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「おい見ろよ!青空だ!」サンフランシスコの空に翻る星条旗 〜サンフランシスコ・フリートウィーク2022(後編)〜

2つのエアショーをハシゴすることを目的に、はるばるアメリカまでやってきたというのに、初日は「飛行エリア周辺だけ曇り」で、飛行プログラムが大幅削減。早速、「霧の都・サンフランシスコ」の洗礼を受けることに。

「れ、歴史的な船でクルーズできたし、価値はあったんだからね…!」

なんて強がりを言いつつも、内心はショボーンな中で迎えた2日目。
そう。こんなこともあろうかと、2日間見る予定を組んでいるのだよ!

事前に現地人ブログやGoogleマップで検討して、ショーセンター(そこを中心に展示飛行が実施される場所)を見下ろすことができる高台を見つけていて、そこから徒歩15分の宿を取っているのさ!

サクッと歩いて到着。すべて計画通り!
素晴らしい。ガラガラ!

こんなことは日本の航空祭では絶対にあり得ない光景で、当日はおろか、必ずしも実施されるとは限らない事前訓練の日ですら、平日早朝から基地のフェンス沿いには脚立とオタクの列が並ぶんだから…。

では、ここからの絶景をご覧ください!
サンフランシスコといえばココ、ゴールデンゲートブリッジ!


デデン!!

ま、まぁ、まだ朝だし、天気予報では晴れると言ってたし、焦らずに待とう…。

昨日は橋の道路部分も霞んでたし、それでも一応フライトはあったんだから、昨日よりは飛ぶはず…。


この日はガチ撮影機材も装備しているので、正面に見えるアルカトラズ島もこの通り!

この旅のために買い替えたといっても過言ではない、Canonの最新ミラーレス一眼・EOS R10に、RF100-400mm望遠ズーム+1.4倍エクステンダーがついてるからね!(スマホ風にいうと37倍望遠)

WARNING:「許可なくブイの内側に侵入する者は、めっちゃリスクあると覚悟してやりな」



陣取っている高台はエアショーの正規の会場ではないものの、会場アナウンスはライブ配信されているので、それを聞きつつ。しかし、場所が悪いのかSIMが悪いのか、接続が不安定で途切れ途切れでしか聞き取れない。

それでもなんとなく把握できたことは、飛行可能か確認するためのお天気チェック中とのこと。

そうこうしてるうちに、ジェットエンジンの音が聞こえてきたー!
これは旅客機の音。昨日も飛んでた、ユナイテッド航空のB777-300ER。

…見えん(涙)

いや、見えた!!


…1秒ぐらい?(ため息)

上空を流れる雲の速さは結構なもので、ときおり小さな穴が空いたように見える青空に、たまたま機体が入ってきた奇跡の一瞬。

あれは近かった…小さな青空の穴から見えたのは、胴体の前半分ぐらい。側面に書かれている「UNITED」の文字が肉眼でもくっきりと。

もちろん、カメラは間に合わない。

この低さはなかなかのものだったなぁ…低く垂れ込める雲のギリギリ上を飛んでたんだと思う。

会場アナウンスによると、ユナイテッド航空で機体の受領時やメンテナンス時の飛行を担当する、テストパイロットが操縦してるんだそうで。


途切れ途切れの会場アナウンスもフル稼働という感じではなく、つなぎの音楽が流れている時間が長い。

それではご覧ください!
続いては、海面スレスレの超低空編隊飛行!!



もうね、ヒマで撮るものがないんですわ…。

なんの鳥かって?

別に鳥は詳しくないけど、この巨大なクチバシを見ればわかる…。
ペリカンでしょ?

すごいぞR10の動物トラッキングAF!!



会場アナウンスにMCが戻ってきて、トークが始まる。
話し相手は民間アクロバットチーム「PATRIOTS」の担当者。

「パイロット達は空を飛ぶのが大好きで、地上に留めておくのが本当に大変なんだ。だから今日はフライトすることに決めた。PATRIOTS流のエアショーを精一杯やるから待っててね!」みたいなことを話してた。

PATRIOTSが使用しているのは、旧チェコスロバキアが開発したL-39アルバトロスで、旧東側諸国で多く使用されている軍用練習機。日本のT-4練習機あたりの位置付け。

