「結婚と姓」に関して
■はじめに
♪ だんごさんきょうだい のブームがもう20年ほど前のことであるというのには驚かされるばかりではないでしょうか?
男3兄弟の絆や葛藤を代弁するような歌詞が詰め込まれたあの名曲ですが、同じくNHKの大河ドラマを見ると、あの歌詞の重さを私は感じさせられます。
今回は、「家」(家族、家系)に関するもやもやを述べていきます。それから、私には父方にも母方にも、妻の姓に改姓した親戚がいるということを前もって伝えておきます。
■選択的夫婦別姓に関して思うこと
昨今、「(選択的)夫婦別姓を制度化して、夫婦を平等化しよう」といった議論が水面下で活発しつつあります。しかし、矛盾点があります。それは、
1.日本をはじめ東アジアは古来夫婦別姓(それに姓を持てた人は一部だけ)の文化だった
2.間にできた子供の姓まで平等化できるか(男子には父親、女子には母親の姓を付けるとかでしょうか?)
3.マイナンバーを活用すれば、現在の夫婦同姓に基づいた改姓の面倒な手続きは一発で終わるのではないか(旧姓併記の仕様にすることも技術的には十分可能)
というものです。
1に関して補足します。現在の夫婦同姓はフランス民法から取り入れた制度、つまり明治期の西洋由来であることは明らかです。頑なに守りたがっているものは、古来の伝統ではなく、政治家に有利(家族が一体となって選挙を戦っているというアピールがしやすいため)な仕組みです。
選択的夫婦別姓はあくまで、「多様性」の手段の一つに過ぎないという所ではないでしょうか?
■兄弟の属性
最初に、「だんご3兄弟」の話をしました。某環境大臣(某構文)でも、某お笑いコンビ(某体操)でもないですが、
一番上は長男、一番下は三男、間に挟まれ次男
です。
長男を「家を継ぐ者」として"特別"重宝するエリアは今なお多いようで、おそらくこの慣習は捨てきれないでしょう。ただ、それが当たり前になっていると、場合によっては高飛車になっている人も残念ながらいるのが現実のようです。
『不機嫌な長男・長女無責任な末っ子たち』(五百田達成 著、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)という著書がありますが、ここには属性の特徴が事細かに書かれています。
大河ドラマ『真田丸』でも真田兄弟の性格の違いが露呈していました。
■あなたの子孫は、どこから...?
男性の皆さんにお聞きします。
あなたに男兄弟はいますか?
また、兄や弟とはどのような仲ですか?
本家はどなたが継ぐ予定になっていますか?
本家を継がない方だとしたら、どのようなライフプランを考えてますか?
また、女性の皆さんにお聞きします。
あなたに男兄弟はいますか?
もし兄も弟もいないとしたら、姉か妹はいますか?
あなた、もしくは姉/妹への婿入り候補は見つかりそうですか?
それとも全員嫁入りの予定ですか?
それとも男性の養子を迎えますか?
我々日本人は、神仏を心の底から信じることはしなくとも、「家を残す」(場合によっては養子を迎えてでも)という使命を受け継いできました。江戸時代には、後継ぎ能力者がいなくなった家は取り潰しでしたよね。
その使命が、今ではいわゆる「パワハラ」と感じてしまう男性も少なからずいるかと考えています(女性なら「セクハラ」と言うはず)。「先祖代々受け継いできたものを壊す気か」的なことを言われたり、「少子化して国が亡びる」的なことを言われ、実は泣く泣く婚活をしている男性も少なくないのではないでしょうか?(「それなら金とゆとりをくれよ」と言いたくもなるかと)
もっと言うと、「生殖は生物の本能だから」みたいなことを言う大人も多いですよね。だとしたら、この失われた時代(10年とか20年とか)を引きずっているのはあまりにも無責任ですよね。
その中で考えるライフプランでは、上で投げかけた質問が出るかと考えています。そしてこれは、次に言及する、「男系家族主義」という縛りに原因があるという仮説が私の中で立ちます。
■男系家族主義
男女が結婚すると、女性が嫁入りして、男性の側の姓に統一する(夫婦別姓の前近代では、生まれた子に男性の姓を付ける)のが原則でした(明文化はされておらず、実家の意向に基づいて行われます)。この、「明文化こそされていないけどみんなやっているから自分もそうする」という所には "もやもや" する人もいるのではないでしょうか?
