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母の形見の着物をTransformで形に残して。

有る50代のクライアント様からのご依頼で。

9歳の時に死別したお母様のお着物。

『亡くなったのは9歳の時だから 他に母の形見は何も無いんだよ』と。

その方は少し寂しそうに笑った。

私は此方と多分10年近く仲良くさせて頂いていたが。この様な身の上話を伺うのは初めてで。

穏やかな、ゆったりとしたその性格から彼がそんな切ない過去が合ったなんて初めて知り 胸が痛くなった。

男性だから勿論女性用の着物は着れない。そして残して居るけどどうにも使えない。でも捨てられない。
長らく眠っているからところどころ虫に喰われてもいる。

でも想いが入った大切な着物。

私は彼に 着物が1部入ったストレッチのJacketsと鞄、そして長財布など 普段持って身に付けられる、お母様を傍に感じられる物を提案した。

カバンは男性が持てる仕様に変えて。どの着物をどう使うのか、又お財布とも中身は同じ着物を使用して特別感を。

これらの小物はうちのブランドが立ち上がった当初からお願いして居る小物デザイナーの#masumishimodaira にお願いしmeetingをした。

そして2ヶ月後。

彼はこれを見てほんとうに喜んでくれた。
Jacketはまだ出来ていないけどJkは普段にも使えて海外でも素敵にお召頂ける物がもう少ししたら出来上がって来るはずだ。

今回のご依頼は、私に1つ思い出させてくれた。

元々私は『想いが残る使われずに残っている』着物を何とかしたくてこのBrandをスタートしたのだ。

日本人なら『着物』に対する思入れが深い。もう着なくなっても、高級じゃなくてもそれでも簡単に捨てられないのだ。

でも その他に活かすことが出来ないのも事実。
ランチョンマット作ったって、クッションカバー、テーブルクロスをわざわざ作るのも良いかもしれない。でも、わたしはそれで心が踊らないのだ。

だからもっとらCooLな、そして唯一無二の製品を『自分の思いの入った着物』で作るのだ。

着物の継承とは『思いの継承』なのだ。

そして、だからこそ 貴女だけの1点に拘り新しい着物生地をわざわざ作るのではなく、Transformする事で今そこにある着物に価値を付け足すのだ。

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