しかし、空模様は相変わらず。

ときおり「青空の穴」が現れると、横にいたアメリカ人カップルが
「Oh look, wow, it's blue(おい見ろよ。すげぇ、青空だ!)」
とかいって笑ってるレベル。

そんな中、エンジンの爆音が空気を震わせる。
これは明らかに軍用機の音で、PATRIOTSが飛んできたみたい。

また一瞬でも見えたらいいな…と、動画モードにしたiPhoneを流れる青空の穴に向けてスタンバイ。

数分おきに、トータル10分ぐらいだったのかな…。
ひたすら爆音を振り撒いて飛行終了。機体を拝むことは叶わず。

「飛んでくれただけでもありがたい」といったところだけど、飛行場ではない場所で開催されるエアショーだけに、離着陸すら見えないというのは、悪天候の時にはマジで何もみられないということか…。


周りの観客もまだ完全には諦めておらず、帰る人はいない。

ゴールデンゲートブリッジやアルカトラズ島、対岸の見え方に一喜一憂しながら、また何かが飛んでくると期待して、ひたすら待つ。

サンフランシスコ市警察のジェットスキーポリス。
ムダにかっこいい…。

SFPDっていうと映画っぽい

昨日乗った、ジェレミア・オブライエンがゴールデンゲートブリッジをくぐって戻ってきた。

きっと、失意と寒さに震えていることでしょう…。

晴れてたらすごくいい写真になったろうなぁ



突如、周りの観客からどよめきが沸くと同時に、「キュォォォォン!!」と空気を切り裂く音が鳴り響く。

これはまさしく、戦闘機が高速飛行する音…!!

あたりを見回すと、アルカトラズ島の右側から迫ってくる青い機影。
機体を90度傾けて高速飛行するその主翼には、黄色い文字で「US NAVY」。

これは…アメリカ海軍アクロバット飛行チーム、ブルーエンジェルス!!

飛ぶのか…飛んでくれるのか!!

フルバージョンの飛行展示なんて贅沢は言わない。
ちょっとでもいいから、できる範囲のことをやってくれ…!

旅の目的の半分はこれを見ることなのだから…。



しかし、現実は非情なもので、フライト不可という判断が下される。
さっき飛んできた1機は、お天気チェックなのでした。

これにて、サンフランシスコ・フリートウィークのエアショーは全て終了。

2日目に見ることができた航空機はわずか2機、見えた時間はトータル4秒。
一眼で撮影できた機体は、まさかのゼロ…。

かつて「百里の悪夢」も体験したけど、海外遠征でこんな目に遭おうとは、まさしく悪夢。

百里の悪夢:
2004年の百里基地航空祭。
アメリカ空軍アクロバットチーム「サンダーバーズ」が来日ということで空前の混雑になり、最寄駅を6時に出発した始発シャトルバスが、20km離れた会場に到着したのは14時過ぎ。しかも雨で大半の飛行がキャンセル。

残念で残念で仕方がない。まさに、仕方がない。

ため息をつきながら宿で体育座りしていたい気分だったものの、わざわざサンフランシスコに来てるのに、それはそれでもったいない。

トボトボと宿に戻って、重たい機材を置いて。
無気力な自分を強引に再び外へと向かわせる…。



さて、何をしよう。

サンフランシスコに来たのは純粋にフリートウィークだけが目的で、他のアクティビティは一切考えていない。というか、もう夕方の4時だし。

幸い、28年前のアメリカ在住時代(※当時は小学生)にサンフランシスコは何度か訪れていて、最小限の予備知識はなくもない。

とりあえず、徒歩圏にあるフィッシャーマンズ・ワーフでも散策することにして、途中にあるちょっとした名所のロンバード・ストリート経由で向かうことに。

「霧の都」であると同時に、「坂の街」でもあるサンフランシスコ。

転がって行かないように、路上駐車もこの向きでするのが決まり。

距離としては100mぐらいながら、この激坂なので登り切った頃にはハァハァ言ってる。俺もロートルってことか…。

ロンバード・ストリートの頂上に着くと、何やら人だかりが。

そして、絵に描いたようなアメリカン・ポリスの白バイが隊列を組んでやってくる。交通規制までしてる。お偉いさんでも通るのかな…?

