女性議員の少なさを考える

1)議員個人を知ろう

もうすぐ衆議院議員選挙が行われます。国会はどんな政策に重点的にお金をつけるかを決める予算や、人々の行動に一定の枠組みをはめるような法律を決定する大変重要な場所です。皆さんの生活をよくしてくれる政治家を選びたいものです。

一方で、政治と皆さんの間には大きな隔たりがあるのは紛れもない事実です。誰に投票すればよいか、わからない、という人も多いのではないでしょうか。

今の衆議院の選挙制度は、小選挙区制と言って一つの選挙区から一人の政治家が選ばれる仕組みになっています。この場合、みんな当選する可能性が高い人に投票する傾向が高くなります。そうなるとどうなるかというと、与党vs一番有力な野党の構図となりがちです。

つまり、どの党の人間かに重きが置かれ、個人の政治家がどんなことを考えているのかにあまり光が当たらない構造になります。

そうなるとこんな疑問が生まれます。

「党のエライ人の考えに合わせて、賛成反対してるような議員って必要なのだろうか?誰を選んでも一緒なのでは?」

実際こういう発想から議員の数を減らせ、という議論が起こっています。

世の中には色々な価値観の人がいるので、多様な価値観を政治に反映させる必要があります。また、当事者でないとわからない、課題に気がつかないこともあります。個人的には単純な政治家減の議論は賛成できません。

また、10年近く行政の現場で仕事をしてきて、個人としていい仕事をしている議員は確かにいる、という印象を受けています。

でも、そういう個々の議員の活動はあまり目立ちません。よくよく調べればわかることではあるのですが、皆さん仕事したり、友達と遊んだり、運動したり、家族と過ごしたり、忙しいですよね?

そんな中、自分の生活に影響するかどうかもわからない政治家選びのために、貴重な時間を割けないから仕方ないのです。

そこで、じゃあ私が調べましょう!ということで、今回は女性議員の活躍に光を当ててみました。

2)実際のところ、女性議員の数ってどんなもんなのか

まずは実際の数字から。令和3年男女共同参画白書によると

”国会議員に占める女性の割合は,衆議院9.9%(令和3(2021)年4月現在),参議院23.0%(令和3(2021)年5月現在)”

今度選挙のある衆議院では、女性議員は10%以下しかいないと。。。

もちろん日本が女性の割合がすごい少ない国というわけもなく、単に日本は女性が全く政治の世界に進出できていない、いう現状があります。

これが世界的にどれぐらい異常かというのが、世界経済フォーラムという非営利団体が公表した資料を見るとわかります。

国会議員の男女比や国務大臣の男女の割合などをベースに政治分野の男女平等の進み具合をランク付けしたもので、日本の順位は調査対象となった156か国中147位(!)となっています。

ちなみに先進国と呼ばれるフランスは39.5%、イギリスは33.9%、ドイツは31.5%、アメリカは27.3%(2021年1月)で、他の国に比べても散々な結果です。

上記データの参考:女性の政治参画への障壁等に関する調査研究報告書

ちなみに、2021年の男女共同参画白書も上で触れた世界経済フォーラムのデータを使っているのですが、こんな書きぶりです。

” 世界経済フォーラムが令和3(2021)年 に発表したジェンダー・ギャップ指数(GG I)は,0.656(156か国中120位)となっている。政治0.061)や経済(0.604)に おける女性の参画が課題であることが示唆されている”

???

順位が147位から120位に上がっていますね。

実は、120位というのは教育や健康といった日本では男女差のほとんどない項目も含んだ順位です。

これを取り上げた章のタイトルは「政策・方針決定過程への女性の参画」なのですが、教育・健康という指数を含んだデータを出すのはちょっとミスリードな感じがします。
白書の作成者も「流石にこんなに悪い数字は出せない」と思ったのかもしれません。

