【被災地の声】能登半島地震、復興の住民対話の現場に、参加しました。
【能登半島地震、復興の住民対話の現場】
「県庁で被災地の現場を見ないで、議論して意味があるのか?」
石川県庁では復興計画を作るために委員が集まり議論していますが、「住民の声を聞くべきではないか」との声が出てきました。
住民の人たちが考え対話する場が、石川県が主催となり石川県内さまざまな場所で行なっています。(NPO法人カタリバが運営事務局)。
「のと未来トーク」が石川県立能登高等学校で開催され、私はボランティアとして、ファシリテーターを務めてきました。
【被災の思いの共有】
「復興の優先順位を感じ、蔑ろに思う場面がある。」
「固定電話がまだつながらないから、珠洲の実家の両親が無事か車で確認している」
「水がまだ復旧していない地域があるから大変」
グループに分かれ、地震で大変だったことをシェアしていきます。
【復興のためには選択が必要か】
県庁の職員、復興会議のメンバーの人でパネルディスカッションが行われました。
「東北でも、若者が流出してしまっている。元に戻すことも大事だけど、新しいことを作ることも大事なのではないか。インフラに巨額な投資をしすぎて、子育てにお金が使えないのでは意味がないのではないか。お金の使い道を考えることが必要。」
「能登町の人口が1.5万人から10年後に1万人に減るともともと言われていたが、震災で減少が早まり、7千人まで減ることが予測される。7千人以下になると、病院・学習塾・銀行が無くなると考えられる。行政として何を維持するのかセンシティブな話題。
例えば、水道管を今までのようにひき、維持するとお金がかかるから、一部は井戸水を使うことや、水を再度利用できる循環型の機械を導入することを考える必要があるのではないか。欧米諸国だって水道水は飲めない国もあるので、日本も水道水の水は飲めなくてもいいのではないか。こういうことを県から発信すると猛反発をうけるから、地域住民で考える必要があるのではないか。」
「人に任せてはいけない。自分たちで考えないといけない。住民の意識をあげていく必要がある。集約化し、これを機に新しいものをつくる可能性もある。」
「東京から人口が毎年40万人流出している。流出の7割が20-30代の若者子育て世代。故郷がない都会の人たちの故郷に能登ができるかもしれない。子育てしやすいから人がくるということができるかもしれない。進学や就職で一旦外に出ても、また子育てで人が戻ってくる街づくりができる」
というような議論がなされました。
これが東京ではなく、被災地能登で行われていることに驚きました。また、それに対して、「全部が元に戻るとは思っていない」「新しいものを作らないとダメだ」と賛同される方も複数耳にしました。危機感があり、未来をおもってからこその発言の重み。本当は故郷に戻ってほしい。だけど、現実を見て、能登の発展を考えているからでてくる言葉なのではないかと考えさせられました。
【復興に向けた案を考える】
県が作った復興の案に対して、テーマ毎に分かれて、自分たちがどう思うかを議論。
⚫️石川県創造的復興プラン 骨子案。
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/fukkyuufukkou/souzoutekifukkousuishin/fukkouplan.html
「補助金が現状復帰のためのものが多く、新しいことがしにくい」
「能登は稼げる地にしたい。事務仕事が多いから、アウトソーシングするようにAIで解析する人きてほしい」
「話し合って決める習慣がない。偉い人が決める。だから、ファシリテーターが必要」
「こどもたちの遊び環境や居場所がない。自由にあそんだり安心してあそばれる環境を作りたい」
「能登ではせっかくいろんな体験ができるのに、外国人観光客にとって不便。英語表記を増やす。」
「観光のため情報発信が足りていない。修学旅行に能登半島をいれてもらえないか。富裕層を狙うなどターゲティングした観光プランがあるといいのではないか」
「ボランティアや観光して応援したい人も多いけど今の状況が分からない。宿泊できる施設のリストをまとめて公開するなど情報発信をSNSで強化する」
「インフラは何が必要で何が不要か考えて道路をメリハリつけて復旧することが必要ではないか。井戸水山水を飲めるようにして水道管だけに頼らないインフラが必要ではないか」
というようなことが共有されました。
【復興のために立ち上がる】
この震災を1000年に1度の機会だとお話された方がいました。震災はもちろんない方がいい。だけど、今能登が全国から注目されている、使える補助金もある。そんな中で、「私がやる」「俺がやる」と手をあげたら、応援されやすい環境にあるのではないか。だから立ち上がってほしい。
という話がでました。そして、実際に、会社をおこそうかなとお話され、拍手がおこるというような場面もありました。
行政に意見を伝える場、文句を言う場ではなく、自分たちの未来を自分たちで考える場。行政と住民がフラットに、自由に言い合う。本音で。そして、そこから、じゃあ何ができるんだろうと本気で考える。そんな場を見て感動しました。
じゃあ今、私は何ができるだろうか。取材して、伝えること。行政や大手メディアがしにくい議論を喚起していくことをしたいと思いました。
翌日は、被害がかなり大きかった珠洲に行き、避難所でお話を聞きました。その模様を近日、YouTubeたかまつななチャンネルで発信します。
https://www.youtube.com/user/takamatsuch
今回、ここで書いたことはセンシティブな内容だと思います。これが被災地のすべての声や総意ではないと思います。ですが、このような議論が被災地から行われていることを知っていただきたいと思い書きました。どうかそこをご理解いただき、悪意のある切り取りや拡散はご遠慮いただけると嬉しいです。
「ボランティアに来て欲しい。人が足りない。」そうお話される人もいました。
石川県庁がボランティアの募集をしています。土日だけ参加できるものもあります。飛行機も毎日運行がはじまりアクセスも少しよくなりました。ぜひ、余裕がある方は県のボランティア登録をしてください。私もボランティア登録しているので、また石川県にボランティアに行きたいと思います。
地域によっては、宿泊できる場所もあります。観光にきてほしいという方もいらっしゃいました。いけるところにいって、お金を落とすことも私たちにできることです。
今回、ボランティアに行くきっかけとなったのは、「共助資本主義 第2回マルチセクター・ダイアローグ」という場でカタリバの今村久美さんが、「何度も被災地支援に入っているけど、こんなに人がいない被災地ははじめてみた。ぜひ被災地に来てください。ボランティアが足りません。」とお話されていたからです。
この場には、経済同友会、新公益連盟、インパクトスタートアップ協会の方などがいらっしゃいました。経済界とソーシャルセクターで新しいものを作り出すという機運。熱量の高さを感じました。実際に大企業の方もボランティアにたくさんこられていて、ここで新しいCSRやSDGsなどが生み出されるのではないかと思いました。今後、私も先輩方に教えていただきながら、いろんなジャンルの方に社会を一緒に解決しようと訴えること、仲間を増やしていきたいです。
いろんな思いのある人が結集した場に参加できてワクワクしました。「社会は変えられる」そう思う人たちを増やしたい。そのためにできることを、積み重ねていきます。一人じゃ社会を変えられない。だからこそ、仲間づくりを頑張ります。
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