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天国と地獄

【Holiday Works  〜家族トリップ〜  Week 2 】

家族で九州に旅に出て二週間目。恐れていたことが起こりました。長女リオの風邪が長引いて熱が下がらず、咳が止まらない状態に。夜は39度を超える熱が続き、日に日に顔色は青白く、精気を失っていきました。

このご時世、真っ先に頭に浮かぶのはコロナのこと。キャンピングカーの中で家族5人、24時間一週間ずっと一緒の濃厚接触家族ですから、もしリオがコロナだったら家族全員全滅。父親として、またこの旅の責任者として、リスク・マネージメントが至らなかったと反省したり、味覚や嗅覚が健全なのだからきっとただの風邪だろう、などと強引に気持ちを切り替えてみたり。それで、もしリオがコロナだったらウイルスを各地に撒き散らしてしまう恐れがあるので、人気のない自然の中で暮らすようになりました。温泉も家族風呂に切り替えて他の人との接触をミニマムにし、完全なるキャンプ生活にシフトしました。そんな日々の中で、日曜日の夜は珍しく妻のユカリと口喧嘩をしました。他愛のないことが発端だったんですが、不安と心配で向かう先を失った心がお互いに牙を向いた、そんな夜でした。

そして迎えた月曜日の朝、大分県の保健所が始まる朝8時半を待って電話で問合せ。事の次第やリオの体調などを詳しく説明すると、確認してすぐに折り返しますと丁寧で誠意ある応対。正直、それだけで救われるぐらいの対応でした。そして1時間半後、電話が返ってきて「検査をしますので、今からすぐに指定した病院に向かってください」と。弾丸のような勢いでキャンプ場を飛び出し、車を走らせること30分。指定された医療センターの特別窓口の正面にある4番駐車場に車を停め、担当者に電話をすると防護服に身を包んだ医療従事者の方が登場し、リオは自分の水筒を持って施設の特別室へと連れていかれました。その小さな背中を見送る間、自分の無力さが情けなく、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

検査が終わるまでは車の中で待機。その間、二人の子供たちを元気づけるためにヘンなテンションで騒いだり、耳かきをしてあげたりしながら時が過ぎるのをただただ待つ。

そして2時間後、医療従事者の方が出てきて、リオの今の状態、コロナの対策、そして今後のスケジュールやするべきこと、してはならないことなどを確認する。今回、大分県民でもないのに検査をしてもらったことや迅速な対応に僕の足らない言葉で感謝の意を伝えると、担当の方はそれまでの毅然とした緊張感のある態度を少しだけ崩し、ふんわりとした笑顔でもちろんですと答えてくれた。そこに一瞬だけ、その人の普段の顔が見えた。この大変な時期に一番大変な仕事をしている人、その人もまた誰かの母であり子であるのだと思えて自然と頭が下がった。お前それ前屈してんのかってぐらい、頭が下がった。

そして別府の街を通り抜けてまた山の上の志高湖キャンプ場へ。地獄めぐりで有名な別府市内は立ち上る湯煙が有名だが、この数日間の我が家はまさに地獄を巡っているような緊張感に包まれていた。でもそんな時でもこの志高湖キャンプ場へ着くとそこはまるで天国のような別世界が待っていた。キャンプ・サイトは数え切れないほど行っているが、ここの自然の織り成す美しさは自分調べでナンバー1。別格。料金も車両400円&ひとり350円と破格。水もうまい。鳥が歌い、ミツバチが羽音を立て、モンシロチョウと舞い散る桜吹雪の見分けがつかなくなるほどの眩しい春がそこにありました。人懐っこい白鳥と目があったり、おたまじゃくしを観察したり、のどか過ぎるほどの平和な空気感が僕らを優しく包んでくれていました。

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一晩明けて火曜日の午後3時ごろ。電話がなって検査結果が伝えられた。

結果は陰性

電話を切り終わった後、家族みんなで大声でヤッター!とか、おめでとー!とか言いながら草原の丘をゴロゴロとはしゃぎまわった。みんな一気にホッとした。これでようやく地獄でも天国でもない、普通の世界に戻れるのだと手放しで歓喜乱舞。

でもまあ、よくよく考えてみると、普通の世界に戻るってことはコロナが猛威を奮う危険な世界にまた戻るってことなんですが、その時はもう嬉しさが爆発しててそれどころじゃなかった。気がつけば、そこは別府。日本一の温泉どころ。雪崩れのように一気に山を降りてずっと行きたかった家族風呂へピットイン。5日ぐらいお風呂に入ってなくて髪の毛ボサボサだったリオもこれでようやくきれいになった。

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この時の温泉は格別でした〜♨️。身も心も洗われた気がしました。90分ゆっくりと温泉に癒され、湯船に飛び込んだりアイス食べたりしながら、みんなでババンババンバンバ〜ン♪ハ、ビバビバビバ〜♫ってドリフを歌ったり、身体を洗いっこしたりして、ほんとに楽しい心に残る別府の温泉でした。

ホッ。

堀内家、2週目はこんな天国と地獄を行ったり来たりの日々でした。それが大分でよかった。別府でよかった。親切にしていただいた大分県のみなさん、本当にありがとうございました。俺、一生ずっと大分県を愛します。

そんな殊勝な心持ちの僕はいまTwitterで一日一曲、選曲をしています。日々、不安ややりきれない思いでいる同胞のみなさんに、僕に今できることはなんだろう?と考えて始めてみました。100日詣でのようにリオの健康を祈るような気持ちもありました。たった一曲選曲するだけのことですが、目に見えない不安と闘うこのクレイジーな日々にみなさまの一服の清涼剤になれれば幸いです。

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リオも今はすっかり元気になって元通り、すげーうるさい奴に戻ってますw  


Twitterのほかにもいろいろとやってます。今週末には久しぶりにPodcastを配信しようと思っております。ヒマな時間の遊び仲間として、今後ともチラ見していただけると嬉しいです!




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