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雑談をちゃんと考えてみたい

最近は「ザッソウ」なんて言葉で雑談・相談ができることの重要性を問いたり、その前から「ワイガヤ」というワイワイガヤガヤを語源とする自動車メーカーホンダのミーティング手法があったりと、コミュニケーションを通してのチームビルディングの重要性が語られることが増えてきた。

一方、具体的にどういう効果があるのか掴みづらい点もあり、雑談ばかりをしているとその状況に対して疑問を抱くことも少なからずあると思う。今日はそんな雑談について、どういうメリットがあるのか、問題と感じている場合はどう対応していけばいいか考えてみたい。

雑談の重要性は

シンプルに言うと、雑談できるチームは心理的安全性を作る上でのファーストステップが出来ているチームと言える。雑談=心理的安全性がある、とまでは言わないが、気軽に雑談でコミュニケーションが取れるチームであることはその次の相談をする際のハードルも下がる効果が生まれる。

相談をする際のハードルが高い時にどういう問題が生まれるかというと、緊急性が高まらないと相談をするという方向にメンバーが動かないことだ。「こんなことになる前になぜ相談しなかったんだ」という悲痛なセリフを耳にしたり口にしたりすることがある方もいると思う。それは確かにそうだが、「そんなことになるまで、なぜその人は相談出来なかったんだろう」ということを考えることが大切だ。それはチームがそういう相談が気軽にできるような雰囲気になっていなかったからかもしれないし、そういう雰囲気に自分も加担しているのかもしれない。

ザッソウ、という言葉は雑談の上に成り立つ相談、という意味もあるが、雑に相談するという意味もある。相談は聞く相手が正しければ一番手っ取り早くフィードバックを得られる手法であり、フィードバックは物事のカイゼンの材料になる。

それでも雑談がムダに感じてしまう時は

その重要性を分かっていても、雑談が多すぎてその時間を無駄に感じてしまうケースはあるだろう。実際問題、1時間とか仕事に関係ない話されたらそれはチームビルディングではなく仕事の放棄かもしれない。もしこういう状況をなんとかしたい時は、雑談にもルールを作ってみてもいいかもしれない。

雑談のルール

1つ目は、雑談をする機会を明確に用意してみる方法。スクラムであれば、例えばデイリースクラムの時間の前後だったり、各イベントごとにおいてざっくばらんに話す機会を設ける。あるいは、おやつタイムを設けて逆にそこは雑談をする場として明確に切り分ける。

2つ目は、最近はオンラインでの作業が多くなってきたので難しいが、人々の導線に雑談しやすいポイントを作るという方法。具体的には、ホワイトボードのカンバンを用意して、チケット更新時に自然とそこに人が集まり声をかけやすい環境を作る。あるいは、またおやつの話になるがおやつ神社やコーヒー場所を設けて自然と人がそこに集まるようにする。雑談場所が定まっていると、自然と人はそこで長話をしすぎないよう気をつける傾向がある。

3つ目は、ある程度の心理的安全性がある上でELMOを導入するという方法。ELMOとは、”Enough, let's move on" の略で訳すと「もう充分、次に行こう」となる。これは研修なんかでもよく使われるが、ELMOを表すサイン(例えば、手を挙げる、親指を立てグッドのポーズを取る、など)をあらかじめ決めておいて、人々が今の状況に対してELMOを感じたらサインを出しメンバーはそれに従うというもの。オンラインであれば挙手機能なんかもELMOサインとして使えるだろう。

生産性に影響はある?

私個人の意見としては、いかにチームが雑談していようと成果がでてさえいればいい。スクラムであれば、ベロシティポイントに影響がでていなかったり、ガントチャートをひいているのであればそれに遅延が発生していなかったら別に大きな問題として認識するべきではないとも思う。雑談の効能というなかなか効果が可視化しづらいものに対して一人で判断を下すのは難しいが、本当に問題に思うのであればレトロスペクティブなどの場で課題として一度出してみて、チームがどういう反応をするかを見てみるといい。あるいは、そのこと自体をザッソウ精神でレトロスペクティブの前にチームに相談できれば理想的かも。

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