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Webサービスのコラボ(協業)は、制作会社にとってあまりメリットがないと思った理由

ひと昔前ですが、自社でWebサービスを開発して運用していると、コラボ(協業)しませんか?という相談をいただくことがよくありました。

その内容というのは、運用しているサービスの仕組みを使って、一緒に新しいサービスを構築したい、同じようなWebサービスを作って欲しいというものです。

個人の経験上で言うと、この「Webサービスのコラボ」っていうのは、やめておいた方が良いです。

制作会社にとってあまりメリットがないのと、そもそもコラボしても、収益性がかなり低いからです。

Webサービスのコラボとはそもそもどういう話なのか、という話を踏まえて、私がコラボをやることのメリットが少ない理由について、書いてみたいと思います。

私の経験上の話ではありますが、Webサービスでコラボ・協業などの相談を受けている制作会社の担当者の方の、ひとつの判断材料になればと思います。

協業といいつつ、制作にかかる人件費は、制作会社持ちになることがほとんど。

Webサービスのコラボにおいて、サービスの開発自体は、制作会社の方で行ってほしい。
すなわち、制作費は出せないけど、うちの会社の名前やサービス名を使うことはそちらにもメリットあると思うので、制作はお願いね!ということが多いです。

すでにWebサービスを開発している制作会社だったら、同じようなサービスを構築するノウハウはあるので、比較的容易にサービスを構築できるでしょう、という発想で声を掛けてくるのです。

これって結局、制作にかかる人件費は制作会社の持ち出しになるわけです。

私は、制作にかかる人件費の持ち出しもそうですが、スキルやノウハウを提供することに対して、無償というのは納得がいかないので、相談を受けた際は、必ず制作費の交渉をしていました。

制作費の話をすると、たいていの方は顔を曇らせて、見積もりだけは出させて、そのまま連絡がなくなるというパターンが多かったように記憶しています。

コラボしましょう!と制作会社に声を掛けてくる場合、話を聞いてみると、制作費をかけずに、うまく自社の商品やサービスを展開したい、と考えている企業がほとんどです。

制作会社の考え方にもよりますが、開発にかかる人件費は、制作会社の負担になりますので、どれだけのメリットがあるのか、よく考えてから話に乗った方が良いと思います。

受発注のない関係では、企画自体がとん挫することもある。

制作費は出ない、という前提でのお話ですが「一緒に面白いことやりましょうよ!」とノリで動き始めたような企画は、突然頓挫することがあります。

制作自体は始めてしまったのに、「社内の都合で今回の件はいったん見合わせになりました。せっかく相談に乗っていただいたのに申し訳ありません」みたいな話はよくあります。

私の経験でも、企画書や設計までさせておいて、頓挫したことは何回かあります。(こういう経験が今になって活きていますが・・)

機密保持契約くらいは結んだとしても、受発注のない関係性ですので、リスクが大きいのは、サービスの設計や制作などの実働をする制作会社です。

創業したばかりの制作会社などは、知名度アップや制作実績になる言葉についつい乗って、少しでも実績を作りたいと考えてしまいますが、制作したものは公開しないと、実績にはなりません。

受発注のないような制作の話に乗る場合、突然なかった話になる、ということは、念頭に置いておいた方が良いかもしれません。
個人間でもよくあるようですが、作ってもらっておいて、支払いの段階で揉めるなど制作ではよくあります。

実際に制作を行う制作会社の方が、リスクが高いということだけは、頭に入れておいたうえで、何があっても納得できるという前提で、話に乗るのであれば乗った方が良いでしょう。

収益のレベニューシェアはほぼ成立しない。

Webサービスで収益を上げるのには時間がかかります。

<参考記事>
https://note.com/takamoto/n/n7bd377f37237

大体、協業と声を掛けてくる企業は、制作にかける予算がないので、当然のことながら、広告費をかける予算もありません。
そうなると、結局収益をシェアすることなく終わってしまう可能性がかなり高いです。

たとえば、ネットショップを作って売り上げのレベニューシェアというのであれば、まだ少し現実的かもしれません。

しかし、Webサービスの課金や広告収入、スポンサー広告で収益を上げるのは至難の業です。短期間で成果を出すには、やはり大手企業のように広告費を潤沢にかけるしかないのかと思います。

出会い系サイトを運営している会社の方とお話した際、出会い系サイトは看板やティッシュ、ネット広告など、いかに広告費をかけられるかによって、明暗が分かれるそうです。

ですので、予算がかけられない同士がコラボしても、レベニューシェアどころか収益すら満足に発生しない可能性がかなり高いのです。

メリットのあるコラボとは?

私の考えるメリットのあるコラボとは、お互いにリスク(人件費や広告費)を折半して、自社だけではできなかったサービスの売り込みができることだと思います。

たとえば、制作は制作会社で対応するので、広告や宣伝については、御社で費用を負担して欲しいなどです。

制作しない企業は、制作費がかからない分を広告費に回せますし、制作会社は自社で開発して広告宣伝費をかけるよりは、少しでも費用を掛けずにサービスを延ばすことができます。

うまくサービスが広まれば、そこで初めて制作会社にとっては、そのサービスを作ったという実績になりますし、収益が生まれればレベニューシェアなどの話が初めて成立します。

Webサービスの運営で、十分に人件費を捻出できるようになるのは、かなりの至難な業なので、コラボしても成果が出ない可能性はありますが、お互いに折半して、自社でできなかったことをやってみる、ということであれば、ダメだったとしてもチャレンジしてみる価値はあると思います。

制作会社は制作のみで、運用はお任せするという関係性もありますが、運用は成果が出てこないと止まってしまうものですので、それでもイーブンな関係は築けないのではないかと思います。

マイナス面ばかりをあげましたが、コラボして良かったという企業もあると思います。

ただ、小さなWeb制作会社で名の知れていないWebサービスにかかってくるコラボ案件は、大体こんな感じです。

参考までに。

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