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中小企業【アフターコロナ】の資金繰り!《決算書を武器に》⑤基礎知識編

決算書をはじめとする財務諸表の重要性について、前回お話をしました。法人の場合、年に一度の自社の決算月に1年間の業績を集計し、その結果をもとに税務申告を行うのが決算業務ですが、この際に作成される、決算書・税務申告書類は税務申告の為に作成・申告が義務づけられています。
そして一般的な中小企業の場合、この決算時に作成される、税務申告書・固定資産台帳・決算書・科目内訳書・法人事業概況説明書 は、法人にとっては、税務申告のための法定作成書類に留まらず、会社の業績を把握するためにもっとも大切な説明資料となります。

経営陣が見るべき数値

決算書や月次の試算表等において、決算対策月次決算という言葉が一人歩きして、実際に自社の経営状態を決算書にて管理・把握している中小企業が非常に少ないと思われます。これは一つには、試算表や決算書など会計の数値が、経営者や経営陣が体感的に把握している自社の業績と決算書や試算表等の財務諸表の数値が、うまく結びついていない事に原因があると思われます。この経営陣の体感的な業績数値というのがまずは曲者です。

一般的にどこの企業でも、事業の年間目標や事業計画、営業目標等、様々な工夫で自社の業績の成長の為に数値の設定、管理を行っています。しかし、多くの場合、目標を達成した後に何が起こるのか?を想定して目標設定が行われいることが非常に少なく感じます。目標利益を達成したら、賞与決算賞与を出します!というのは、社内向けのモチベーション管理に対しては一部有効かもしれませんが、目標達成のゴールがインセンティブだけでは、会社の成長には繋がりません。

そもそも、売上目標や営業利益目標を追い求めて、その先にどんなゴールが待っているのでしょうか?少なくても売上や利益の目標は現場サイドにおける数値目標です。

経営陣の体感的な業績把握が営業現場で把握されている営業数値では経営陣は的確な経営判断をすることが出来なくなってしまいます。経営者や経営陣は、その目標数値を達成することで、会社の価値を高めることが出来る指標(数値)を念頭に置いて経営する必要があります。

では、会社の価値を高めることができる指標(数値)とは具体的には何を指し示すでしょうか?

会社の価値を高める指標

売上営業利益等、一般的には営業会社の営業会議等で重視される数値は、事業を運営していくためには、非常にわかりやすい、そして使いやすい数値です。現場にも馴染みやすいですし、理解もしやすい指標といえます。そして、これらの指標はすべて、決算書上の損益計算書PL=Profit and loss statement)に記載されています。月次の損益計算書にも同じく月次分が記載されています。損益計算書は、一定期間の業績を集計したものですので、一定期間の業績を把握するには非常に優れた帳票です。

非常にわかりやすい優れた帳票である損益計算書ですが、実は大きな欠点があります。それは、限られた期間内の業績しか把握できないということです。どんなに素晴らしい業績を記録した企業でも、前年度の業績が振るわなかったら、それは一時的な業績でしかありません。しかし、損益計算書は、一定期間の業績しか把握できない構造になっています。

そこで発明(発見?)されたのが、貸借対照表です。皆さんの会社の決算書も必ず、貸借対照表損益計算書はかならず対で連動して作成されています。取引金融機関や企業調査会社、ベンチャーキャピタルを初めとする投資会社や出資者は、会社や事業の内容を判断する場合、まず手始めに決算書の内容を、しかも大半はその中の貸借対照表に記載されいる指標につき念入りに数値を点検します。なぜならそこには、会社の価値を高める指標についての記載が数多く反映されているからです。

決算書を武器に

決算書のうち、特に貸借対照表は、会社の価値を高める指標の宝庫であるというお話は先ほどしました。営業現場が、売上や利益等の現場が追いかけるべき数値を追いかけて日々奮闘しているのと同じように、経営陣も会社の価値を高める指標を目標とする必要があります。貸借対照表損益計算書はあくまでも会社の業績把握の両輪です。どちらの数値も会社の経営には重要な数値です。しかし多くの会社では損益計算書の数値の重視に偏重していて、充分は自社の業績把握が出来ていません。
経営陣は自社の価値を高める指標を目標に経営判断を行い、営業現場では、自社の営業の価値を高める数値を目標に営業活動を行い、両者が共に目標の数値を達成することが出来たら、そこで初めて、貸借対照表と損益計算書は会社にとっての最強の対外的プレゼン資料となります。

【アフターコロナ】の資金繰り!において決算書が自社にとってどれ程重要な役割を果たす事になるのかご理解いただけると思います。

対策編において具体的な内容のご説明を1つづつ解説したいと思います。


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