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今こそ読みたい、伊藤雅俊著「商いの道」

新型コロナのために、厳しい時期におられるかと思います。
こんな時こそ読みたい1冊を紹介させてください。

「商いの道 経営の原点を考える」 伊藤雅俊著

売上6兆円を超えるセブン&アイ・ホールディングスの母体・イトーヨーカ堂を設立した伊藤雅俊さんが商いの知恵を書き綴った本です。

伊藤さんはイトーヨーカ堂の前身となる羊華堂という洋品店に入ったのは、終戦直後。21歳の時。

羊華堂はその年の東京大空襲で店が灰燼に帰していました。
伊藤さんの母にとって店がなくなるのは日露戦争・関東大震災に続き3度目の体験でしたが、母は真っ先に立ち上がり、北千住の中華ソバ屋の軒先から再出発しました。

母は常に、
・お客さんは来ないもの
・取引したくてもお取引先は簡単に応じてくれないもの
・銀行は貸していただけないもの
・そのようなないない尽くしから商いは出発する

と言っていました。
 
店を3度なくす中、心からの実感だったのでしょう。
口癖は「商売とは、お客さまを大事にすること、そして信用を大事にすること、それに尽きる」

伊藤さんは時代の怖さを肌で知っていました。
昭和11年の日本は、大衆消費社会。
米国GEの家電製品も売られよい時代でしたが、わずか数年後に第二次世界大戦に巻き込まれ、日本中は空襲で焼け野原に。
伊藤さんが学んだのは
「誰もそんなことを考えていない時の怖さ」
全て当たり前に続くことはないのです。
改めて伊藤さんの言葉は身に染みます。

商人(=ビジネスパーソン)にとって利益よりも大切なものが「信用」。誠実さを忘れ「今回だけ」と言い訳する癖が付くと、積み重なっていずれ信用を失います。
私たちも常に信用の積み重ねを実践すべきなのです。

伊藤さんが知る大正・昭和の時代を生き抜いた102歳の老銀行家は「現金ほど大事なものはない」と言い切っていました。
誠実な商いのためには、現金で仕入れ、現金で売り、現金で決済する現金主義が必要です。現金は酸素や水と同じ。現金を確保しないと企業は死にます。
これも今、私たちが実感していること。

イトーヨーカ堂は大きく成長しましたが、伊藤さんは伝統を頑なに守り、時流に流されない老舗的な商いも素晴らしいと考えていました。そんな利点と美点も自分の会社に取り入れられないかと考え、伊藤さんが辿り着いた結論は、「成長を考えるな、生存を考えよ」

成長だけ考えると人は貪欲になり、いつの間にか膨張・肥大化し、他を蹴落とそうとし、不正を働きます。「長い目で見れば、むしろいかに生き抜くかを考えるべき」と伊藤さんは言います。

「生存」を考える商いならば、基本に忠実になりお客さまに喜ばれ、大きな信頼が得られます。無理せずに周囲の状況を見極め、一歩ずつ歩む生き残り商法の方が安全です。

本書では他にも様々な箴言が数多く書かれています。
ビジネスが大きな曲がり角を迎えている今こそ、じっくり読みたい1冊。お勧めです。
 
↓詳しくは
https://takahisanagai.com/20200414-2

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