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あなたの知らない砥石の世界

こんにちは。
高蔵工業株式会社です。
本日は、当社で製造している「砥石(トイシ)」についてのお話です。

「砥石って、包丁を研ぐあれでしょ?」
そう思ったそこのあなた、ぜひこの記事を最後まで読んでみてください!

少しマニアックなお話ですが
この記事をきっかけに砥石をより身近に感じてもらえると嬉しいです ^ ^


そもそも砥石って何からできてるの?

砥石って石なの?なんなの?
ご安心ください!この記事を書いている私も、当社で学ぶまでは砥石の知識はゼロでした。砥石と言えば包丁を研ぐ時に使う石しか知らず、荒く削る砥石と仕上げ用の砥石があったような。。。というふんわりした理解度。

きっとみなさんこのイメージですよね?

そんな私が砥石について学んで一番驚いたのは、国内外の産業における製造場面で欠かせない存在であるということ!あんなものにも、こんなものにも砥石は使われていて、砥石が無いと作れないものがたくさんあります。そして、その砥石の製造にもたくさんの工夫と努力が詰まっているのです…。

まず初めに、砥石には天然砥石人造砥石があります。

前者は文字通り地層から採掘する天然の砥石でこちらは天然の石です。
包丁職人さんなどが愛用しており、現在は採掘量も少なくなっているためとても高値で取引されています。ですので流通量も少ないです。

当社で作っているのは後者の人造砥石
そう、人工的に作った石です。
材料の組み合わせによって色々なパターンを作ることができるため、
削りたいものに合わせたアレンジが可能です。ものづくりの場面においては様々な場面で砥石が使われているので、この色々なパターンというのがとても大事になってきます。

砥石の材料とは
”砥石の原料は主に酸化アルミニウム及び炭化ケイ素であり、製法と添加物によりそれぞれ数種以上の特性に分かれる。その他ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素、ガーネットなども原料として用いられる。”

Wikipediaより

一口に砥石と言っても、何を削るかによって材料の配合はさまざまです。
大きく削りたいのか、細かく削りたいのか、削りたい対象物に合わせて材料の配合を変えていきます。高蔵工業では84年の歴史の中で培ってきたノウハウがあり、この微妙な配合でお客様のニーズに合わせた砥石を製造しています。

砥石を形づくる3つの要素

砥石の欠かせない要素として「砥粒」「結合剤」があります。これら2つの要素はカッターナイフに例えることができます。

砥石はカッターに例えられます

そして、材料を混ぜ合わせた間にできる「気孔」もとても重要な要素です。
この「砥粒」「結合剤」「気孔」砥石の3要素と呼んでいます。

  1. 砥粒とは「カッターの刃」
    物を削るのに一番必要となるのが、砥粒です。
    砥粒の1粒1粒が刃となり、物を削り、その刃が切れなくなると脱落し、常に新しい砥粒が出てきて砥石は切れ続けていきます。

  2. 結合剤とは「カッターの歯の折れ目」
    砥粒を結合しつなぎ合わせる役目をしています。
    種類や配合によって性能がコントロールされ、あまり強い力で固めてしまうと、砥粒が脱落しなくなり切れない砥石になってしまうので、ちょう良い硬さが大事です。

  3. 気孔とは「切る時に熱を逃す空間」
    工業用の砥石は高速で回転して対象物を削ります。
    物を削る時に発生する、削りカスと摩擦による熱を解消する為にある穴が気孔です。この穴が、削りカスを砥石がまわる時に排出したり空気を運んで熱を持った砥石を冷やす役割をしています。目立たないけれど実は重要な存在です。

砥石の製造工程

次は、砥石の作り方について説明します。
砥石は製造には 1.計量 → 2.混合 → 3.成形 → 4.焼成 → 5.仕上げ → 6.検査 → 7.出荷 という7段階の工程があります。

1.計量
砥粒、ボンド、潤滑剤、添加剤を計量します。
最終的にどんな砥石を作りたいのか、それによって使う材料の種類や分量を変えていきます。

砥粒の計量

2.混合
計量した材料を混ぜ合わせます。砥粒の大きさにより撹拌の仕方が異なり粗粒用、微粉用と攪拌機も別のものを使っています。この混合の工程は砥石づくりの重要な工程のひとつです。

撹拌しています

3.成形
混合した材料を型に流し入れ、プレス機で成形します。プレス重量も製造する砥石の種類によって変化します。最大2000tもの重さを加えます。

プレス機

4.焼成
プレスをして形を整えたら焼成炉に入れて焼き上げます。この工程が中身が見えない分、実は一番ノウハウが必要です。砥石の種類にもよりますが1日〜2日ほどかけて焼いていきます。

バッチ式焼成炉

焼き上がりはケーキのスポンジみたいなのかな…なんて思っていたら、そんな可愛いものではないようです。焼成炉から砥石を出す作業は製造部の男性メンバーで行う1日の中の一大イベント。熱いし、粉塵は舞うし、大変な作業なのでみんなで力を合わせて行います(高蔵工業のチームワークの見せどころ!!エイエイオー!)。

5.仕上げ
ぎゅうぎゅうにプレスをして成形した砥石ですが、焼くと形が変わってしまうため仕上げ工程で形を整えます。高速で回転させながら、正円になるように削っていきます。砥石は円盤型ですが、この円が歪んでいるといざ研削するときに均等に回転せず事故につながってしまいます。

仕上げ加工をしています

6.検査
硬度、回転、バランスの検査をします。
砥石はものづくりの現場で使われます。小さなものから大きなものまで研削対象は様々ですが、研削時は高速で回転するため研削中に砥石がバランスを崩し割れたりすると大事故につながります。安全のためにもこの検査は大切な工程です。

バランス検査

7.出荷
ここまでで工程終了です。梱包し、お客様のもとへ出荷します。

梱包作業

良い砥石の条件とは?

砥石製造において一番大事なことは何でしょうか?

よく削れること?
持ちが良いこと?

いいえ、違います。

一番大事なことは研削時に割れないことです。

高速で回転しながら対象物を削っていく工業用砥石。
研削時に割れてしまうと大きな事故につながってしまいます。

高蔵工業株式会社では医療用注射針を研磨する砥石も製造しています。
医療用注射針の中には34ゲージという目に刺す針も。

想像しやすいと思いますが、大きく削るには硬い砥石を、
小さく細かく削るには柔らかい砥石を使用します。
「割れないように」ということを考慮すると、
この柔らかい砥石を製造するためには
多くの技術とノウハウが必要
なんです。
そして、その技術とノウハウを持っているのが
私たち高蔵工業でもあります。

砥石はものづくりにおける縁の下の力持ち。
日々製造している私たちの砥石が
色々な場面で役に立っていることを願ってーーー。


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