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The 沼口旅館。


【Holiday Works】 〜九州さすらい編〜  Week 5 週目


宮崎県西都市。今まで一度も聞いたことがなかった市でした。宮崎県のシティは海岸エリアにあるのが基本で、地図の上から見ていくと延岡市、日向市、宮崎市、日南市と南下します。西都市は日向市と宮崎市の中間を山方向に少し入ったところにあるエリア。

古代日本の神話の舞台は3つ。出雲、大和、そして日向。出雲の神々の話から大和の天皇家の物語へ移行していく間の人神混交パート、その舞台が日向です。古代の南九州一帯に広がるこの日向の国の首都だったのが、僕が今いる西都市なのでありました。西都市のWebサイト曰く、聖地伝承の地。

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そんなことで町中には「はにわ」がめっちゃある。この町で一番有名なのは西都原古墳群なんですが、これが嘘みたいに美しい丘の上にあります。丘全体がまるでCMのロケ地のようなみずみずしさ。そして、さざめく樹々と木漏れ日の隙間から古墳。頬を撫でるそよ風に振り向けばそこに古墳。そこかしこに古墳。ここは4世紀から7世紀にかけての300年の間、およそ300基もの古墳が建造された古墳の丘。前方後円墳もホタテ型もあって、縄文、弥生を経て到来した古墳時代の記憶が色濃く残る土地。代表的な塚は大きく分けて2つ。男狭穂塚はニニギノミコト、女狭穂塚はコノハナサクヤヒメの御陵であると伝えられ、数多くの伝説も残されています。

そんな西都市にある一軒の旅館。それが今回の舞台、沼口旅館です。

先週の火曜日、日南市のキャンプ場を後にした我が家は飛び込むようにこの旅館にやってきました。古いコンクリートの四角い建物は遠くから見るとあまり旅館風情はなく、「ん?これ旅館?」って感じで。中に入ると畳の敷かれたイメージ通りの旅館の和室がいくつもあって「おお、旅館だ」とホッとなりました。食料は持ち込み自由で、宿泊客全員共有の冷蔵庫やトースター、ドリップコーヒーなども置かれています。歯磨きやコップ洗いなどの流し台も共有で、お風呂は男湯と女湯の2つ。基本、食事なしの素泊まりスタイル。ゲストハウスのような、旅館です。

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ここにもう一週間滞在しております。最初は「お世話になります〜」って感じでいかにもお客さん然としていたんですが、僕ら以外に宿泊客がいない日が何日かやってきて、調理場を使ったり、洗濯機を使わせてもらったり、掃除機を使ったり、ホールで電子ピアノを弾いたりしてるうちにだんだんとここの住人になってきました。手作りのお料理をお裾分けしてくれる心優しい中村さん(女将)に子供たちもバッチリ懐き、日々楽しくやっております。

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ここのオーナーのながちゃんは2年前にこの旅館を買って運営しているということで。ここ以外にも日向にホテルを経営してたりWeb事業をやってたり、うどん屋やったりレコード屋やったり曲作ったり、いろんなことしてる多彩な人。

4月下旬、南九州は一気に潮目が変わりました。国を挙げてのコロナ対策でそれまでのほほんとしてた町の空気が一変し、公共施設や温泉、公園までもが一斉に封鎖。GWにかけては道の駅も使用停止になるという。そうなると流石に僕らもおいそれと旅を続けるわけにはいかなくなり、ながちゃんに連絡して、ここに身を寄せる運びとなったのでした。

最初の2日間は高速Wi-Fiを貪りまくった。まず溜まっていたYou Tubeの編集をし、Noteを書き、インスタに写真を上げ、Twitterを更新し、Amazon PrimeやTVerを視聴し、ニュースを読み漁って世界各国の動きを理解し、オンライン・ゲームをして、、と無制限にデジタル世界を堪能しました。

ある程度やって落ち着くと3日目からは旅館にあるマンガを手に取って読み始めました。アナログ回帰。手に取るマンガはやっぱり面白い。2日ぐらい部屋で動かずにマンガばかり読んでいると今度はだんだん寒気がしてきて、頭がボーっとしてきた。体温を測ってみると35.5分。思い返せばここに来てから快適すぎて全然動かず部屋の中。体温はずっと35度台の低体温だった。

神道ではよく「けがれを祓う」と耳にするが、けがれの語源は気が枯れると書いて"気枯れ"だそうだ。家族と一緒に旅をしてからもう一ヶ月、僕がキャンピングカーで東京を出てからは4ヶ月もの月日が経っている。さすがに少々、気枯れたか。これは一度、大きな神社に行って祓わねばなるまい。

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幸い、この地は神社には事欠かない。日向国の式内社と呼ばれる由緒正しい神社が九州に4つあり、そのひとつがコノハナサクヤヒメが祀られているこの都萬神社で、沼口旅館から歩いて10分のところにある。霧島神社もそのひとつ。そうなると次に向かうは霧島か、、となってくる。


