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スクラムアンチパターン:ゴリラ a.k.a. スーパースター

スクラムアンチパターンシリーズの第2弾ということで、また私が経験したスクラムのアンチパターン「ゴリラ a.k.a. スーパースター」について軽く説明していこうと思う。

ゴリラとは

ゴリラとは、開発チームの中にいる声の大きいメンバーで、自身の技術や経験において自信がありそれがチーム内での声の大きさに直結しているパターンである。また、周りのメンバーもゴリラのスキルについては認めているケースが多い。

ゴリラがいるとどういう問題がおきるか。まず第1にゴリラの存在はチームのコミュニケーションフローを限定してしまう。具体的な例をいくつかあげよう。まず開発チームでのコミュニケーションは、ゴリラの言うことが絶対的、という空気になってしまう。ゴリラに対して誰も反論をせず、ゴリラはより自分の意見が正しいという思い込みが強くなり、この流れは加速する。結果、開発周りの意思決定がゴリラ中心となり、開発チームもそれに頼るようになるため、チームは自己組織化から遠のいてしまう。他にも、POやステークホルダーたちが、ゴリラとばかりコミュニケーションを取るようになってしまう。ステークホルダー⇒ゴリラ⇒開発チームという階層構造が作られてしまうと、一次情報がゴリラにばかり集まることになり、チームにおける情報格差が生まれ透明性が下がるリスクが生まれる。

第2の問題は、ゴリラが離脱した時にチームが立ちいかなくなるという点だ。コミュニケーションフローや意思決定を抑えたゴリラはチームの要となってしまい、ゴリラの不在はコミュニケーションの崩壊と混沌を生んでしまう。これは前述の通りゴリラの存在が自己組織化を阻むがゆえの問題だ。

ゴリラをどう扱うか

ゴリラは自分の経験や技術に自信があり、それ自体は周囲が認めていることが多い。であれば、その能力を正しい方向に使えばゴリラは輝き、スーパースターになることだってできる。これが、a.k.a.(別名)スーパースターの意味だ。スーパースターにする方法はいくつかある。

まず1つは、チームの外から必要に応じて支援する役割を与えることだ。チームを支援することでスーパースターは頼られて嬉しいし、チームはスーパースターを頼る・頼らないの判断も含め自分たちで下しつつ、スーパースターから学んだことを自分たちで消化することで成長できる。

もう1つは、このゴリラとスーパースターのアンチパターンを知ってもらうことだ。これは劇薬かもしれない。本人との関係性が大切なので、使い方は気をつけよう。この話だけ展開すると露骨すぎるので、私が以前書いた51のアンチパターンをチームでなぞってみる、みたいなアクティビティをしてみても良いかもしれない。

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