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顧客中心主義の4つのポイント

UXデザインやデザイン思考など、顧客 (Customer) についてテックエンジニアでも深く考えることが一般的になってきました。これらの学問やプラクティスはいずれも、顧客中心主義 (Customer Centricity) に基づいたものです。顧客中心主義とは、プロダクトやサービスを通して得られる体験をユーザーにとって良いものにすることをビジネスの中心に据えるマインドセットです。この記事では顧客中心主義を実現するに当たり大切な4つのポイントを紹介していきます。

顧客の声を聞く

顧客中心主義を取るなら、当然顧客の声を聞く必要があります。私はスクラムによるアジャイル開発に携わることが多いのですが、よくある問題としてプロダクトを使ってもフィードバックを得る先が顧客ではなくプロダクトオーナーやステークホルダーばかりというものがあります。当然、彼らの声も重要ですが、彼らは実際にシステムを使う顧客なのでしょうか。どこまで顧客のことを理解しているのでしょうか。よく「直接顧客の声を聞くのは難しい」と諦めてしまうケースもみられます。何が難しくて、その点は本当に解決する手段がないのか考えるべきです。そして可能であれば顧客から声を聞くことをプロダクト開発のプロセスに組み込み、定期的にヒアリングできるようにするとなお良いでしょう。

顧客のフィードバックに対応する

顧客の声をプロセスに組み込み、収集することができるようになれば、次はその声に応えることが大切です。サポートや機能追加要望など、受口があってもそれが一切反映されなければ顧客はフィードバックを返す意味を見いだせなくなります。プロダクトにおいて、どの要望が今対応されていて、どの要望が今後対応されていくのか見えるようになっていると熱心なユーザーは喜びます。私が知るいくつかのプロダクトはTrelloのカンバンをオープンにしていたり、ロードマップを定期的に更新していることもあります。

顧客自身も気付いていないニーズを見つける

顧客のフィードバックへの対応は素晴らしいことですが、真に素晴らしいUXデザインとは顧客自身が気付いていないニーズに気付き、それを新しい体験として提供することです。数多の顧客のフィードバックのすべてに答えていくと、どうしてもプロダクトは機能が増え複雑になる傾向があります。これを足し算のデザインと言ったりもしますが、時にはそれらフィードバックや機能をうまく統廃合してシンプルさを出すような引き算のデザインが必要な場合もあります。それらのデザインのスキルをうまく使って、ユーザーにとって新しく、かつ満足できる体験を提供することが出来たらそれは顧客中心主義がうまく働いている証拠でしょう。なぜならその様な体験は本当に顧客に共感し寄り添うことでしか生まれ得ないものだからです。

顧客の満足度を評価指標にする

よくあるのは、顧客中心主義を大切と謳いUXデザインのプラクティスやワークショップをプロセスに組み込みつつやるだけやって終わりというケースです。真に大切なのはそれらユーザーを意識して作ったプロセスが最終的にユーザーのためになっているかどうかという点であり、その点についていかに評価するかというところです。顧客が支払った価格から算出される売上による評価ではなく、満足度による評価にすることは真にプロダクトをカイゼンする一番の原動力になります。なぜなら売上をあげるためのプロダクトの変更は時にはユーザーの満足度に直接繋がるわけではないからです。一時的に売上が増えても結果的に顧客が離脱してしまってはなんの意味もありません。

これら4つのポイントをうまく社内やプロダクト・サービス開発のプロセスに組み込むことで、顧客中心主義は一歩進むはずです。ただ、冒頭にも上げたとおり顧客中心主義はマインドセットなので、そのプロセスに携わる誰もが同じマインドセットを持つことが大切です。そのためにはプロセス改革と並行してメンバーに対する適切な教育も必要になってくることは忘れてはいけません。

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