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太宰治の代表作は『走れメロス』で統一しましょう。(前編)

太宰治といえば『人間失格』ですか?金輪際、それは止めてください。太宰治といえば『走れメロス』でいきましょう。教科書にも載っていますし、話も明るくておもしろいです。

最近、Netflixで急上昇している蜷川実花監督『人間失格』を観た妻が「太宰のどこが好きなの?」と僕に尋ねてきました。理由を尋ねると、その映画で描かれる太宰が「胸クソ悪い人物だった」からだと答えました。

いや、ちがうんだよ、と思い「確かに『人間失格』を読んだら胸クソ悪い人物に思えるかもしれないけど、太宰の魅力はそういうところじゃないんだよ」と僕が言うと「じゃあ、何を読めばいいの?」と妻。

これだから『人間失格』と蜷川実花監督は嫌なんですよね。デフォルメが激し過ぎて読み違えてしまう、と僕は思ってます。

蜷川監督の『人間失格』は観ていませんが、最悪の組み合わせですね。安野モヨコ『さくらん』は良かったかもしれませんが、岡崎京子『ヘルタースケルター』の映画化には本当に辟易しました。

映画『ヘルタースケルター』は、沢尻エリカの過激な演技で話題と蜷川実花監督独特の彩度の高い映像で話題になりました。

しかし、漫画『ヘルタースケルター』の素晴らしさって、光と影のコントラストによる主人公「りりこ」の虚しさの表現だと僕は思っていて、映画『ヘルタースケルター』を観ても、全然それを感じませんでした。

原作の素晴らしさを台無しにして、映像化の方向性を蜷川実花監督が得意としている路線と売れる路線(過激なシーン)に絞って映画化したのでは、とさえ思いました。

岡崎京子が大好きな僕は、映画『ヘルタースケルター』を観て、そういった理由で、蜷川実花監督のことを嫌いになりました。

正直、Netflixでも急上昇ランキングに入っているし、話題にはなるので、「太宰治について興味を持つ人が増える」という意味では良いことかもしれません。

岡崎京子作品も、映画のおかげで読まれるようになった感は無きにしもあらずです。「しかし」です。そのデフォルメのせいで、嫌いになる人も居ますし、素晴らしい原作と出会う機会を奪うことにもなりかねません。

それに、作者が僕と同じことを感じていらっしゃるのであれば、不便に思えて、本当にたまりません。

岡崎京子先生は大きな事故にあってしまい、今は作品を出していないどころか、コメントなども特別な時にしか出していません。それに太宰はずいぶん昔に亡くなっています。

太宰の話を書こうと思って書き始めたのですが、蜷川実花監督のことばかり書いてしまいました。

炎上商法なのか、とさえ思ってしまいます。

映像や演出は素晴らしいと思うし、その部分で高く評価されている方であり、多くのファンがいらっしゃる方です。

しかし、僕みたいな勝手に炎上してしまう人も少なからず居るはずです。

次回以降、太宰の話を書いていきます。ここまで読んで頂いてありがとうございました。蜷川実花ファンの方、失礼しました。

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