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中世初頭の最大の神学者・哲学者、アウグスティヌス

アウグスティヌスはあのグノーシス的マニ教から出発しました。しかし、やがてプロティノスの新プラトン主義に触発されつつ、キリスト教に改宗します。つまり、彼は古代末期のあらゆる宗派、哲学についての知識をもとに、敬虔なキリスト教徒となり、司教としてキリスト教の伝道に尽くしていきます。その影響は、なんと近代初頭の宗教改革者、カルヴァンの二重予定説にまで及んでいるのです。アウグスティヌスは、救われる者はあらかじめ神が決定しているという「予定説」を唱えました。これがのちのカルヴァンの二重予定説にもつながっていくのです。(代表作「告白」)

二重予定説は、人間は神によって「救われるもの」と「救われざるもの」に予定されているとする説のことで、とすると、ある人物がどちらに予定されて産み落とされているかは本人にはわからない。本人は救われた者に予定されていることを確認するためには、神の思し召し(calling)に応じること、と考える。つまり、救われた者に予定されていることを確認には、日々の職業に努力することなのです。これが、近代初頭のプロテスタントの精神的態度であり、このような精神的態度こそは、近代ブルジョワジーの精神的態度として機能することになるのです。

cf マックス・ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(1920)

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