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読書感想文:オカマだけどOLやってます。

はじめたばかりだし、本当は自己紹介とか書きたい?書いた方がいい?のだけど、昨日読み終わってホットな状態なので今日は読書感想文を書くことにする。

能町みね子さんの本を読んだ

最初に書籍化されたのが2006年で、この文庫本はその後のあとがきも追加されて2009年に発売。
この本を読んだきっかけは、知り合いがおすすめしていたから。
その方は男性だけど、紹介した本がどれも”性”にまつわる内容だったので、彼の中でホットなテーマだったんだろうね。

能町みね子さんといえば、深夜の番組で久保ミツロウさんとヒャダインさんと出ているのを見たり(詳細は覚えてない)、オールナイトニッポンで久保さんとふたりでパーソナリティやっていたり、見かけたことはあるけど何をしている人か知らず、文化人枠というか芸能人以外に本業がある人なんだろうなと思っていた。
そして今回の本につながるけど、女性だと思っていた。名前と髪の長さで自動判別していたっぽい。
だからこの本を紹介されたときにびっくりしたな。

あとこの本、ひとつひとつの章というか区切りがやけに短いと思ったら、元はブログだったらしい!そこからの書籍化して、漫画家・エッセイストデビューなのね。納得。
文もイラストも自分で書いていてすごい。イラストもすごくいい感じなのよ。

世の中の当たり前じゃない側の人になったときの気づき

世の中多数派に都合のいい設計になっているので、そうじゃない側に立ったときに気づくことは多い。
私は体と心の性別は一致しているし、これまで生活してきた中で”不便なことだらけ”だと思ったことは少ないと思う。
でも心と体が一致しない場合、普段の生活の中でも問題は起きるなと。

例えば、トイレやお風呂。各種書類の性別表記。性別に合わせた接客やサービス。
当たり前に過ごしているけど外に出れば常に性別を気にしておかないといけない世界なのかも。
この本に書かれていて初めて知ったけど、運転免許証には性別表記がないんだって。確認したけど本当になかった!

あとは地味にこたえそうなのが、自分がオカマ(能町さんはオカマという言葉を選んでいた)だと知ったときの相手の対応。非常にスリリングだな。
オカマだからといって急に距離を縮めてくる人もいるらしい。拒絶されるのも嫌だし、反応次第で嫌になっちゃうときもあるかも。

話は変わるけど、とあるラジオで「自分がゲイだと一番仲の良い友人(女性)に伝えたら、「私、ゲイの友達ほしかったんだよねー」と言われてショックだった」みたいなお便りを紹介していた。
パーソナリティは「それはひどいね」、というような反応だったけど、正直な話、私はその反応をした女性の気持ちも分かるし、自分が10代とか性に関する知識がなかったら同じような反応をしてしまうかもと思ったことがあった。
想像するに、カミングアウトする側はこれまで自分の性について考え抜いて、いろいろ調べて知識もあって、打ち明ける相手との関係や性格も踏まえた上で伝えたんだろうけど、カミングアウトされた側は何の準備もなく不意打ちで難しい問題を突き付けられた状況なわけよ。
ただ、それはカミングアウトした側にとって重要な問題だし、自分の反応を見られているのも分かると思うのよ。そこであまり深刻な雰囲気にしないように、自分の驚きや戸惑いがバレないように、軽く明るく反応したんじゃないかと。
というのは自分がカミングアウトされた場合の心境であって、この女性がどうかは分からないけど。ただ咄嗟にそういう反応をしてしまう人もいそうだし、それが本音とは限らないぞと思ったって話です。

話を戻して。。
この本はまったく辛いとか苦しいとか感じさせない、むしろ楽しくておもしろいエピソードがたくさんあった。もはや当たり前すぎて女性には気づかない女性あるあるがおもしろかったな。
考えさせられるエッセイもいいけれど、楽しく軽くあっさりと読めるエッセイもいい。性に関する苦悩を描いた一冊だったら、気軽に手に取れなかったと思う。

ちなみに2009年に追加されたあとがきでは、性転換手術も済ませて「オカマじゃなくてOLやってません。」という状態に。
なんか、いいなあ。
書籍化されたものを見てうらやむのはおかしな話だけど、人の人生が特別なものに見えたり波乱万丈だったりするとつい自分のと比べてしまう。

自分の人生を書籍化するとしてタイトルつけるとしたらなんだろう。
「何の勝算もないけどフリーランスになってなんとか5年やってこれたけど、40歳を前に高い壁の前で立ち止まっています」とか…。

楽しくなさそーだし誰も手に取ってくれなそう。笑
ポップにおもしろく書けるかな。

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