また、兄弟ともに結婚して家庭を持つと、「本家」と「分家」が発生します。あなたには、「同じ苗字を持ったいとこ」はいますか?(私はいませんが)
しかし、「分家」ができることで、歴史上、様々な身分において争いが起きました。例えば、
・武家(新田と足利)
・貴族(藤原式家と藤原北家)
・天皇家(大覚寺統と持明院統)
などです。GHQは、「男性社会」(「男は外で働き、女は家を守るべき」の考え)が争いの火種になり得るといちゃもんをつけてきましたが、私は、「男系家族主義」(「結婚したら男性の側の家系として後々残る」という考え)が、収拾のつかない争いに繋がると考えるわけです。
なぜなら、「分家」はやはり微妙な、気まずい立場と感じていた痕跡が見られるからです。苗字の漢字を一部変えたり、苗字そのものを本家の面影の無いものに変えたり、本家の苗字に装飾した苗字に変えたりして向き合っていたのです。そもそも、従来は、「兄弟は他人の始まり」で、いとこともなれば立派なライバルでした。上で挙げた3つの例は、元をたどれば同じ親を持つ者同士が別々の家を残したことに起因します。そして、グループ対グループの戦いに発展しました。
現在でも、グループ対グループとまではいかなくとも、兄弟(姉妹)間は遺産相続でもめがちです。それぞれが「家」を持っていればなおさらです。
現在は平和な世の中ですが、これが、平和でない世の中では、長男は「家」のために、次男・三男は「お国」のために生きなくてはなりませんでした。例えば、「織田信長が、農家の男子の中から、家督を継がない予定の次男以下を職業軍人として育成した」例があったり、「新選組に入隊希望した志士が、長男であったために入隊を見送られた」例があったり、さらには「特攻隊員名簿から長男を外すように命じた上官が少なからずいた」例があったりします。今の価値観からすれば悲劇でよね。男兄弟間にはこういう、「明文化されていない役割分担主義」が形成されて行った(戸主及び相続人の兵役免除規定が、明治期の徴兵令施行当初はあったそう)のです。しかしこういう事は、近代国家では明文化できないのです。なぜなら、「人は生まれながらにしてそもそも平等 "ではない"」ということを認めることになるからです。
平和な世の中にしても荒れた世の中にしても、兄弟間で少なからず気を遣いながらやっているのではないでしょうか?源頼朝・義経の悲劇(日本のみならず北朝鮮でも起こった)を皆さんご存知でしょう。弟の七光りにはなりたくないと思う兄は、いつの時代でも一緒ではないでしょうか?(こういうケースを考えてあえて結婚しない次男・三男も、私の周りにいます)
■婚活は無理ゲー?
・長男を結婚対象にしたくない女性
・長男に結婚願望があるから結婚を視野に入れていない次男・三男
これらのケースがあるとすれば、婚活市場は圧倒的に「女余り」であるといえるのではないでしょうか?
・結婚してその土地で家を継ぐから地元を離れない長男(結婚することに使命感を感じている)
・そんな長男に嫁ぎたくないから地元を飛び出した女性(少なくとも田舎には嫁ぎたくない)
・単純に都会に出たいから地元を飛び出した次男・三男(結婚願望が無い可能性がある)
こういうケースもザラにあるくらいの覚悟が必要だと私は考えています。このままでは、婚活は「無理ゲー」です。これを「無理ゲー」にしないため(エアーマンでないお相手に巡り合う感じ(?))ために、以下のことができると考えるに至りました。
■姓に関する規定の明文化と、分家税
「子の姓」に関して、以下のようなルールに基づいた法の整備を進めるというものです。
①夫が分家とならず、妻も分家とならない場合
→両性の合意に基づいた姓(但し、子の意思に基づき、成人の際の改姓(夫側なら妻側に、妻側なら夫側に)を可能とする。②も③も身内で発生していない場合に限り)
②夫が分家とならず、妻が分家となる場合
→夫の姓
(妻の姓にする場合は分家税)
③夫が分家となり、妻が分家とならない場合
→妻の姓に
(夫の姓にする場合は分家税)
④夫が分家となり、妻も分家となるの場合
→上記2ケースの1.5倍の分家税
もしくは、夫の姓でも妻の姓でもない任意の姓
※②と③のケースの税額あるいは税率を同等にすべきかどうか等、細かく議論する余地もあると考えられます。
■最後に
いかがでしょうか?
多様性が少なからず尊ばれる現代では、「型にはまらない」人生を送りたい、世界に一つだけの花を咲かせることに一生懸命になりたいと考える人も多いと考えています(地域差、個人差はあるかと思いますが)。そのヒントとなればと思います。
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