はじまりの日(*昭和のある日)
DAY002
*2017年12月13日に書いたものに一部、加筆修正。
*念の為ですが、「下のお話」です。
*物語は無料でどうぞ!
*編集後記を有料で公開する実験します。「一つの物語が生まれるまでに思ったこと」に興味がある方や、「実体験?」などと疑問をもった方、もしくは「なんだかよくわからないけど、ちょっと面白かったのでこれでコーヒーでも!」という気前のよい方は、ぜひ。
とにかく毎日書くという習慣づけのため、1日1話(といっても詩、散文、メモ、おちなし中途半端)となるかもしれない を最低15分書くことにする。ということで、はじまりの日にちなんだものを。
はじまりの日
(*昭和のある日)みなこ小五の場合
「(なんだよなんだよなんだよ お腹いたい と思ったらなんか血がでてるんですけど やばいやばいやばい 私もう死ぬの?どうしようどうしようどうしようどうしよう)」
誰もいない学校のトイレのなか、みなこ(小五)は困っていた。
思えば、今日は一日だるかった。
算数の退屈な授業中、「ん?パンツが濡れた?」と感じ、小さなことにうるさい担任のゲジゲジ眉に貸しを作るようでいやだったが、あわてて手をあげて、授業中トイレに行く許可をとった。
トイレにいったら、この有様だ。
パンツに赤い染みがついていて、なんと「あの部分から」血が出たと思われる。びっくりだ。
便座に座りなおし、まずは頭を整理しようとした。
「(そうだそうだ、最近ことに豆知識を披露したがるお父さんがいってたな、パニックになったら深呼吸・・・)」
す〜〜〜〜〜 と深呼吸しかけて、サンポールのわずかな刺激臭にむせてしまった。
頭をかかえた。
こんなの誰も教えてくれなかった・・・。
いや、失礼。確か おそわっていたかも。
確か、いつか、視聴覚室で。
冷房の効いた、真っ暗な部屋、という最高の環境で睡眠を貪っていた。
遠くで、「キラキラ女子」のリリの「わーきゃー」と騒ぐ声を「うるさいなぁ〜」と思っていた朧げな記憶しかない。
再生ボタンを押して説明責任を果たしたつもりの先生たちには申し訳ないが、毎日夜更かしして(クラスの)読者の期待に応えるのに懸命な人気マンガ家(きどり)の私には関係のない話だった。
のちにビデオをみた友人ハナから、「おえ〜!でーじはご〜」という沖縄独特の感嘆表現とともに、モザイクなしの出産シーンがあったことを聞かされた。もし観ていたら今頃、本当にパニックに陥ったかもしれず、不幸中の幸いだったかもしれない。
不幸中の幸い、といえば。
今日は黒のキュロットだった。
読んで字のごとく、赤っ恥をさらさなくてすんだ。
わたしは、もう一度、冷静に、これから取るべき行動について考えた。
1、パンツにティッシュをはさみ、クラスに戻り、授業を終えるのをまって先生に事情を話し帰宅する
2、パンツにティッシュをはさみ、保健室にいってゴテゴテの化粧のみつ子ババぁに事情を打ち明ける
3、パンツにティッシュをはさみ、家にかえって母に電話して相談する。
1、2、の末路は、想像するだけでゾッとした。
迷いなく、3をえらび、ぐるぐる巻きにしたティッシュをパンツにはさみ、校舎をすりぬけ、意気揚々と家路にいそいだ。
早歩きをしながら・・・自分が手負いの獣みたいだと思った。
すると、ちょっと、情けなさもやわらいだ。
父の仕事を手伝っている母は、仕事場を抜け出して、内緒で、アイスクリームを食べさせてくれるだろうか。
みなこの頭は、すぐに、アイスクリームでいっぱいになった。
【おわり】
追伸:「パンツにティッシュ」は悲惨な末路になるため絶対におすすめしません。
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