4月26日、日曜日。

イーロン・マスク率いるスペースXが2019年からスタートしたスターリンク計画。42000機の小型衛星を宇宙に打ち上げ、地球上のすべてでWi-Fi環境を完備するという。この衛星打ち上げが4月26日、日曜日の20時11分から行われるというので例の古墳の丘に登って北の空を眺めていたが、あいにくの天候で見られなかった。西都は星もすごくきれいに見えるんで、数珠つなぎになって宇宙に登っていく衛星群のご一行、見たかったけどね。

イーロン・マスクはTeslaでソーラーシステムや電気自動車を、それを走らせるための地下交通インフラをThe Boring Co.で掘り、Space Xでロケットの発射や火星移住計画を推し進めながら、Starlinkで衛星インターネットを宇宙空間にばらまき、Open AIで人工知能の研究に乗り出し、そのAIと人間の脳とを繋ぐ神経系UIシステムをNeturallinkで実現化するという、そのすべての行動が21世紀の人類の進化に大きく関与する、まさに時代の顔役のような男だ。

この度、コロナの影響で操業休止中だったTeslaのソーラーパネル工場を使って人口呼吸器を製造し、すぐに世界中の病院に無料配布してみせた。そのスピード感と実行力に圧倒される。

ここ日本では、安倍政権がどれほど時代遅れで無能な爺様集団かがコロナ対策の非道(ひど)さで完全に周知のものとなった。国家の非常事態に誰かの書いたテキストを他人事のように読み上げる首相の姿はただただ情けなく、自身の言葉で雄弁に語る他国の有能な政治家たちをニュースで見て何度も羨ましく感じた。

でも、んなことで腐っちゃいけない。陰謀論に触れる時もそうなのだが、清いだけの正義の目線で現実社会の腐敗を見張り続けていると、慢性的なウツに陥ってしまう。民衆の正義が満たされるような治世など、いつの時代でも、どんな世界にもありゃしないんだから。ならば世の中のいいも悪いも清濁合わせ飲んで、それでもどっこい生きてやるって言ってるほうがダイナミックにこの世を生きていける。

ここは南九州、西都市。かつてこの日本国が誕生したと伝えられる聖地伝承の地。コロナによって戻れなくなってしまった世界もあるが、そんなもん感傷的になってもしょうがない。また創ればいい。僕はもう何ヶ月も前からとっくにゼロになってる。住む家もなく、各地を転々としながら”外出自粛”の世の中を彷徨うのだって楽じゃない。でもその先にたどり着きたいビジョンがあるから ー  最近、道中にふとこの歌が心に流れるんです。



今週、ラッパーのトラヴィス・スコットがフォートナイトというゲームの仮想空間に登場し、新曲ライブを披露した。圧倒的なパフォーマンス。仮想の世界での出来事だけど、完全に持ってかれた。新曲リリースお披露目の場として、フォートナイトは充分その役割を果たせると証明もされた。もはやTVでもラジオでもない。ゲームの仮想空間の中で、トップ・ミュージシャンが強烈なインパクトを放ちながら新曲披露をすることが可能になっている。

現実世界でも仮想空間でも、時は流れている。現実世界に疲れた時には仮想空間でもうひとつの自分の居場所を作ればいい。さらにアイデアが出るようならそこでビジネスをすればいいし、そういうことにも疲れたのならば、神話の世界に逃げ込んだっていい。神社は日本中どこにでもある古代日本への入り口だ。他にも新しい扉はいつだって、いくつだってある。僕なんか最近電子ピアノの練習してますからね。少しづつ上達する自分が面白くて、毎日1時間くらい練習してる。今ようやく両手で弾けるようになってきたとこ。曲はアリシア・キーズの「If I Ain't Got You」。イントロだけマスターしようって思ってたんですけど、指が超〜速いし、独自のビート感もすごいんでまったく歯が立たず、、。思いきって方向変えて「いつも何度でも」を子供のように練習してます。そうこうしてるうちにあの歌のメッセージまで心に入ってきちゃったのかもしれません。

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僕みたいなヤツが偉そうにもの言っちゃいけないですけど、大事なのって頭の中で自分の歩みを止めないことなんじゃないでしょうか。今はこの沼口旅館でほげ〜っと過ごしている僕ですが、脳内ワールドでは次の世界の冒険を始めています。脳内アクティブON状態。子供たちも好き勝手に勉強したり絵を書いたり公園で遊んだりしながら、日々勝手に成長しています。電子ピアノの練習終わってふと横見たら、めっちゃイラストが上達してた〜!w

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Illustration & Message by Hiraku

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堀内貴之(ラジオDJ)
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