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薫る

淡青にくゆる
森を知らずに拐かされる

本を手に取る
背表紙は焦げた
ずっと前は赤かったでしょう?
今となっては白いのだ
背表紙ですか、これは本当に
金の題字はどこに行きました
燃えたって、そんなはずはないでしょう
今はそんなことはしてはいけない
本だもの

森の鳥が運ぶ
蛙が見送る
さらさらと流れ
文字が流れ
もう二度と君は残留しない

淡青にくゆる
紫煙をいとう
淡青は空気と誰が言う
血に交われば赤
当然さ、自然さ そこに在るのさ
水を飲むように毒を飲む
「結局そいつら同じだろ」

燃える 燃える なにもかも
燃えないものなどないのだよ
みんな毒を持ち毒を飲み
炎を抱え炎におびえ
炎を手放し
その先のことを考えたかい
放したろう、放したろう
放せてなどいないのだよ
残っているよ
なにひとつ
流れてはくれない

淡青にくゆる
消える
誰も 何も
知らない

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