よく見ると地元警察ではなく、カリフォルニアのハイウェイパトロール

ところが、しばらくしてやってきたのは、どう見ても自家用車の車列。
それを白バイが先導して、わざわざロンバード・ストリートに入っていく。

「なんだこりゃ…」と思いつつ車を見ると、乗ってるのはブルーエンジェルスのツナギを着た人たち。(撮影し損ねた)

よく分からないけど、どうやらフリートウィーク最大の華(になるはずだった)ブルーエンジェルスの隊員たちを労って、サンフランシスコの名所巡りツアーにご案内してるとか??

(日本で航空祭の後、航空自衛隊アクロバットチーム・ブルーインパルスの隊員の自家用車を白バイが先導して、交通規制しながら地元の名所ツアーなんてやったら「迷惑だ」とかボロクソに叩かれるだろうなぁ…w)



ところで、お気づきだろうか。

晴れとるやんけ!!!!!

そう。昨日のクルーズの時もそうだったけど、本当にエアショーの飛行区域だけ曇ってたということ。

さっきの激坂を境に、右は曇り、左は晴れ。

富士山のあっちとこっちとかならともかく、たかだか標高何十メートル。
それこそ「代官山を境に、渋谷と目黒で天気が違う」というレベルw

そりゃ、「サンフランシスコの天気:晴れ」ってことになるわな…。
そこまでは未確認だった…。



さて、このロンバード・ストリートは何が特別かというと。

先ほどの激坂とは反対に、ただ1ブロック下るだけの100mほどの区間が8連続カーブになっていて、おしゃれな家と景色を楽しめる道なのです。

向こう側はめっちゃ晴れてる

それをお見せしようと、いろんなアングルで写真を撮ってみたけど、これは空撮しないと伝わらないw



こうして晴れゾーンに入って、40分ほど歩いたことで気持ちも晴れ、身体も暖まったところで、フィッシャーマンズワーフに到着。

いわば横浜みなとみらい的な位置付けのエリアだけど、再開発地域という感じでもなく、ずっと赤レンガ倉庫が続いてる感じ?

飲食店やお土産やさんが立ち並び、歩道にはやたら目に付くホットドッグの屋台(ここで1人だけタコスとかやれば儲かりそうなのにw)、そしてストリートパフォーマー。

サンフランシスコ水族館はアザラシ推し。
西海岸では至るところにアザラシの大群がいる。

よく見ると、上の手すりの横断幕も「歓迎・フリートウィーク!軍人さんあざす!」な感じ

フリートウィークということで、軍艦の一般公開も。
もうとっくに見学時間は終了してるから乗れないけど。

前編noteでちょっと解説したLCS、後ろから見るとこんな感じ。
めっちゃステルスなトリマラン(三胴船)。



アメリカに限らず、海外で街歩きをするのはなんか好き。
各地でオタク旅してきた中でも、泊まった街では割と歩いていたり。

アメリカで不用意にそれをやると、1ブロック入っただけで治安がめちゃくちゃ悪くなったりするんで、そこは要注意だけど。

特に何かするでもなく1時間ほど散策を楽しんで、Uターンして宿へ。

今度は海沿いルートで、定番の看板も撮影しつつ。



そんな帰り道にあった、ハンバーガー屋のバイト募集の張り紙。

特に高級でもない、チェーン店のIN-N-OUTバーガー(In and Outの略ね)のバイト、まさかの時給20ドル(約3000円)スタート!!

シリコンバレーを擁するカリフォルニアの西海岸はITバブルで物価爆上がりで、年収1000万でもひもじい暮らししかできない、といった話は聞いたことあるけど、まさかこれほどとは。

実際、フィッシャーマンズワーフのレストランで着席して食事しようと思ったら、メイン1品だけで30ドル(4500円)、ドリンク4ドル(600円)、これにチップを乗せたら6000円。

円安もあるとはいえ、アメリカの食費はレストランで日本の3倍、ファストフードやスーパーの惣菜でも2倍ぐらいという印象でした。



そんなわけで、旅の主目的の半分を占めていたサンフランシスコ・フリートウィークに点数をつけるとしたら、初日:40点、2日目:10点ぐらいの、惨憺たる結果に終わりました…。

旅全体の点数も、残りが満点でも70点にしかならないぐらいの感覚。

「気持ちを入れ替えて」とか軽々しく言うな!

と叫ぶぐらいにはヘコんでますが、それでも旅は続くし、そもそもまだ始まったばかり。

ここからは、全米でも屈指の絶景ルートと言われるPacific Coast Highwayをひた走る、ドライブ旅の始まりです。

次回もお楽しみに!


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