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哺乳類を食べると云う事

食欲の秋が来た。
春夏冬も美味しいものは沢山あるが秋は格別かも知れない。
サンマやサツマイモやレンコンやキノコ等々、秋になると食べたくなるし、どれも旬で価格も手頃だ。
秋の夕餉に焼立てのサンマと大根おろし、レンコンとキノコのソテーなんかが出てくると、ああ人間に生まれて良かった、お母さんありがとうー!っていう気持ちになる。
考えただけでお腹が空くのでサンマを買いにスーパーへ行って来た。

スーパーには多くの食品が所狭しと並んでいていつも私を惑わすのだが、お目当ての魚売り場のサンマに辿り着くまでには、あの肉売り場を通らなければならない。
勿論、肉も大好きなので艶々と赤みを帯びて光っている牛や豚の肉には毎回、誘惑されてしまいそうになるのだが、いけません今日はサンマなのだ。

横目で肉を見ていると、ふと脳裏をかすめたことがある。

ああ、これらの肉は哺乳類なのだな。
哺乳類って我々と同じで背骨があって一般的には卵を産まず母親のおなかの中である程度育って母乳で育ち肺で呼吸をする動物だよね。多くは毛も生えてる。
でも哺乳類の中にも草食動物もいるし肉食動物もいるな。
この肉になっている哺乳類の牛や豚は草食系だな、また場所によっては羊の肉や馬の肉なんかも売ってる、これも草食系だ。
でも何故か肉食系の哺乳類はスーパーでは売ってないよね。
肉食系哺乳類と言えば虎やライオンや豹やチーター?狼やシャチなんかもそうらしいけど捕まえる時にこっちが食べられちゃいそうだな。
それに何となく美味しくなさそうな気がする。

肉食の哺乳類は食物連鎖の頂点にいるのだと思うけど、恥ずかしながら人間様も肉食の哺乳類という訳で何となく居心地が悪い頂点だ。
ライオンがシマウマを狩って食べる様子を動画で見たりするけれど、ほとんどの場合はライオンは死ぬほど腹を空かしているらしい。
シャチが波打ち際まで来てアザラシを捕ったりするところも見るけど、あれは間違いなく命がけの狩りだ。

本来、哺乳類が哺乳類を食べるのは最後の手段ではないかという気がする。
生死が係ってきたときの最終手段として肉食哺乳類が草食哺乳類を食べるのではないのかな。
出来れば魚や鳥や草などを美味しく食べた方が健康的な気がするのだが、それらを手に入れる手段がないとか消化機能が弱ってしまっているとか、様々な理由はあると思うけど、とにかく深い理由があるのだ、たぶん。

それにしても我々人類の食欲とは、なんとまあ意地汚い事よ。
私たちが日常口にする草食動物の肉は確かに美味しい。
牛丼、豚丼、かつ丼等々、ご飯とも良く合って元気いっぱい、おかわり三杯だ。冬にはすき焼き、夏にはスタミナステーキだと?春でも秋でも365日ずーっと美味しいじゃないかっ!(思わず興奮しました、すみません)

本来は最後の手段だった哺乳類が哺乳類を食べる、といった食物連鎖の固い掟をすっかり忘れてスーパーの肉売り場は今日も大繁盛だ。

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