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【妄想シチュエーション#??】紅葉「紅葉狩りから始まる、運命の出会い」

この記事は、知人のSHOWROOM(URL:https://www.showroom-live.com/118951049549)で開催されている企画「妄想シチュエーション」に応募予定だったラジオドラマ作品です。
※不定期の配信になったことに伴い、本記事が初発表です


ブン、ブン、ヴィーン…。
いま、オレは1人バイクに乗って、紅葉がきれいな秋の山道をツーリングしている。
本当は家で寝っ転がってたいところなんだけど、こうでもしないとなかなか落ち着かない。
てかなんなんだよ、突然「オオタさん、他に好きな人ができました。さようなら。」ってLINEで振られるとか。
こりゃ友人の言う通り、二股かけられてたんだろーな。オレもホント、見る目ねえわ…。

ヴィーン、ヴヴヴーン…。
元カノに振られてズタボロになったメンタルを落ち着かせようと、オレは無心で峠道を登っていった。
そのままカーブを曲がると、少し先に、1台の車がハザードをつけて停まっていた。
(オオタ)「あれは…パンクか?」
停まっている車は、右の前側が傾いていた。
そして、1人の女性がタイヤをのぞきこんでいた。

ブーン、キイッ。
(オオタ)「あのー、大丈夫ですか?」
オレは、バイクを停めて女性に話しかけた。
(カノウ)「あっ、すいません、車のタイヤがパンクしちゃって…。」
(オオタ)「ああ、やっぱりそうでしたか…。何かお手伝いできることはありますか?」
(カノウ)「えっと、私こういうの初めてで、どうしたらいいのか…。」

話を聞いてみると、普段あまり運転することはなく、車も実家から借りたもので、勝手がそこまで分からないらしい。
(オオタ)「なるほど、そういうことですね…。あっ、スペアタイヤが積んでるタイプか、これと交換しましょう。」
(カノウ)「あっ、本当ですね!ご迷惑おかけしてすみません…。」
(オオタ)「いえいえ。ついでなんでオレが交換しますよ。」
(カノウ)「ありがとうございます、何から何まで…。」

そして10分後、無事スペアタイヤへの交換が完了した。
(カノウ)「すみません、ありがとうございました!本当に助かりました!」
(オオタ)「いえいえ。正規のタイヤじゃないんで、気をつけて運転してくださいね。では。」
キュルキュル、ブイーン。
人助けを終えたオレは、バイクのエンジンをかけて再び出発した。

そしてオレは、道中にあった広い公園でバイクを停め、しばらく1人で紅葉狩りを楽しんだ。
元カノのこととか考えながら散策していると、先のほうで、1人でカメラを撮っている女性がいた。
ああ、こういう景色だとカメラで撮るのも悪くないかもな…と思いつつ、そばを通り過ぎようとしたところ…、
(オオタ)「ん?あっ…。」
(カノウ)「あっ!先ほどは、どうもありがとうございました!」
なんの偶然か、その女性は、さっきタイヤ交換を手伝った人だった。
(カノウ)「よかったです、またお会いできて!あの、もしよろしければお礼させていただけませんか?」
(オオタ)「いや、あの、大したことしてないんで…。」
(カノウ)「いえいえ、それじゃ悪いんで…。」
(オオタ)「わかりました、じゃあ、ちょっとお話でもどうですか?」

それから、オレと彼女は公園を歩きながら、互いの話をした。
彼女の名前はカノウさんといい、カメラは趣味で、休みの日にたまに出かけて写真を撮っているんだそうだ。
(オオタ)「…なるほどですね。それで、今日は紅葉を撮ろうとして、ここまで来られた感じですか?」
(カノウ)「そうなんです。あと、ちょっと遠出したい気分でもあったので…。オオタさんも、今日は紅葉目当てですか?」
(オオタ)「いやあ、オレはただの気分転換ですよ。恥ずかしい話、ついこの間まで付き合っていた人に振られちゃって(笑)」
(カノウ)「えっ、そうだったんですか?実は私もなんですよ、だから慣れない運転までしてここまで来たんです(笑)
ちなみに、今日はじめましての人にこんなこと聞くのもあれなんですけど…、どんな風に振られたんですか?」
(オオタ)「もう聞いてくださいよー、下の名前で呼び合ってたのに突然、『オオタさん、他に好きな人ができました。さようなら。』ってLINEが来て音信不通になったんです。ひどい話ですよね。」
(カノウ)「うわあ、ひどいですね…。私も似たようなものです、どうも向こうが浮気してたみたいで。」
(オオタ)「ホントですか!?なんか、オレたち似た者同士ですね。」
(カノウ)「私も、そう思います。ここでまたお会いしたのもそうですけど、すごい偶然がいろいろ…。」

本当に、カノウさんの言う通りだ。
普通、道端でばったり会った人と、こんな風にまた会えるだろうか。
しかも、境遇までそっくりというおまけ付き。
ふとカノウさんのほうを見ると、向こうも嬉しそうな表情で遠くを眺めている。
これは…、もしかして、運命の出会いというやつなのか?
オレは、勇気を振り絞ってカノウさんに声をかけた。
(オオタ)「あの…、もしよかったら、LINE交換しません?なんか、カノウさんとお会いしたのは偶然には思えなくて。」
(カノウ)「あっ!私も同じこと考えてました。よかったら、また2人でどこか行きましょう!」

なんと言うか…、捨てる神あれば拾う神あり、とはこういうことなのかもしれないな。
こうして、1人で傷心旅行となるはずだった、オレとカノウさんの紅葉狩りは一転、つかの間の楽しいひと時となったのだった…。

サムネイル:写真ACより(URLはコチラ)

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