりおり
2005/03/29(火)
あとわずか数える心に鞭を打つそれが終わりで無いと知るなら
2005/03/28(月)
明けやらぬ暗い時刻に咳き込みて望まず醒める今日の日付か
2005/03/27(日)
午過ぎていまだに冴えぬ我が心空の色にぞ惑わされつつ
2005/03/26(土)
積み上げてようと知れるは月日の重さ知らぬ間に増えた本箱
2005/03/25(金) 藍玉
熱はらみいつも目覚めぬ時刻にも寝返る動きでおのずと醒める
2005/03/24(木)
明けそめて東の山際遠く見る雲か霞か陽はいずくかと
2005/03/23(水) 藍玉
のどいがら奇妙に汗ばむその日でもそれを風邪とは認めたくなく
2005/03/22(火)
うたた寝に醒める夜中の時計針未だ夜明けは遠く来たらず
2005/03/21(月) 藍玉
光射す春の季節に窓を開け仮の住処をあける用意を
2005/03/20(日)
揺れ揺れて電話ひとつが繋がらず人の安否を如何に知るかと
2005/03/19(土)
五十年下天のうちのその長さ既に費やす人の後ろ身
2005/03/18(金)
杯の露の一滴それこそを惜しむ姿がすべてを語る
2005/03/17(木)
沈み行く心の淵に小夜更けてただ月望むそれが叶わぬ
2005/03/16(水)
ひとひとり路線の果てに轢かれても皆足止めに憤るばかり
2005/03/15(火)
霞む空春には遠く冬なごる凍てつく空気肌を刺すまま
2005/03/14(月)
明日には俺の姿は消え失せておるもおらぬも海の藻屑か
2005/03/13(日)
降りそそぐ春の日射しに雲流れしばし見惚れて空を見上げる
2005/03/12(土)
巣立ちゆくその人の背を見送りて願う望むはひとのさいわい
2005/03/12(土)
またしても日付を過ぎて思い出す飲んだくれなどろくでなしなれ
2005/03/10(木)
空の色斑に染まる白と青さらに続くは灰と黒藍
2005/03/09(水)
突然に叫びだしたるその女金切り声でどこまで届く
2005/03/08(火)
ついのはてそのみひとつでだれしもがいつかうかぶせそしてしずむせ
2005/03/07(月)
春の宵巡り合わせて隣り合う仄かな酒の味を共にと
2005/03/06(日)
日が落ちてやっと今頃歩みだし外へ出るのも遅きに失す
2005/03/05(土)
八雲立つ空の彼方の山のきわ速き流れの行きし方見て
2005/03/04(金)
過ぎゆきて終の見えたる我が姿辿りつかねど前を向くべき
2005/03/03(木)
御方の待つを許せばいつまでも待てると言うに待つなと言うか
2005/03/02(水)
名をそねみ陥れらる我が身でもいつか浮く瀬のあればあらずや
2005/03/01(火)
君にはや取り残されて立ち尽くす俺の名前はただの道化と
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