「美しくなりたい」美醜マウントは有害な男性性である
女性も男性も容姿を良くしたいと思うのは当然だとは知っている。
その方がなにかと得だからね。
気分もいいしね。
でもさ、人と比較してたら、いつまでも心は休まらないよね。
どんなに若く見える美しい人でも、時間を止めることはできないし、
いくらダイエットや整形しても、上には上がいる。
なぜ容姿を良くしたいかと言うと、
ほとんどの人が「他人に優越したい」からだと思う。
つまり、そのままでは不安だということ。
今のままだと自分を好きになれないんだね。
それって苦しいよね。
(社会的に身だしなみを整える範囲を超えている場合の話)
美醜マウントはマチズム machismo=マッチョ=有害な男性性。
つまり「勝ちたい」「他人を打ち負かしたい」ということ。
なぜ勝ちたいのかと言うと、本人が傷ついているから。
傷ついたまま生きてきて、傷を負った自分を軽蔑しているから。
「人より劣った自分」を許せないから。
私たちの生きる社会は弱肉強食であり、
だから、弱さを嫌悪する気持ちもわかる。
私もそうだったし、私の親もそうだった。
弱さを嫌悪する心理は、
弱肉強食社会を生き残るための戦略の一つだから。
でも、「勝たなければ価値がない」という偏った思考に支配され、
脅威にさらされながら生きているということ。
病的な被害妄想みたいなもの。
いつも恐怖に脅えて生きているということ。
だから、常に不安。
全然自由じゃないよね。
この世界は競争社会だから、
「勝たなくては」と考えることは間違ってはいない。
でも、競争だけではないし、
人間関係は競争では成り立たない。
いちいち他人と競っていたら、
人を好きにはなれないし、愛することもできない。
競争と関係ないところにしか愛は存在しない。
「有害な男性性」というと、男性は有害なのかと誤解を受けそうだが、
どの性別の人にも男性性と女性性があり、
そのバランスが取れていないと不健康である、という話である。
男性性に分類されるのは、分析、評価、判断、論理、攻撃、競争、支配、決断力、積極性などである。
一方、女性性に分類されるのは受容、包容力、共有、調和、安定、直感、感覚、感性、柔軟性などだ。
生きていくために、人には男性性と女性性の両方の要素が必要だ。
ただ、自分自身との関係を含む人間関係など、愛情や受容に関わるのは
女性性の要素が強い。
つまり、性別にかかわらず、マチズムの考えは男性性に偏りすぎた、
加害性のある不健康な状態である。
自分も他人も傷つける思考だ。
「美しくなければ価値がない」という妄想に脅えて生きる人は、
痛い思いをして整形したり、必死にダイエットを頑張ったりするけど、
病気や障害のある人や、事故に遭った人のことをどう思うんだろう?
自分もいつでもそんな不運に遭う可能性があることを
受け入れられるのかな。
自分をジャッジしているということは、
他人もジャッジしているということ。
自分の弱さを許せないから、他人にも完璧を期待する。
完璧でない自分を受け入れていない。
ちゃんとしていないのが怖い。
他人が怖い。
それって、差別だよ。
差別主義者と同じ思考。
私は長く海外に住んでいるので、差別主義者がもっとも嫌悪しているのは
自分自身だという心のメカニズムを知っている。
差別の根源は自身の劣等感である。
完璧じゃない自分を軽蔑し、
いつも誰かに監視されてるように感じて脅えてる。
だから、すぐに誰かを攻撃する。
怖がりの犬がよく吠えるのと同じ。
強さや若さや美しさに依存しなくては生きられないのは、
脅えているから。
誰でも老いて弱くなっていくのに、歳を重ねたら、辛くなるばかりだね。
ますます自分を許せなくなるんだろうな。
いつ自分と仲直りするのかな?
たとえば、拒食症を含む摂食障害は、死亡率の高い危険なメンタル疾患である。
美醜へのこだわりが、いかに加害性があるかがわかる。
「もっとも死が近い精神疾患」と言われる「摂食障害」、
社会はどう向き合うのか
https://gendai.media/articles/-/88744?page=2
美醜にこだわる人は、
自分の中の差別的な認知のフィルターに気づいてほしい。
本人が悪いわけではない。
歪んだ思想を過去に受け取ってしまい、
内側に取り入れてしまったのだろう。
自分を守るために。
不健康な自己防衛の方法だ。
認知の歪みは視野の狭さ。
想像力のなさ。
生きてれば、誰でも歳をとるんだよ。
誰でも病気になるし、事故に遭うことだってある。
差別する無神経な人のことを英語でignorantと言う。
「無知」という意味だ。
自分の中の有害な男性性が自分を傷つけてきたことを受け入れて、
自分に優しくなってほしい。
自分に優しくできる人だけが、他人にも優しくできるから。
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