八十二歳で孫二人とヨーロッパの旅①

孫におばあちゃん「今までに海外旅行に行った内でどこが1番良かった」と聞かれた。「そうやね、友達とオーストリア、スイス、イギリス、ドイツ、フランスともう30年前になるかなぁ。昨年亡くなったおじいちゃん(夫)とロシア、北欧、チェコ、スロバキア、ハンガリー、イタリア、ギリシャ、ルーマニア、ブルガリアに行ったし、1人ツアー参加でオランダ、ルクセンブルクと国だけは全部回ったけど、スイスは小さい国なのにほんの一部でユングラフとルッエンの湖の上に歩道が作ったり、その上を散策したが夜だったので周りはよく見えなかった。」と言うと「どこか行きたいところない」孫が聞いてきた「フランスのモンサンミッシェルとスイスへ行きたい」と孫に言うと「一緒に行こう」と孫が言う。
行きたい気持ちはあるけど

孫は「費用を狙っているな」と思いながら、2人の孫の内、1人は長男の娘で(姫路)今年大学を卒業して、3月から東京で働くことになっている。もう1人は名古屋に住んでいたが、4月から東京のIT関係の仕事で東京へ就職が決まっている。長旅ができるのは今しかないのだと思い行こうかと言ってしまった。そして計画表をスマホで送ってきた。パリで3泊コルマールで1泊スイスで4泊。移動の時間もホテルの発着、観光地と乗り換えの交通機関の時間まで調べられていた。今はスマホでこんなことを調べられるのかと感心した。私はそれを旅行用の手帳に日程表を写し直した。そうしないと記憶できない。予定は未定だ。予定通りになるのだろうかヨーロッパはご飯がないので、おにぎりを6個作って冷凍にした。孫たちの情報で空港までの旅費をクレジットで買って、旅行中の保険が付いていると言うので、領収書までとった。順調に飛行機に乗りアブダビで乗り継いでスイス ジュネーブに着いた。そして列車に乗ってパリについて地下鉄なのにエスカレーターエレベーターもない。重いスーツケースを持って階段を上り下りしなければならなかった。パリに着いたばかりなのに汗が吹き出していた。今度はバスに乗ると言うのでもうタクシーにしようと言った。ちょうどタクシーが来たので交渉もせず乗ってしまったメーターが全く作動していない。降りる時、クレジットカードを出したがキャッシュと言われ35ユーロ払った。

ベルサイユ宮殿の近くにスーツケースを預け宮殿の見学

30年前と変わりなく、きらびやかな宮殿の壁画、絹で作られたタペストリー肖像画、置物と広い宮殿の中を一通り見て外に出た。日は大分傾いていた。明日のモンサンミッシェルへ行くのに、早朝なので迷わないように今日のうちにモンパルナスの駅を下見しておくことを計画していた。
預けたスーツケースを受け取り、3人は歩き続けた。
モンパルナスの高いビルがまだ見えない。まだかまだかと2人の孫に従った。
やっと着いたと言うが、高いビルなどない。孫たちが予約していた、安いホテルだった。
「モンパルナスの駅に行くんじゃなかった?」

「明日すこしでも速く迷わずに行くために予め下調べしておこうと言ってたでしょう」と問い詰めた。

ホテルについて万歩計を見ると今日一日で3万歩歩いていた。

明日本当にモンサンミッシェルへ行けるのか。

この二人は私程モンサンミッシェルへ行きたいと思っていないのかと腹が立った。

「1日に三本しかないTGVに乗れなかったらどうするの?」

とキツく言った。

姫路の孫が「私が一人でモンパルナスまで行ってくる」

といったが、外国では夜の外出は危ないと聞いていたので、一人で行かすことも出来ず、お腹も空いてることだし、早朝早く出発するしかない。

私の腹立ちを抑えなくてはと自分に言い聞かせた。

食事を摂る気も失せていたが、パリについて早々三人が結束して旅行を続けなくては、ここまで来たことが無駄になる。

何のためにここに来たのか、後で後悔することのないようにと自分に言い聞かせ、食べたくもないピッツァを注文して食べた。

明日少しでも早くホテルを出ようと思う気持ちと、いよいよモンサンミッシェルへ行くのだと気持ちで、疲れた体をリラックスできなかった。

朝、ホテルのモーニングサービスも取らずにバスに乗った。

モンパルナスの駅に迷いながら、予定の時間についた。

大勢の旅行客が集まっていたが、ちょっと様子がおかしい。

駅の人に聞いてみると、TGVがストで動かない。

孫が旅行一番の目的が断れたのになんとかならないかと駅の案内員に慣れない英語で食い下がる様にひつこく尋ねていた。

私が諦めるしかないと言うと
「エミトラベルへ行ってみようか」
と孫が提案した。

エミトラベルはコンコルド広場の地下に日本人向けの案内所があって、そこに河野景子さんが働いているとスマホにバスツアーもあると書いてあったが、今からではもう遅いので、「おばあちゃんはモンパルナスの駅が分かったので一人でも事足りるからもういいよ」と言った。

きっと鉄道がだめとわかった観光客が居てここへ押し寄せているに違いない。

とにかく「早朝から何も食べずに来たらから、何か食べよう。」と言った。

孫が「やっぱり昨日ここへ来ていたら良かったなぁ」と言って悔やんでいる。

もう昨夜の腹立は三人の結束のために口にするまいと自分に言い聞かせていた。

売店で孫たちはマカロンが食べたいというので、マカロンとフランスパンとコーヒーとココア2つを注文して、今日の予定を話し合った。

計画に入ってなかったルーブル美術館に行くことにした。

広すぎて、一番何が良かったか感想らしき感嘆の声も無かった。我が一族は美術芸術は何を感じたらいいかわからないらしい。

ミケランジェロのモナリザも大勢の人が押しかけていた。

何をどう鑑賞するべきかスマホを掲げて押し合うばかりだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?