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【短歌】有限の時間を僅かについばんで鳩に餌をば与える如く2005/05/20(金)

久しぶりに古い歌を拾った。

当時は日記がわりに一日一首と思っていた、数年で途切れるが、詳細は思い出せずとも、当時は仕事やらで苦労していたんだなあと思う、この辺はいつもの述懐だ。

その月の首を繁々と見返していて、一つ思い出したことがある。

当時は都々逸に影響を受けて、中道風迅洞氏の「どどいつ入門」まで買っていた気がする(Amazonで検索したら2004年に購入していたらしい、本当に影響真っ盛りである)。

短歌については実際の景色、情景が思い浮かぶようなものが好みだが、それとともに「気持ちの情景」とでも言うべき、強い感情を、浮かび上がらせるような首が読めたらいいなあと思うところもある。

先日お誘いいただいて、短歌ではなく俳句の個人企画に参加させていただいたのだが、非常な刺激となった。

五七五であれほどのことが描けるのならば、短歌にはまた違った可能性があるだろうと思う。

今はあの頃のように毎日詠もうと言うほどにはならないが、思いついたものはキ刻んでいきたい。

それにはTwitterも便利なのかもしれない。

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2005/05/31(火) 
言い募る人の言葉に聞き入りて明日は我が身と思いぬるかな

2005/05/30(月) 
日の変わるそれを目前駆け込んでそれでなにをばむきになるやら

2005/05/29(日) 
日も高く昼に目覚めて干す布団ごろり転がるどこに転がる

2005/05/28(土) 
かならずや至誠に悖るなかりしかだれしらずとも野に果てるとも

2005/05/27(金) 
くりかえすよせるなみよりはてしないひとのいとなみそしておろかさ

2005/05/26(木) 
倒れ伏し這いずるばかりの我が姿見苦しかろうと他に術無し

2005/05/25(水) 
君だけに俺の心を知らせるか思うはしからそれも望まぬ

2005/05/24(火) 
生き急げ所詮生きても百もない

2005/05/23(月) 
いくたびも書いては消してまた書いた便りを破る君のつれなさ

2005/05/22(日) 
目に入る全てのことを忘れゆく人のさがゆえ刻み残せよ

2005/05/21(土) 
過ぎに行く暦の上で休みならもう少しだけは心やすめよ

2005/05/20(金) 
有限の時間を僅かについばんで鳩に餌をば与える如く

2005/05/19(木) 
生き残りそれがだれとは聞けぬままただ負け犬の去る背を見送る

2005/05/18(水) 
ぐらぐらとこころゆらぐもあしもとはそれでもたおれるだいちさえなく

2005/05/17(火) 
鳴り響く破鐘(われがね)の音耳の裏揺れる振れるでぐらぐらと揺れ

2005/05/16(月) 
約定を違えぬためにどれほどの代価を払うかそれを惜しむか

2005/05/15(日) 
どれほどに道理を説いても砂の城三歩歩いて忘れゆくひと

2005/05/14(土) 
夜も更けて鈍い痛みに目を覚ます位置定まらず寝返りばかり

2005/05/13(金) 
おとがする安い普請の屋根たたくそれが雨音ひきもきらずに

2005/05/12(木) 
しずみゆくそれが眠りのすがたならせめて床(ゆか)より床(とこ)がよいのか

2005/05/11(水) 
沈みゆく人見かけても手は伸べぬいずれそれすらおのれの自由

2005/05/10(火) 
ひとつふたつとゃ数えちゃいるが何の数かも上の空

2005/05/09(月) 
行き過ぎる時の速さにふと気付き振り返りても何も為しえず

2005/05/08(日) 
酔い醒める昼のころにぞ起き出してあえかに残るは宵の夢かと

2005/05/07(土) 
滲みゆく硝子の向こうの風景に手をば伸ばして届くものかは

2005/05/06(金) 
うたた寝の仄かに醒める一瞬に夢を夢たり知り得てかすむ

2005/05/05(木) 
あなたには本当の俺など要らぬのだろうそれが哀しい

2005/05/04(水) 
ただひとり歯車止めて足踏みのだれがそうかと俺がそうかと

2005/05/03(火) 
脳髄に軽く響くは骨の音おのれひとりがよるにきくおと

2005/05/02(月) 
熱はらみ思うにまかせぬところでもすべきことなら山と積まれし

2005/05/01(日) 
酔いどれてただ酔いどれて息をつき望みはすでに潰えたものか


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