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小さなWeb制作会社が、小規模でも長く存続できる、身の丈にあった経営のためにやっていること。

私はWeb制作会社の経営に携わり2021年で12期となります。
社員はもう5年以上固定で、それ以上に増やしもせず減りもしていません。
5年以上変わらない関係が続いています。

少しずつですが、社員の昇給、年一回の賞与を安定して支給できるようになりました。

私の会社では、新規の企業に飛び込みやテレアポで営業をかけるということはしません。既存の顧客に対して提案を持っていったり、営業をかけるようなこともしません。

基本的には問い合わせや案件の相談があれば、対応するといった具合で、待ちの姿勢です。

しないというか中心となって会社を経営している私が営業が苦手なのです。
人見知りで人の懐に飛び込んでいけないし、営業をかけて鼻であしらわれるようなことにも慣れない。

事業を拡大して、会社の売上げも利益も大きくし、雇用を増やして社会貢献するということは、経営としては正しいことなのでしょう。
しかし、私は実際に自分で経営を任されてみて、自分には小規模な事業範囲でコツコツと継続していくことを選びました。
(選びました、というかオーナーでもないのに勝手に選んでいます)

会社を拡大せず存続させることを優先に考えて経営していく、という考え方もあながち間違っていないと思っています。

事業を大きく拡大することより、小さくても会社を存続することを優先に考えるようになったわけ。

私の会社はWebサービスを作って一旗揚げてやろう!という目的で創業しました。いわゆるベンチャー企業です。

私はWeb制作会社に勤めていたところをオーナー社長にスカウトされ、取締役に就任させていただきました。
オーナー自身はIT業界については全く分からない方だったので、私が中心となってWebサービスを運営し、会社を経営していくという条件で一緒にやっていくことになりました。

創業当時は、会社を大きくして、スタートメンバーは給料もたくさんもらって良い思いをしよう!なんて夢を語りながら張り切っていました。

しかし、実際にはWebサービスだけでいきなり食べていけるはずもなく、売上げを上げるために受託案件を受けるうち、Web制作が中心のWeb制作会社へと変わっていきました。

創業から数年後、紆余曲折を経てスタートメンバーは自分以外すべて退職し、オーナー社長も別の事業を持たれている方で、そちらへ完全にシフトしてしまいます。

この時点で、創業メンバーは私一人だけになりました。

最初の数年こそオーナー社長の意見やアドバイスを聞きつつ、困ったときは相談をさせていただいていたのですが、突然、私と数名の社員で会社を運営することになっていきます。

私自身、この会社に出資したわけでもなく、オーナーでもないので、今までどこか他人事な部分があったのでしょう。
一人ポンと会社経営に放り出された途端、営業もうまくできない、売り込みをやっていても今までうまくいかなかったことが急激に不安になりました。

この先、自分一人の舵取りで会社を運営していけるのだろうか。
私にも妻子がいて家庭があるので、会社は存続しないと困ります。

創業当初の夢を追いかける人間が自分しかいない状況となり、このことが会社を大きくするよりも存続させるにはどう動いたら良いか?という考えに私をシフトさせることになります。

もともと、制作業界で物を作るのが好きだった自分なので、事業を拡大しようとか会社を大きくしてお金持ちになろう、という発想がなかったというのもあるでしょう。

一緒に夢を語る、同じ方向に向かって動く人がいなくなったと同時に、会社経営という現実に立たされたような気分になりました。

自分の力量の範囲で自分の居場所を守り続けるためにはどうしたら良いか?と考えた時、自分の身の丈にあった経営をするべきだという考えにシフトしたのです。

オフィスを今までの1/2の賃料の場所へ移転。

今の事務所は、5人分の机と書類棚などを並べて、狭さを感じずに使える程度の小さなシェアオフィスです。
それ以前は、8人くらいは入る、渋谷から徒歩0分の一等地のシェアオフィスを借りていました。

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