見出し画像

古代末期〜中世初頭にかけてのキリスト教最大の異端「グノーシス派」について

グノーシスとは、ギリシャ語で「知識」を意味する。信仰第一ではなく、知識を先行させた宗教、思想運動のことを指します。キリスト教において、最大の異端であり、キリスト教会によって弾圧されてきました。

知識を先行させて信仰に入る事例は「新約聖書」にも認められます。例としては、ヨハネ福音書に出てくる12人の使徒の1人、トーマスの例。トーマスはイエスの復活を信じなかった。なので、復活したイエスはトーマスに自分の傷口を手で触れさせ、自身の復活を信じさせたのです。

このような傾向は、宗教運動にも存在しました。グノーシス主義と言うのは、キリスト教徒無関係に人間の救済を導く知識があることを主張した人、宗教運動であり、この運動はキリスト教グノーシス派まで生み出す運動であった。

この運動はあのヘレニズムがそうであったように、かつてギリシャ文化の栄えた、エジプト、シリア、小アジアを中心にして展開されました。しかし、知識を重視するこの運動は、地域の知識人を中心にして展開されたものであり、初期キリスト教が学などあろうはずもない貧しい人々を中心に展開されていったのに対して、どうしても信徒数には限度があり、4世紀以降には急速に衰えていったのです。

しかし、この派の「知識」に依る信仰は、中世を通して手を変え、品を変え立ち現れてくるのです。例えば、3世紀に登場した「マニ教」などは、このグノーシス派の典型といえます。ちなみに、これは世界性を帯びることになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?