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読書感想文:希望格差社会/山田昌宏

希望格差社会  山田 昌宏 著

2007年に文庫になった本。
ちくま文庫ですな。

副題が「「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」とある。
別に突然引き裂いたりはせんと思うが、微妙なあおりはともかく、内容は真面目に面白かった。

二極化、フリーター、強者同士の連合、オールドエコノミー、高度成長期のパイプライン教育システム、「ゆとり教育」の自己目的化、理想と現実の数値のとの乖離、産業構造の変化、終身雇用制の崩壊、国際競争、様々面白かったが、最後の後書きが一番面白かった。
この面白かったは興味深かったの意。

「格差を語ることのタブー」というあたり。
それを語ること自体が認められないという現象は結構あると思う、実際に問題が表面化してから取り沙汰されることが多いけれど、それが浮上してくるということの意味。

社会構造変革が必要だという論議には賛成するが、「個人」として、それに賛同できる人々がどれだけいるか、私が例えば自分の生活水準を落としてそれに迎合しなくてはならないということになったとき、私がそれを受け入れられるか、多分無理だろう。
そして、社会構造変革という意識はあっても、現実には、大体理想論に走りがちで、改悪ばかりが目立っているように思える。

それから、著者は、「勝ち組」なのだ、東大出て、教授職にある人間。
「勝ち組」でなければ、時代を語ることも許されない。

(2008/9 今振り返って十年以上前に読んだ本だ。自分あてだと言葉足らずな気はするが今補足するとニュアンスが変わりそうで、誤字以外は訂正しないことにした。社会の格差は今なお広がり続けていると言われるが、格差の完全に消えた社会など一度でもあったのかと思わないでもない(それをよしとしているわけでもない)。)



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