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社会の分断をなくす表現は「笑い」なのかもしれない。せやろがいおじさんと話して私が猛省したこと。

 年始、沖縄に行ってました。「せやろがいおじさん 」に会いに。せやろがいおじさんとは、赤いふんどしを履いて、沖縄の綺麗な海で、世の中の違和感を大声で叫んでいる“物申し YouTuber“。社会問題への感度と、伝え方が絶妙な上に、 画面全体にテロップを表示するYouTubeっぽい編集の仕方が特徴的だ。背景は、綺麗な沖縄の海なので心が浄化され、赤いふんどしのおじさんが海に時折飛び込むので、なんかクスッと笑える。ネット世代の認知度は、ものすごく高いはず。せやろがいおじさんは、普段は、コンビ「リップサービス」のツッコミを担当し、沖縄のローカル芸人として活動している。沖縄での活動は13年目になり、沖縄の賞レースで優勝したりもしているが、食べていけずに YouTubeを始めたそうだ。 今はバイトは辞めたという。

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 お笑いで、社会問題を伝える。そして 、それをYouTubeという場でやる。せやろがいおじさんは、私とめちゃくちゃ近い存在だ。初めて、せやろがいおじさんにお会いした時に「同志だと思っています」とおっしゃっていただき、めちゃくちゃ嬉しかったです。
 今回は、私の YouTubeチャンネル「たかまつななチャンネル」にご出演いただき、その撮影のために沖縄に参りました。現在、編集頑張っていますので、どうぞお楽しみに!

●たかまつななチャンネル   https://www.youtube.com/user/takamatsuch

人間誰もが人格をいくつか持っている
 せやろがいおじさんと話して、私が猛省したことがある。それは、「笑い」から逃げていたことだ。人間誰もが、多重人格なのではないかと私は思っている。大雑把と言われている人が、繊細な側面を持っていたり、厳しいと言われている人が実は優しかったりー。人間には色んな顔があるように、私だって、いろんな側面をもっている。めちゃくちゃ人を笑わせにいくモードの時もあれば、徹底的に取材するジャーナリストの時もあれば、若者世代を代表するオピニオンの時もあれば、ソーシャルビジネスをどううまく回していくか考える経営者の時もある。それを使い分けすぎていたのかもしれない。せやろがいおじさんは、あんなに、まともなことを言う物申し YouTuberなのに、芯はめちゃくちゃ芸人だった。「全部の動画で笑わせようと思っている。笑えないという人がいるかもしれないけど、僕は全部面白いと思っている」というようなご主旨の発言をされていた。動画には強いメッセージが込められているので、それがめちゃくちゃ意外だった。もちろん動画には笑えるところもある。しかし、伝えるが第一義的だと思っていたので、「笑い」を入れるという芯の強さに驚いた。分かりやすくするために、笑いを入れているのかと思ったが、それもあるが、笑わせたいの思いが強いのだ。全部体当たりで笑わせようとしていたのかと。そこで、私は全部の自分の発信が笑いが目的じゃないことを突きつけられて、心が傷だらけになった。

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「笑い」が邪魔になる瞬間
 私自身は、笑いが邪魔になる瞬間というのがあると思っている。例えば、がんのシンポジウムでネタをやってください。過去にこのような依頼がきたことがあったが、断った。結局、シンポジウムの司会ならできると伝え、司会をやった。自分の家族が、がんだと宣告されていて、なんとか勉強しようと、少しでも大切な人を助けたいと思っている人の前でやるのは不謹慎だと考えたからだ。このように、笑いと馴染まないテーマがたくさんある。そう言う時に、私はファシリテーターや論点整理、分かりやすく問題を伝えるということに自分の役割を徹した。だって、せっかくたくさんの人が見る地上波のワイドショー番組において、論点がおかしいことが多いからだ。バラエティの社会問題を考えるきっかけで、そもそも論点がおかしいから議論がチグハグになったことが何度もあった。悔しかった。芸人として、伝えるというスキルを笑いではなく、「翻訳」という役割をみいだそうとしたのだ。そして、笑いを取ろうとさえ、していなかった。だから、せやろがいおじさんの全部真正面から受け止め、笑いに変えようとする姿は印象的だった。

