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その物語を 綴ろう ゆっくりと しかし 歩みを止めることなく 綴ろう 旅路のように 生…
どこかで とぼとぼと かつて夜の道を 月だけを友に 長く歩いた どこまでもしるべのない道…
月が 高かった。 上に はるか上に 見上げる位置に月があった 星が霞むほどに
古い歌を 女が歌う 低い声の女が歌う 俺はその旋律を知っている いや 知っているような…
光が 満ちる かげる 欠ける 満ちる 曇る 遮られた 影が 光が 欠ける 射す 満ちる …
いくつかのこと 思い出すことなど 硝子戸の中 蛙 蟷螂 蟷螂が鎌首を擡げる 鎌首 蛇 …
呟かれる言葉は とりとめもなくて どこまでも こぼれ落ちる 転がりゆく 溝に落ちる 転がり落ちる 拾えない 言うつもりもない言葉でさえ 聞かせるつもりでない呟きさえ 転がり落ちた先で からりと響く さえずりにも似た 人の言葉 噂とは 反響音
うたを 君にうたを 俺に刃を 月の色のその煌めきを ほそい あえかな 吐息のような歌声…
つれづれ 駅附設の百貨店に立ち寄って、他愛もない買い物をした。 雑貨店でマットを三枚、…
溢れ出て こぼれ落ちてゆく言葉を いかにするか君よ ひろわば拾え 打ち捨てて踏みにじる…
擬音というのは よく出来ている つきん とか ずきり とか そう言ったものから ぐらぐ…
墜落する 垂直に 落ちた あとなんにち ゆびおりかぞえる しにたがるひとの いずれだ…
いずれ 砂に崩れる 血反吐を吐くような口惜しさも 腑が煮えるような憤怒も 慚愧も慟哭も…
世界の果てで 懐かしい歌が 奇妙な愛を歌え 錆びついた銅貨のように 熔けかけた鉄の心臓のように 割れた鐘のようなその声で 届かない 奇妙な愛を歌え