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【謙虚に学ぶ姿勢】 感想: 『The Intelligence Trap』 デビッド ロブソン

まとめ

私にとって、この本での重要な部分を簡単にまとめると
高い専門性をもつ場合、その考えに固執することで、周囲の状況を正しく認識できなくなり、誤った行動をする可能性がある。それがインテリジェンス・トラップ。
内相的・分析的な思考を通じて、インテリジェンス・トラップを回避しよう。
ということです。

本を読んだ動機

 前職を退職した際に、部長がくれた本です。くれた本は全部で2冊で、もう1冊は『となりの億万長者』でした。すでに感想文を記事にしています。

 さて、今回の本ですが、インテリジェンス・トラップ。サブタイトルには、『なぜ、賢い人ほど愚かな決断を下すのか』と書いてあります。
 わざわざこの本をプレゼントしてくれたことは、きっと何かのメッセージがあるはず。前職で、私は、自分で自分のことを賢いと思って間違った判断を下していたのでしょうか。それとも、お前自分のこと賢いとか思ってそうだから、気をつけろよ!ってことなのでしょうか。うむむむ…。


感想

知能も教育水準も高い人は、自らの過ちから学ばず、他人のアドバイスを受け入れない傾向がある

The Intelligence Trap

そして、その知能を自らの利益やアイデンティティのために使います。

知能は真実追求ではなくて、プロパガンダ (主義主張の宣伝)のツールなのだ

The Intelligence Trap

 この現象を、「動機づけられた推論」と本書では読んでいます。自分が正しい、と思うことの理由付けに知能を使うということですよね。確かにこれはわかる気がします。結論ありきで、たとえそれが客観的には必ずしも正しくなくても、いろいろな資料を集めて論理を補強して組み立てる。これは確かに罠に嵌りそうです。
 さらに、当事者の高い専門性があると視野が狭くなりがちです。これを「認知の死角」と本書では呼ばれています。

「動機づけられた推論」と「認知の死角」が結びつくと、周囲の人に対する偏った見方を正当化したり、職場で見当違いのプロジェクトを推し進めたり、望みのない恋愛を続けたりといった行動に走るおそれがある。

The Intelligence Trap

 これがきっと、インテリジェンス・トラップの正体なのでしょうね。
 さらに、このインテリジェンス・トラップは、自分自身の知識や経験の積み重ねが育てた固定観念によって、見えにくくなります。これを「獲得されたドグマチズム」と本書では呼んでいます。
 ですから、自分の考えの正当性を示すための理論づけ、専門性が引き起こす狭い視野や固定観念が、インテリジェンス・トラップを発動させるのでしょう。

 では、その対策は何でしょうか。 
 それが内省的思考と、分析的思考です。なぜか内省的が変換できない、と思ったら「ないせいてき」なんですね。「ないしょうてき」だと思っていました‥。自らの行動や考えを省みる姿勢、そして物事を客観的にとらえる姿勢が重要なんでしょうね。本書では「おだやかで冷静な思考」とも言われています。反対の立場に立って物事をみてみることで、自己距離化と表現されています。当事者の視点から、傍観者への視点に移してみるってことですね。
 しかし、頭ではわかっていても、これは結構大変です。すぐに自分の考えに固執しがちです。ですが、結局自分でわかっているつもりになっていることは、ほんの少しだ、ということを認識しないといけないのでしょう。
 そのためにいろんなことを勉強するんだと思います。勉強することで、知らないことだらけだと気づきます。きっと、それにより謙虚さが身に付くはず。謙虚に学ぶ姿勢が、インテリジェンス・トラップを避けるために重要なのだと思いました。


おわりに

私は謙虚に学ぶことができているでしょうか。
ともすれば、すぐに知った気になりがちで、簡単に罠に陥りそうです。
こうやって、何かを書くことは自分の理解度を試されているようで、内省的、分析的な考え方をトレーニングするための良い方法なのかなと思いました。


読んで頂き誠にありがとうございました。

髙草木


基本情報

リンク:The Intelligence Trap
入手場所:もらいもの
読み始めた日:2024年8月20日
備考:読書ノート12冊目

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