見出し画像

守破離:新しいことを学ぶ時に大切にしたい道の教え

剣道、柔道、茶道、書道など、日本にはさまざまな「道」があります。私も高校時代は剣道に打ち込み、竹刀による打込稽古の他に、木刀による形稽古をしていました(ちなみに二段です!笑)。

こういった「道」には古くから「守破離」と呼ばれる考え方があります。守破離はものごとを学ぶ際の順番を示しています。

画像1

基本をおろそかにしては本質は理解できず、それを飛ばして自分のやり方を見つけることはできないという教えです。剣道で言えば、もっとも基本的な形を身に着けない状態で二刀流を試しても駄目だよということです。ちなみに二刀流で有名な宮本武蔵も、その本質は片手で刀を扱えるようになることと五輪書で語っています。

守破離はあらゆることに通じる

守破離は、「道」に通じる話のみに限りません。たとえば、人気のJavaScriptフレームワークであるVue.jsを開発したEvan Youさんの話があります。YouさんはVue.jsの前にAngularJSという別のフレームワークを使う開発者でした。AngularJSを使っていく中で(守)、機能追加をしていきつつ(破)、好きな部分を抽出し軽量なフレームワークとしてのVue.jsを生み出したのです(離)。

私が取り組んでいる「スクラム」でも同じことが言えます。スクラムガイドという形が存在していて、スクラムに取り組む人はまずこれを守ってスクラムとは、アジャイルとは何かの本質を理解します。本質を理解した上で、じゃぁその本質をより良く実現するには何ができるかを考え行動を起こします。最終的にスクラムガイドに沿わなくても、スクラムで実現したい本質を別の方法を通じて実現できるようになれればよいと考えています。

まずは守ろう

私の今までの経験上、スクラムでの失敗は「守」のフェーズを飛び越えて自分たちのやり方にスクラムをカスタマイズしているが故に起きていることが多いです。以下がよくある失敗の理由:

・スクラムの理論を理解していない
・スクラムの価値基準を理解していない
・プロダクトオーナーに権限が移譲されていない
・開発チームが自己組織化していない
・スクラムマスターがマネジメントをする
・スクラムのイベントが正しく開催されていない(メンバーがいない)

スクラムは約20年の歴史とともにカイゼンされ続けているフレームワークであり、それの本質がスクラムガイドに書かれているわけです。それを理解せず、実践せず、自分たちの働き方がこうだから、という理由でカスタマイズするのが果たして懸命なアクションなのでしょうか?たとえば、もし新しい「道」、華道でも柔道でもなんでも学ぶ時、道場に行って先生に教えを受け、「守」ところから始めるのが賢いやり方だと思いませんか?

画像2

よっぽど新しいことを始めない限り、偉大なる先人たちは存在します。偉大なる先人たちは何か教えを残してくれているので、それを実践することはその道の最短の道であることが多いです。あるいは、新しいことでも、一つの道を守破離で極めていたらそこから通ずるものがあることが多いでしょう。

私もまだアジャイル道においては「守」にいる気がします。ですがあせってもしょうがないので実践を積み重ねた上でいつか「破」に至り、自分のやり方を見つけ「離」ができるよう精進しようと思います。

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは書籍やテック・アジャイル関連のイベント参加などに使い、レビューの公開をお約束します。