まあ、いずれにせよ、女性議員の数は日本はとても少ない、ということは国際的にも明らか、ということになります。

3)なぜ女性議員は増えないのか

女性参政権が認められたのは戦後になってからです。

戦後すぐの1946年4月に行われた衆議院議員選挙では女性当選者の数は8.4%、39人の女性議員が誕生しています。

その後、その割合は低迷します。

昭和の間は1,2%台が続いていました。その後、平成になってから徐々に女性の立候補者や議員は増えています。が、増えているといっても、戦後すぐの衆議院議員選挙の女性の割合とさほど変わっていない状況です。80年近くかけてようやく戦後すぐのレベルまで状況が改善された、ということです。

女性議員の数が増えるには、まずは、立候補者の数が増えることが必要です。

立候補者自体は2017年10月の時点で17.8%と、男性の4分の1の人数です。これについて、国地方問わず議員に立候補を一時検討したものの断念したという人達に対しておこなった調査があります。その中で、女性の方が不安に感じた割合が多かった項目は以下の4つです。
・地元でのプライバシー確保
・通称・旧姓の使用が困難等
・自分の力量
・当選後の家庭生活との両立

ここまでの参考:女性の政治参画への障壁等に関する調査研究報告書

選択的夫婦別姓の議論は最近よく議論に上がりますが、女性の政治参加の場面でも少なからず影響があるようです。

また、家庭との両立についても不安なこととして上げられています。
実際に西村智奈美議員が東京新聞のコラムでこんな発言をしています。

”一番大変だったのが某年の深夜国会の日。午後11時に開会して、日付をまたいで深夜2時とか3時までやったんですが・・・その時は私がまず議員宿舎で寝かしつけて、秘書と交代して子どもが起きないように私が帰宅するまでじーっと宿舎で待っててもらっていました。
国会の日程って、いきなりなのでシッターさんも頼めないんです。前日とかにわかっていればまだいいのだけど、やっぱり国会の日程って直前まで読めないこともある。深夜になって不信任案を出すか出さないか、という局面もある。その度に子育て中の人には親和性のない仕事だよなあと思います。”

そうなんです、与野党で対立する法案になると、午前2時、3時まで国会がひらかれていたりするんです。

それに、次の日の国会(国会議員が政府に質疑をする機会)の開催が前日に急に決まったりすることもあります。

そうなると、そこから質問内容を詳細化したりしないといけないから、議員も大変ですし、その質問が来るのを待っている公務員も大変ですし、その分の残業代も税金から支払われます。

今の日本において女性に過重な負荷がかかっている子育てのこととか、女性特有の悩みに関する制度も決めることができる国会の場にその当時者が参加できる環境が整っていないって、絶望的ですね。

深夜国会が発生したり、直前に国会日程が決まる仕組みを一刻も早く改善する必要があります。

4)女性議員が多くなるとどうなる?

先ほど当事者でないとわからない問題があると書きました。

例えば204回の国会で大きく話題になった生理施策についてもそうです。

生理の問題は、女性のみが生理による経済的負担にさらされていることや緊急避妊薬をや薬局で買えない(外国は変える国が多い)ことを含む問題で、2020年11月17日に国民民主党の伊藤孝惠議員が国会で取り上げたのを皮切りに公明党の佐々木さやか議員、共産党の畑野君江議員、立憲民主党の蓮舫議員ら各党の女性議員が国会の場で支援の必要性を訴えたことから、社会的に大きく話題になりました。

この質問の後、2021年3月、政府は、NPOなどが生理用品の提供を行う場合にも補助の対象とする政策を実施することを決定しています。

今回の件がそうなのかどうかはわかりませんが、政府が国会で与野党議員の質問を受けて政策を実現したとしても、あまりその議員に脚光が当たることはありません。

でも、国会の質問で政策が変わることは間違いなくあることをおぼえておいていただけるといいと思っています。


5)まとめ

女性議員だけでなくて、性的少数者や障害者など意見がまだまだ政治に届いていないと思う方はたくさんいらっしゃると思います。何が優先ということもないですが、今回はは女性の議員の少なさについて取り上げました。

ついつい与党vs野党の文脈で政治を見てしまいがちですが、個人の政治家で頑張っている人はたくさんいます。皆さんには是非、個人の政治家を見てもらって、いい視点を国会の場に持ち込んでくれているかどうかを基準に議員を選んでもらえればと思います。