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分断を埋める手段としての「お笑い」

 私は「論点はここでっせ」と前のめりに言うことが得意である。例えば、よしもとの闇営業騒動の場合、「一番問題なのは、反社会的勢力とどう距離を置くかという点である。反社は暴対法ができてから、半グレなど見えにくい存在となって警察も実態を掴み切れておらず、一般社会に溶け込んでいるのをどう見抜くかが課題だ」というようなことを言った。(YouTubeでオリラジの中田敦彦さんと対談しているので詳しくはそちらをご覧ください)

https://www.youtube.com/watch?v=eTMVYgbWWLU&list=PLGIs2lskpIl0ED5X691C4PPf52PSGZH1W&index=1

そうすると、「芸人仲間には甘いんですね」とか「吉本の契約書が不在というのは問題じゃないんですか?」という意見がきたりする。それは違う論点である。そして、その意思疎通のできなさに、虚しさを抱いていた。
 しかし、せやろがいおじさんは、そこを上手くクリアしていた。動画を拝見すると、賛成・反対両方の意見をのべたり、情報を提示した上で、ご自身の意見をのべられる。いろんなところへの配慮がはんぱじゃない。例えば、「ピエール瀧さんの薬物使用報道について一言」という動画では、メディアの薬物報道のあり方が視聴率稼ぎになっていて、治療の大切さや具体的にどうやって治せるかという手段を伝えていないと訴えているのだが、「いや、薬物に手を染めたやつが、悪いだろ!って人もおると思う。もちろん薬物使用は違法や」と述べている。これが私にはできない。ひっかかりそうな人をうまく配慮して伝える作業を怠っていた。そこはお笑い芸人の得意なところだ。お客さんが何か引っかかった状況で話を進めると必ず笑いの量は減る。だから、ちゃんとツッコみをいれたり、分かりにくい言葉を避けて普通は説明するのだ。

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誰も傷つけない社会の斬り方
 「なんで、伝わらないんだ!!!」怒りに任せて正論を言っても届かないし、より分断が生まれるだけだ。それを一歩ひいて、何かに喩えて、その滑稽さを伝えたり、分かりやすくして、ユーモアを交えて話すことで、ギスギスした雰囲気も解消できるのではないか。
 右の韓国に対するヘイトもひどいなと思いながらも、左の陰謀論やなんでも安倍の批判をすればいいというのもひどいと思う。両者は根拠にするものや思想にかなり分断がある。そして中間層がそれを見てひいて、黙ってしまう。勇気をもって発言しても、どちらかの陣営に相当なバッシングをされる。このような分断をうめる手段が笑いなのではないか。せやろがいおじさんの動画を見ると、このような配慮のせいもあるのか、バッドの評価がめちゃくちゃ少ない。「誰も傷つけない社会の斬り方」はいかにして、できるのか。単独ライブでお話をお伺いします。

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●第12回 たかまつなな単独ライブ「検閲上等」
https://takamatsunana12.peatix.com/view

せやろがいおじさんのガチ対談チケット残り30枚ほどです。

このライブでは、私が猛省している笑いからの逃げはいたしません。前半、45分は私の社会風刺ネタをお届けします。今政治について物が言いにくいこの空気に一石投じます。現在「選挙の歌」の歌詞をめちゃくちゃ考えています。若者にとって優しくないこの政治、シルバー民主主義になんとか気付けるような歌を思案中です。あとは、メディアのあり方、公文書管理、ネットでの言論空間などについて問い直すネタを現在考えております。

後半45分は、せやろがいおじさんとガチ対談します。私の前半のネタのアドバイスもいただく予定です。

年末年始があけ、チケットだんだん少なくなってきました。
ご予約はお早めに!

●第12回 たかまつなな単独ライブ「検閲上等」
https://takamatsunana12.peatix.com/view

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